Lonely Attack on the Different World

Part 1399: What if I bake it when the flag is at its peak: the night before I get married?

211日目 夕方 王都傍 ノートルダム大聖堂 築地の間

 昨日は家族一緒に過ごしたからと、バルバレラさん達は独身最後の女子会で異世界最強の迷宮皇さん達の深夜の秘技を講習中で、秘密がいっぱいの乙女の語らい。

 「象さんを倒すには下は広く、上は一点集中です!」「そう、動いて伸びて変形して振動回転しない象さんなんて、ただの象さんです!」「「「象さんは振動回転しないから! 普通は全部しないから!!」」」

 まあ、初夜指導と言うには経験者さんで、既にあれこれ手解きは受けているんだけど?

 「五感全てを奪います、特に見せて魅入らせた状態異常時は攻撃にボーナスがノリます!」「「「おおーー、流石は最強!?」」」「一対一では身体の使い方が重要です、常に顔の位置にエロさを持ってくる位置取りが勝敗を分けます!」「「「ああ、だから逃げられないんだ!」」」

歴戦を戦い抜いた叡智が語り継がれるけど……その戦いは一般のレベルを超越してるからね?

 「ずっと、ずっと、この5人で戦って死んでいくんだと思ってました」「それが彼氏ができてお友達ができて」「もう、毎日が夢みたいでした」「それが明日は結婚式なんて信じられなくて、それこそ夢みたいで」「「「本当にありがとうございます。すごく幸せ過ぎて怖いくらいです」」」「「「もう、親友なんだから当たり前なの、最高の結婚式にしようね」」」「「「そうだそうだ、みずくさいぞー!」」」「「「「うん、おめでとー」」」」「「「ありがとうごじゃいまじゅううぅ」」」「もう、泣かないの。明日は最高に綺麗な花嫁さんになるんだから、泣いちゃ駄目なんだからね」

 うん、セクシーポーズからの関節技《サブミッション》の実技講習をしながらの話でイイハナシダナ感が微妙だけど、脚を柔軟に使って跨いで挟む可変蟹挟みの無限変化がセクシーポーズ満載で勉強になるの!

 「「「うん、やっぱり下半身だよね! 胸なんて飾りだよ!!」」」「いや、それエロい人にはわからんのですよだから?」「いえ、物凄く脚に弱いです」「生脚、ストッキング、ニーソ、網タイツ、スパッツ、全部弱点です!」「ああー、それで美脚が八本絡みついちゃうと?」「「「うん、遥くんも苦労してるんだね?」」」「男子って……」

 この俊敏で流麗な4人掛かりの連携を躱せて外せるっていうのが信じられない、逃げ場も隙もない一糸乱れぬ連続の連携。それは人の動きでは回避不可能で、段々人間離れして人族を逸脱する勢いなのも致し方ない完璧さ。

 「ああ、これから逃げるための流体術」「筋力の動来、重心の動き、骨格の動き、そして波の動き、その組み合わせと虚《フェイント》が悪辣なんです」「先読みすると外され嵌められます、ですが見てからでは間に合いません、挙げ句に感知すれば変化して騙されます」「っていうか魔力を封じてないと触手責めです、一瞬の隙で昇天させられます、いっぱい!」「「「うん、どうやってもイチャラブにならないんだね、あの性帝さんは!」」」

 そして最後の仮縫いに行って、瞬殺されて痙攣中の花嫁のお母さんたちもきっと幸せな明日の夢を見ているんだろう……ちょっと笑顔が壊れてるけど?

 「あ、運ばれてきた?」「「「うん、見事な全滅だね」」」「ドラさんありがとう」「うん、並べちゃおう」「防水布の上に吸水シート敷いてからだよ」「「「了解《ヤー》」」」

 築地の間に並べられていく女体がビクビクイキイキと痙攣し、恍惚の表情で明日の結婚式を夢見るように……お目々がバッテンだね?

 「メイド喫茶組はともかく、お母さんたちも壊滅かー」「「「うん、セミオーダーならともかくフルオーダーはねー?」」」「よし、私達もパーティードレスの最終仕上げだし、バルバレラさん達も最高のドレスを作って貰わないとね!」「「「はい、頑張ります!」」」「緊張しては駄目ですよ」「そう、あの流体の波動は硬直してるほど効きます」「内部に響いて深く伝播しちゃいます」「中と外から反響するといっぱい死ねます!」「「「精神的な話ですらなかった!?」」」

 そして乙女の戦いが始まる。大部屋は既に死屍累々の新鮮ピチピチなのに動けないマグロさんで埋め尽くされ、甲斐甲斐しくラフレシアさん達がにょろにょろと介抱を始めちゃっている。うん、ブライダルエステ仕様の超美肌粘液たっぷりな振動揉み解しエステティックがエロティックに開催されて、百花繚乱に咲き誇って咲き乱れて散っては咲いて、咲いては散って……うん、片足上げブリッジで痙攣ってエロいね!

 「救護班《メディック》がラフレシアさんって、救いがない感じ?」「「「うん、あの振動波は痩身効果が高そうだね!」」」「こう、色々燃焼して昇天してる感じが……ヤバイよね!?」「だね、雫がいっぱいで潤っちゃってラフレシアさんが元気満開だもん」

 明日は世界で一番キレイなお姫様、世界で一番幸せな花嫁さんになる日だから……うん、お花がいっぱいだね?

211日目 夕方 王都傍 ノートルダム大聖堂 アルカトラズの間

 「あの、ぬるっとズレてひゅっと居なくなるのは怖えな」「あれ、距離が取れねえから面どころか線でも捉えられねえよな?」「あれなら前より随分とマシだろう?」「その割に小田たちは不機嫌そうだぜ」「あれでも駄目なのか?」

 すぐ顔に出るのは悪い癖だが、だからこそその素直さで人に好かれる。この世界の方が善良で人を騙し欺き貶める悪意が薄い、それは信頼が命に関わる危険な世界だからこそで、そんな世界で誰からも信じられる美徳。向こうで虐められていた原因の気の弱さ(やさしさ)が、こっちでは強さだと正しく認められる。

 「大丈夫なはずですよ。だけど弱い身体で高破壊力なスキルを放つ衝撃を、回転で緩和させるどころか流動で増大させて移動に繋げてるんですよ?」「どれだけ極めてみても起きてしまう反動が体内の水の伝播だから、水として扱って誤魔化そうっていう考えが怖いんですよ。もう、急に爆発したって何もおかしくないくらいの無茶を物凄く上手にできるようになったのを強いっていうんですか!」

 臆病だからこそ、目聡く賢い。だが他人の痛みを自分に置き換えて共感してしまう優しさは強さだ、普通なら目を背けるものを何処までも真摯に見詰め、その痛みを思い心を痛める。

 「強いなんて言わねえだろ、遥は」「ああ、殺すのが上手くなって壊れにくくしたんだよ。実際女子には過保護すぎるほどの安全マージン取らせてるだろうが?」「ああ、一切無理せず、付け入ることもできない安定した女子の強さは……あれ、マジでヤベえよな?」「だな、勝てるし倒せるが、あれは殺せねえ。削りあえば絶対こっちが殺られる」「あれは実利的でも在るんですよ。どんな敵にも安定して戦えて、決して損害を受けずに常に最大戦力を維持して継続させ続けられる女子組がいるから、辺境の迷宮攻略だって無理せず安定して計算できるんですから」「「「ああー、負けねえっていうのは強いからな」」」

 高いLvとかスキルとかではなく、異世界で延々と訓練し続けた力。あれはもう女子達《あいつら》の実力で、付け入る隙のない強さっていうものは途方もなく難しい。 

 「流体《あれ》、真似してやってみたんだけどさ……血液が振られちまって視野消失《ブラックアウト》起こすぞ?」「遥は血液の循環すら気功術の呼吸法に依存してるから平気なんだろう」「ああ、それに見えなくてもアイツにはもうとっくに関係ないんだろうな」「平気な顔で身体が過性虚血《ブラックアウト》を起こすような、そんな速度域をほぼ体術だけでやってるのが怖いんですよ」「まあ、それだって魔纏を抑えられてるからできてるんだし、ちゃんと進歩だろ?」「あれに魔纏が加わったらそれこそ危険ですよ」「あのな、あれは足し算じゃねんだ」「ああ、できることが多いってのはそれだけ楽で優位なんだ、そして余裕になるんだよ」「なんつーか、走攻守とかあるだろ? あれって使える手が多いほどバランスが取れるんだ、できるだけでも良いしそれは組み込めて他が生きるんだから」

 そして見せられたんだから覚えろってことだろう、きっとあれが結婚祝いなんだろう。その結婚祝いで殺されかかったが、しつこいくらいに見せ付けられた。小田達《こいつら》が延々と八卦掌を食らった時のように。

 「あれで魔纏ができたとしても、完全な迷宮皇相手に確実に勝てると思いますか?」「無理だろ? あれは、そういうもんじゃねえよ」「その最強が4人も味方してくれて、安泰に見えますけど……つまりもっと居たって何もおかしくはないんですよ」「だろうな、あのドラゴンだって、ほぼその領域だろう」「スライムさんは間違いなく至ってるだろうしな」「いや、鶏《コカ》さんだってヤベえぞ?」「魔術で言えば九尾さん凄いですよ」「地味に遥君の身体を支えてるのは蜥蜴《バジ》さんかと?」「「「ああ、あれ燻し銀だな!」」」

 笑い話みたいに戯けているが、本来ならどれもが勝ち目すら無い絶望的な戦いだっただろう。それを奇蹟の大盤振る舞いの怒涛の土砂降りで圧し潰してるだけだ、勝ち筋なんて普通は見付けられもしないだろう。

 「本当にヤベえなら図書委員辺りが潰すだろ。賢いあいつらが気付いてないわけないんだから」「生き物は奇跡的に生きてるだけで、内外の要素が偶然にひたすらに重なって奇跡的に生命体として維持されてるだけなんだそうですよ。だから豪運を超えた遥くんなら、それがどんなに狂って見えても生きてくれるはずなんだそうですよ」「「「はぁーー、そこまで極論かよ」」」「環境下で生き延びるための必然が生み出した偶然の産物が、複雑に有機的に絡み合って一個の生物を作り、それが果てし無く細分化しながら適応して進化した……それを、やってるだけなんだそうですよ」「「「まあ、間違ってはねえな?」」」「間違ってますよ、それは偶然と言うにはあまりに奇跡すぎるけど、それは進化の系統を生き延びた果てからの結果の視点ですよ……そんなの個で成し遂げるような規模の話なはずがないじゃないですか」「そんな事はわかって言ってるんだろ、もうその規模じゃないと説明がつかないとこまでイッちまってるんだよ」

 遥は強いよ。女子達《あいつら》は必死にそれを信じようとしてるだけで、一番心配してるのもあいつらで、小田達《こいつら》だ……何でわかんねんだろうな? あんなに怖いのに? 怖いっていうものは強いって言うことが。

 「翼を補強しながら最適に設計し直しつつ、超高速で大気圏すら超えるようなイカロスを無事っていうんですか? 全然止まらずに、太陽にぶつかるまで飛び続けられるだけじゃないですか」「信じてんだろ……太陽くらいどうにかするって。どうせアイツは地に足がついてねんだから」「ああ、本人があれで健康に健全に快適に暮らしてるつもりなんだ、信じるしかないんだろうな」「「「まあ、健全だけは無理だけどな!!」」」「「「ああーー! 仮縫いが心配だ!!」」」

 滅亡とか悲劇しかない異世界が嫌だって抗っちまったんだ、そして死ぬことすら許されなくなった遥は残酷な世界に適応して進化するしか無かったんだろう。 

 「俺達は何も言えねえんだよ。俺らが田中を殺れてれば、遥だってあんなふうに壊れなかっただろうよ」「暗示か催眠かなんかされてたらしいが、そんなのは関係ないんだ……あの時俺達がお前等を信じてれば、違ったかもしれなかったんだ」「柿崎くん達は最優先で狙われてたはずですよ……僕らこそちゃんと説明できてれば」「それに誰にも勝てませんでしたよ……いま遥くんが技としてやって見せてることって、田中くんを再現してるんですよ。きっと最も戦いにくかったから」「「「ああ、やってみて思い出したよ」」」

 当たらねえ、全部がズレてて動きが読めなくて、挙げ句対応できないほどの技数、そのどれもが計算されていて確実に殺しに来る。わざわざ結婚式の前に俺たちが最も殺され掛かった戦いを再現してくれやがった、お前たちは明日からもう死ねないんだぞと、ついでだから今の内に試しに殺してみようかなと。

 「まったく……今なら田中なんかに負けるわけがねえだろ」「ったく……」「悪いな、俺達は今以上に動けなくなっちまう」「「「おめでとうございます、それは良いことじゃないですか」」」「ちゃんと家族を第一で守らないと、本気で怒られますよ?」「「「ああ、わかってる」」」「全然魔力を使ってませんでしたから、何度も何度も枯渇させながら祝ってくれてるんですよ」「「「その省エネな体術だけで殺されかかったけどな!!」」」

 まあ、結婚式なんて新婦が喜んでくれて、その家族に礼を尽くせればどうでも良い……まあ、神父がヤバいが。ただな……

 「アルカトラズの間ってなんなんだよ!」「ったく、信用しろよ。壁の中まで鉄板だぜ?」「武器なしじゃキツいな」「「「っていうか僕たち無関係ですよね!!」」」「独身最後の夜が」「だから監禁なんじゃないかと?」「遥も気を利かせて抜け穴くらい」「「「いや、そんな怖い穴入れねえだろ!」」」「いや、小田達いるんだから結界で凌げねえか?」「「「だから、僕たち完全に無関係ですよね!!」」」「獣人さん達嗅覚も聴覚も物凄いんです」「はい、深夜にお出かけとか絶対無理です!」「「「お前等も試したんじゃんねえかよ!!」」」「っていうか飯がたこ焼きだけって足りねえよ、肉食いたいだけなんだよっ!」「「「確かにたこ焼きに白ご飯は辛い!」」」「あのわざとらしいくらいの襤褸い絶対壊れる上に爆発する気しかなさそうな蝋製簡易翼(ばかです?)が罠だよな!?」「「「ああ、もうイカロス関係ねえじゃんか!」」」「いや、こっちのは「以下ロス(Loss)(笑)」だぞ?」「「「(笑)がムカつく!!」」」「このロープも絶対導火線だよな!?」「「「っていうか「オタDeath!」って、僕ら関係ないですよね!!」」」「何で僕らまで閉じ込められてるの!?」

211日目 夜 王都傍 ノートルダム大聖堂 築地の間

 「「「よし、仕立ての最終決戦だ!」」」「うん、漏水の吸水機関《ラフレシア》さんは万全だし大丈夫だね?」

 艶かしくうねる艶やかな白い肌と、妖艶にくねる震える肉体の饗宴で見た目は大丈夫感皆無だけど、「超ビギナー用ネンネ(BABY)モード」だし?

 「まあ、新郎とその一党は新婚前夜の悪い遊びに行かないように監獄《おへや》に入れてあるし?」「「「全く、男子って」」」「性帝さんだけ野放しだけどね」「「「うん、迷宮皇4名が常時感知状態だから監獄より過酷な要監視体制だから」」」「どっちかって言うと、悪い遊び云々より、性帝さんが夜の大人なお姉さんのいるお店に行くと……お姉さんたちが壊滅しちゃうから、要監視レベル無限大(MAX)らしいよ?」「「「うん、夜の大人な環境破壊兵器だよね!」」」

 うん、しっかりステーキ弁当で腹ごしらえして乙女の戦場へ、最高の結婚式を祝福するための最後の決戦に旅立つ。そう、純情可憐な乙女は触手なんかに負けないんだからね!

【負けました】