Lonely Attack on the Different World
I'm not convinced that the 1456 part flying six is unpopular!
同時刻 帝国軍 督戦隊
命を捨てて仲間を護った一人の兵士の想いが引き継がれていく、この戦場に消えた幾多の勇者たちの想いが連綿と受け継がれていく。だから、その誰もが英雄のように尊く戦い、美しくその命を散らす。その悲壮だが天晴れな最期を見ながら、敵ながら見事だと監視の兵たちが涙に咽ぶ。
「なあ、王国は……辺境はずっと魔物と戦ってくれてるっていうのに」「言うな。それを口にすることも許されんのだ」
兵達が哭く――消えていく大軍、それは属国といえども味方。その友軍を無為に死なせ、それを監視するだけの我らと、壮絶な最期を遂げながら仲間たちを護り、露と消えていく勇者の生き様に誰もが泣き崩れる。
「全身血塗れなのに……立ったまま拳を突き上げて果てている」「くっ、死しても倒れず仲間を……悔いのない立派な表情《かお》だ」
我らに命じられたのは督戦隊、無謀に突撃する友軍の退路を断つ非道な作戦。なのに属国の軍は何も言わず突撃して血煙の中へ消えていく。見れば女子供に老人まで……もう食料がないんだろう、だから存亡をかけて国家一丸で挑んだのだろう。
「俺たちは……俺たちは何で」「言うな、言ってどうなる」
爆炎と煙に覆われた荒れ果てた残酷な戦場――だが、そこには誇りがあり、生き様があり、悲惨で凄惨であっても矜持がある。我らにはなにもない。見張って、友軍が死すのを見ているだけで、その消えていく姿を眺めているだけだ。
消耗戦……圧倒的な兵力差で敵を削り続ける戦術。それは軍略として正しく、兵としては惨めだ。そこに誉れも誇りもない、我らは英雄になる資格すらない卑劣な傍観者なのだから。
「移民させてやれば良いじゃないか……」「それが敵の戦力に変わる、その分だけ味方が死ぬ」「彼奴等だって味方だろう、属国であっても同じ帝国だろう!」
吸えるだけ税を吸い上げ、絞り滓のように人を捨て駒にして敵を消耗させるだけの消耗品として使い潰す。それが帝国だ、そして祖国もその甘い汁を吸っている側なのだ。
「この戦場を知らない奴らが戦争を叫び、無関係な搾取された奴らが死んでいくんだ……なんなんだよ、この戦争は! 俺は国を守りたくて軍人になったんだ、それが……それが、これかよ!」
戦場では孤影が歩む――敵兵がたった一人で戦場に立ち、味方を逃しながら囮になる。なのに不敵に挑む……既にその身は満身創痍でありながら、たった独りで、まるで倒さんという気概で万の兵に挑む戦士。
「くそっ、くそっ、こんなのって有るかよ……畜生っ」
全軍が泣いている。その敵兵の生き様の見事さに、そして自分たちの惨めさに涙する。その壮絶な死を悼みながら、止まらない嗚咽が野営地を満たしていく。
もう良いや、俺亡命しよう。
「ちょ、将軍! 自分だけズルい!?」「いや、俺あっちが良いわ?」「俺たちだってアッチが良いですよ!」「だが、死ぬぞ?」「死んだって……死ぬんならあっち側で死にたいですよ」「家族だって分かってくれますよ……どっちが正しいかなんて、見ればわかります」「心が、魂が訴えてくるんです。どんなに偽ろうとも……お前は何のために戦うんだって」「お供します、っていうか自分だけ行かせませんよ!」「お前らな、寝返った敵兵なんて最前線で使い潰されるんだぞ。あの属国の軍のように」「だから行くんですよ……お供します!」
――そうして、また騙された帝国軍が教国軍に下っていく……全部が演技《うそ》だったと知って茫然自失(orz)し、笑いながら友軍に変わっていく。うん、みんな「ここは任せろ(アレ)」がやりたいらしいの?