Muimui-tan

Three, eleven. Premature.

―1―

戦いが終わるとずだ袋の方々が現れ、倒れた少年を回収していく。

俺もずだ袋の人に連れられ通路へ。

「初勝利おめでとう」

ずだ袋の人からの祝福。うーん、余り嬉しくないんですが。やっぱり俺にはこういうの向いていないよなぁ。

「これが報酬だ」

ずだ袋の人から報酬を受け取る。1死に紙を2枚と小っちゃな魔石1個だ。何の魔石か分からないけど砕いておくか。

俺はその場で魔石を砕く。えーっと、MSPは1増えたか。……って、1では何もスキルを習得出来ないじゃん。これって結構、酷いよな。

後は1死に紙を使って魔法の巾着(1)を買っておくか。

控え室に戻り、そのまま魔法の巾着(1)を購入する。そしてフードコートへ。さあ、最後の1死に紙を使って食べ物を物色するのです。うーん、保存食系は無いか。焼いただけの謎肉や同じように焼いただけの魚、油で揚げたぽい肉に芋もどき……うーむ。殆どが1死に紙で購入することが出来るようだ。うむ、揚げ物があるのは意外だったな。よし、大体、どんなご飯があるかは確認出来た。夕方、もう一度ご飯を食べに来よう。

じゃ、夕方まで練習場で時間を潰しますか。

練習場で闘技者達の動きを観察する。剣を必死に振るっている闘技者もいれば、篭手で何かを殴る練習をしている闘技者もいる。斧は居ないな……うん、ここでも斧は不遇武器か。斧と言えばウーラさんだけど、元気にしているんだろうか。何だか、凄い昔のことに思えるなぁ。

「お、ランじゃないか。どうしたんだぜ?」

俺に声をかけてきたのはキョウと名乗っていたおっさんだった。芋虫魔獣へ気軽に声をかけるとか……良い奴じゃないかッ!

『ああ、剣が苦手なのでな。他の方々の動きを見ていたのだ』

「ほぉ……。なら俺と一緒に団体戦へ参加するかい?」

何が「なら」なんだろう。まぁ、今日はデビュー戦を終えたばかりだし遠慮しておこうかな。

『またの機会に、な』

―2―

ずーっと他の方々の練習風景を観察し、夕方になったのでフードコートへ。おばちゃん、揚げ芋くださいな。

四角い器に大量に詰まれた揚げられた謎芋。さあ、食べよう。もしゃもしゃとなッ! 小っこい羽猫よお前も食うが良い。

さあ、実食だ。

うん、ちょっとゴリゴリする。味も薄い……コレ、絶対薄切りの方が美味しいよなぁ。薄切りで揚げて、そして塩を振りかけるんだ。

にしても揚げ物があるなら唐揚げが食べたくなるなぁ。唐揚げの原材料って何だったかな。ああ、肉に唐揚げ粉をまぶして揚げればいいんだ。って、唐揚げ粉って原材料なんだよ。うぐぅ、こんなトコロで躓くとは……。だ、誰か、唐揚げ粉の原材料を教えてください。料理の知識を持った天才転生者とか現れないかなー。

大部屋に戻り、ステータスプレート(銀)を確認する。当たり前だが経験値は増えていない。

現在のMSPは49か……。60で増加を3に出来るけど、今の状態でそれに使っちゃうのは――得策ではないな。そうだ、せっかくだからメインクラスを戦士に入れ替えてみるか。その為に魔法の袋からアイテムを取り出しておいたんだしね。

ステータスは、と。

筋力補正:8 (2)

体力補正:6 (2)

敏捷補正:45(4)

器用補正:10(8)

精神補正:4 (0)

LV7の現状がコレ。そして戦士に入れ替えると……。

筋力補正:8 (3)

体力補正:6 (3)

敏捷補正:45(0)

器用補正:10(2)

精神補正:4 (0)

筋力と体力、それに器用が上がるのか。う、うーん、微妙か? この補正ってのがどれくらい効果があるのかイマイチ分からないんだよなぁ。最初の敏捷補正を8上げた段階では異常に動作が早くなった気がしたんだが。しかし数値が増えてくるとそこまで実感が湧かなくなってきたし……。

筋力補正が力強さで体力が持久力みたいな感じだと思うんだが、この値は敏捷補正と違って増えても余り変わった気がしないんだよなぁ。元の数値が重要ってことなんだろうか。

まとめると元の数値が大きい? と数値を増やしても効果が実感できない。逆に劣っている部分はかなり変わる。が、増えてくると余り変化がなくなってくる……って感じだろうか。

うーん、良くわからない。言葉通りの意味なら『補正』だもんな。何を補正するんだって話だよなぁ。良くわからないし、敏捷補正が上がる狩人に戻しておこう。っと、その前にスキルの確認はしておくか。

戦技   LV0(0/100)

早熟   LV0(0/20)

挑発   LV0(0/20)

物理耐性 LV0(0/40)

戦技は戦士系の攻撃スキルを憶えるんだろうな。早熟は良くわからないな。挑発はヘイト集めスキルかなぁ。パーティ戦で盾をするなら重要って感じだろうか。物理耐性もそれに合わせたモノだろうしな。まぁ、物理ってのが良くわからないが。物理ってゲーム的な単語だよなぁ。何をもって物理って言うのかが分からない――しかも、それに対する耐性って何? 物理に該当する衝撃を受けそうになると防御膜でも出るのか? ホント、謎だらけだ。

よし、せっかくだから早熟を上げてみるか。

【《早熟》スキルが開花しました】

【《早熟》スキル:常時発動(パッシブスキル)、獲得出来るMSPが+1される】

ふぁ!? ま、まままままマジですか。超重要スキルじゃないのか、コレ。戦士メイン、狩人サブもあり得るんじゃないか。増加を4まで上げればサブでも袋の容量は二つ増えるし、それだけあれば何とかなると思うから、コレは有りだよー。魔石を砕いた場合でも+1されるのかな。もしそうなら砕く時だけクラスを入れ替えるのも有りだよなぁ。まぁ、魔法の袋の中身だけは忘れないようにしないと悲しい結果になるけどさ。

ま、まぁ、今回は狩人をメインに戻しておこう。もう少しMSPを溜めてから色々考えよう。ふ、ふう、お、落ち着け自分ッ!

あー、早く、こんな所からおさらばして迷宮にこもってスキルを増やしたいなぁ。

後は、っと。今日もとりあえずシロネさんとミカンさんの位置を確認しておくか。

シロネさんは東に動き始めたか。うーん、帝都の逆側に回ろうとしているのかな?

ミカンさんは更に北へ、と。ちょっとミカンさんの行動が掴めないな。もしかして人攫いにでもあったんだろうか。心配だなぁ。にしても、これだけ離れてもパーティは維持できるんだな。離れたくらいではパーティを解除されないのかな? そういう所もゲームみたいだよなぁ。