Murabito Desu Ga Nani Ka?

Finally, I'm stronger with Dantotsu! Evil Dragon Crusade! Part 2

「――――――世界最強の村人だ」

 俺が言葉を終えると同時――アマンタの両手の爪が鋭く伸びる。

 それは猫が普段は爪を隠しているのと同じで、つまりは戦闘モードになったということだ。

 そして、その爪から滴り落ちる紫色の雫を見て俺は苦笑した。

「なるほど。龍と言うよりも……毒蛇か。邪龍っつーくらいだから、まあ、そういう存在だよな」

 地面に雫が滴り落ちる。

 半径数メートルの草が瞬時に腐り、嬉しそうにアマンタは笑った。

「うふふー。ねえねえお兄ちゃん? お兄ちゃん? 綺麗な薔薇にはトゲがあるんだよ?」

「薔薇っつーか……見た目からそのまんま食虫植物だけどな。喰っちまうと怪我をするだろうからできれば触れたくはねーんだが」

 実際、見た目は10歳前後でゴシックロリータ。

 現代日本で手を出せば余裕で警察的な意味でアウトだ。

 そこでアマンタはクスクスと笑った。

 ――俺の背後のコーデリアを確認して、心底嬉しそうに笑った。

「ねえねえ、お兄ちゃん? お兄ちゃん?」

「何だ?」

「お姉ちゃんはね? お姉ちゃんはね?」

「だから何だ?」

「――好きな人がいるんだって! ねえねえ、お兄ちゃん? お兄ちゃん?」

「……何だ?」

「もしかしてね? もしかしてね? お姉ちゃんの思い人って――お兄ち――」

 ノータイムの加速。

 相手は確かに幼女だが、それは見た目だけの話だ。

 実際にはロリババァ。

 つまりは――流石にウザイ。

 背中に背負った剣を引き抜いて、俺は大上段からアマンタの脳天目がけて振り下ろす。

「キャハハっ! キャハハハッ!」

 楽し気に、舞うようにアマンタは笑いながら俺の剣撃を避ける。

「ねえねえお兄ちゃん? お兄ちゃん? どこでこんな剣を手に入れたのかな? 手に入れたのかな?」

 足癖の悪い幼女みたいだ。

 まずは下段蹴り。

 バックステップでかわすと同時、同じだけの間合いを詰めて来た。

 次は頭部に向けての上段蹴り――と、見せかけて、途中で軌道を変えて中段へ。

 ――ブラジリアンキック。

 なかなかどうして、やるじゃないか……この金髪ゴシック幼女。

「グッ……っ!」

 モロに脇腹に被弾。

 ちょいっとばっかし衝撃に内臓が踊る……ってか、割りと洒落になんねー。

 ――スキル:不屈発動。

 何とか俺は倒れる事なく、アマンタに向けて剣で横薙に返礼を行った。

 そうして、俺の剣閃は完全に見切っているとばかりに、優雅にアマンタは余裕の笑みを浮かべる。

「ねえねえお兄ちゃん? お兄ちゃん? この剣って、多分……すっごいレアな剣だよね? 強い剣だよね? それこそ、ベテランの勇者が持つような剣じゃないのかな? ないのかな?。

 剣を優雅にかわしながらアマンタは続ける。

「でもねでもね? お兄ちゃんにはちょっとばっかし、この剣は似合わないのじゃないのかな? ないのかな?」

 クスクスと嘲笑の笑い声が森の中に響く。

 そこで俺の背後のコーデリアが自らの剣を構えてこう言った。

「リュート? アンタは確かに強くなった……そりゃあもう、物凄い強くなった。それは分かるし、実際に私と一緒に戦えるレベルだと思う」

「そりゃあまあ、どうも」

「……私はアンタを尊敬する。何せアンタは――ある程度成長している勇者……私とほぼ同じ次元にいるんだからね。タダの村人がどうやってここまで叩き上げたのか……全く、アンタって男は……」

 そうしてコーデリアは俺の背中に向けて歩みを進めて来た。

「リュート? 二人でやるわよ? 今の私と今のアンタなら、例え厄災が相手でも――やってやれない事は無い」

 振り向くとコーデリアは心底嬉しそうに笑っていた。

「まあ、ひょっとするとアンタ一人で……退治しちゃうかもとか思ってたんだけどね。相手は厄災にも数えられる規格外……流石にそれは無茶――」

 そこで俺は、やれやれとばかりに肩をすくめた。

「俺とお前の二人で……邪龍如きに対峙する? どうしてだ?」

 え……とコーデリアは大口を開いた。

「……さっきの戦闘を見させてもらったからだけど? アンタ一人ではさすがに無茶って言うか……無理」

 なるほど、と俺は苦笑した。

「あのさ、コーデリア?」

「ん?」

 しばしのタメの後、俺は口を開いた。

「――俺はさっきの戦闘で……身体能力強化を使っていない」

「……へっ?」

 コーデリアはフリーズした。

「だから、身体能力強化を使っていないんだよ」

 何を言っているのか分からないとばかりにコーデリアは更にフリーズを続ける。

「……それって……どういう?」

「身体能力強化ってのは、最も基礎にして、そして最も倍率の高いステータス増強スキルだよな?」

「うん、そうだけど……で、近接戦闘職にはソレは必須スキルで、例えば剣士がそれを使わないとか……魔法使いが魔法を使わないとかそういうレベルでな訳で……」

「で、身体能力強化を使えば、近接戦に必要なステータスは倍になる訳だよな?」

 そこでイラっとした表情をコーデリアは作った。

「ごめん、本当に意味分かんない。だからつまり……どういうこと?」

「いや、実際……他の強化スキルは色々使ってるよ? でも、俺は修行の為に最も基礎的な当たり前のスキルは使わない事にしているんだ。この場合は身体能力強化だな……」

 コーデリアの表情がどんどん蒼ざめていく。

 まあ、実際にこれがどれほど常識外れなのは自分でも知っている。

「ねえアンタ? 本気でソレを言ってんの?」

「ああ、つまり、俺は――本気出したら今の2倍強い」

 と、そこで俺の背後から空気を読まずにアマンタが喜々として走り寄って来た。

「お兄ちゃん? お兄ちゃん? 戦闘中によそ見をしちゃあいけないって習わなかった? 習わなかった?」

 ――身体能力強化発動。

 攻撃力・防御力・回避の全てのステータスが2倍になる。

 周囲の全てがスローモーションに見える。

 で、俺が繰り出した攻撃は――

 ――裏拳。

 前歯2本が粉砕され、一切の反応ができないアマンタは物凄い勢いで後方に吹き飛ばされていく。

 森の大樹に激突し、けれど勢いは止まらない。

 10以上の樹木を巻き込み、自然破壊を行いながら20メートル程……ぶっとばされた所でようやく彼女は止まる事ができた。

 信じられない、とばかりにアマンタは自らの口に手をやる。

 そして、止めどなく流れる血液を確認し……しばし固まった。

 10秒、20秒、そして30秒。

 ようやく状況を認識し、固まったままのアマンタは一言こう言った。

「……ハァ?」

名前:リュート=マクレーン

種族:ヒューマン

職業:村人

年齢:12歳→15歳

状態:通常

レベル:100→341

HP :4352/4352→11150/11150

MP :17890/17890→25680/25680

攻撃力:1031→3560

防御力:998→3540

魔力 :3408→6823

回避 :1162→3982

強化スキル

【身体強化:レベル10(MAX)】

【神龍の加護:レベル10(MAX)】

【鋼体術 :レベル10(MAX)】

【鬼門法 :レベル10(MAX)】

【龍神降臨:レベル0→5】

【闘仙法力 :レベル0→3】

 攻撃スキル

【神殺し:レベル0→3】

 防御スキル

【胃強:レベル2】

【精神耐性:レベル2】

【不屈:レベル10(MAX)】

 通常スキル:

【農作業 :レベル15(限界突破:ギフト)】

【剣術  :レベル4→10(MAX)】

【体術  :レベル8→10(MAX)】

【明鏡止水:レベル0→10(MAX)】

【龍脈運用:レベル0→10(MAX)】

魔法スキル

【魔力操作:レベル10(MAX)】

【生活魔法:レベル10(MAX)】

【初歩攻撃魔法:レベル7(成長限界)】

【初歩回復魔法:レベル7(成長限界)】

【仙術    :レベル0→5】

 職業スキル

【村人の怒り(MPの全てを消費してMP及魔力依存ダメージ(大))】

・鋼体術使用時

 攻撃力・防御力・回避に+150の補正

・鬼門法使用時

 攻撃力・防御力・回避に+300の補正

・龍神降臨

 攻撃力・防御力・回避に+1000の補正

・身体能力強化使用時

 攻撃力・防御力・回避に×2の補正

・神龍の加護使用時

 攻撃力・防御力・回避に×1.5の補正

・闘仙法力

 攻撃力・防御力・回避に×1.5の補正

・神殺し

 神にダメージを与える事が可能なスキル

・エクスカリバー

 攻撃力+1200

 回避 +300

 神殺し属性付与3

・龍王の指輪

 攻撃力+300

 防御力+300

 回避 +300

・咎人ノ衣

 防御力+100

 回避 +800