My sister and I moved around the world until I unified the continent to protect my sister.
43 Pleasure Celebration
俺が十日熱から回復した翌日、香織とリンネとライナさん姉妹、商会のリステラさんに従業員の人、薬師さんも加わって快気祝いのパーティーを開いてくれた。
リステラさんが雇った従業員はやはりエイナさんの話に出てきた人だったらしく、鑑定してみたら
セシル 人間 15歳 スキル:会計Lv2 経営Lv1 経済学Lv1 状態:緊張 地位:リステラ商会従業員
と出た。
商会の名前はお任せにしたけど、リステラ商会になったんだな。この世界では所有者の名前をつけるのは一般的な事らしい。表向きはリステラさんがオーナーだしね。
ちなみにセシルさんは小柄でふわっとした雰囲気で、手芸部の部員さんみたいなイメージのかわいい人だった。
エイナさんと顔を合わせた瞬間、恥ずかしそうに顔を赤くして目を逸らせていたので、エイナさんになにかあったのか訊いてみたら、『リスティは親友としてあの子を助け、共にあって立ち直らせました。私は医術を学んだ者として、その手助けをしただけです』との事だった。
それってつまり……うん、これ以上触れないでおこう。
ちなみにこの世界、中絶とかは表向き禁止らしい……。
リステラさんはパーティーのはずなのになぜか商売の話をしはじめ、俺が寝ている間に行われた第二回オークションでは二着目のドレスが3200万アストルで売れたと報告してくれた。
そういえばそれどころじゃなかったので忘れていたが、リンネが今回持ってきてくれた三着分のカレサ布があるんだった。あとで妹と話をしてもらおう。
リステラさんもセシルさんもエルフ同席のパーティーに嫌な顔一つせず、普通に楽しんでくれているようだったので、その点でも一安心だ。
なお、リステラさんはセシルさんから『お姉さま』と呼ばれているらしい。同級生だよね君ら?
リステラさんは恥ずかしいのか俺達がいるからか、必死に『店長』に直させようとしていたけど、俺はいいと思うよ。うん。
二人を温かく見守っていたら、なぜか妹が俺の袖をギュッと握ってきた。なんか病気以降、ますます俺に貼りついている事が多くなった気がする。まぁ心細かっただろうから、しばらくはしょうがないだろう。
薬師さんは十分休息をとり、ご飯も食べて自分用の薬も作ったらしく、鑑定してみたら状態が『病(中)』だけになっていた。
まだ時折咳き込んでいるし、すぐに治る病気ではないらしいが、徐々に回復に向かっているようだ。
お風呂に入ってさっぱりした薬師さんはかなりの美人で、鋭い目をした女医さんか化学教師……が不摂生してやつれたような雰囲気だ。これから栄養状態が改善すれば、すごい美人さんになりそうだ。
眼鏡も似合っているし、白衣とか似合いそう。香織に頼んで作ってもらおうかな……。
なんて考えていたら、また妹に袖を引かれた。そんなに寂しかったのかな? まぁこの世界に来てからはずっと一緒にいて、何日も離れたの初めてだったしな。
エイナさんは薬師さんに気に入られたらしく、それとなく色々教えてもらっているようだ。この短期間で薬学がLv3から4になっていた。
しばらく学校を休ませてしまったことをお詫びしたら、『いえ、それよりはるかに有益な知識を得られていますから』と、ご機嫌な様子だった。わずかとはいえ表情に出るなんて珍しい事だ。
迷惑かけついでに、ラドガン鉱山に関する情報を集めて欲しい。可能であれば買収が可能かどうかもとお願いすると、すでにライナさん辺りからそれなりに事情を聞いていたのだろう、あっさり了解してくれた。
ライナさんには色々お世話になったお礼を言い、かかった経費をプラスアルファで補填した上で、改めてこれからもよろしくとお願いした。
ライナさんは鉱山への往復に使った馬車と馬が気に入ったらしく、まだ屋敷に置いてあるのだそうだ。
お礼の一部として馬車は買い上げて家に置く事にし、留守をする時の世話は商会で雇っている護衛の人にお願いする事にする。
合間を見て乗馬の練習をしていると言っていたライナさんは、スキルに『乗馬Lv1』が追加されていた。
ちなみに妹も、料理と裁縫のレベルが3に上がっていた。
もしやと思って自分も鑑定してみたら、相変わらずの『スキル:なし』だった。マジかよ。
ちなみにこれが六回目の鑑定だったので、その場で気を失って倒れてしまった。自分でもアホだと思う。
次に気がついた時にはもうパーティーは終わっていて、ベッドの脇にいた涙目の妹が、『ごめんねお兄ちゃん、病み上がりなのに無理させて……』と手を握って謝ってくる。
完全に俺の自爆ですとはさすがに言えず、体力が戻っていないフリをしてごまかしたが、むしろ妹の方が重症からの病み上がりで、今日は朝から張り切ってパーティー料理を作っていたのに、大丈夫なのだろうか?
とその時、部屋の隅に壁にもたれた薬師さんがいて、こちらを鋭い目で見つめているのに気付く。心配して看病してくれていた……感じじゃないな。
薬師さんは俺が目覚めたのを確認するとこちらに歩いてきて、ベッドの上の俺を見下ろしながら質問を発する。
「単刀直入に訊く。おまえは魔族か?」
「…………は?」
大陸暦419年3月7日
現時点での大陸統一進捗度 0.001%(リンネの故郷の村を拠点化・村人3人)
資産 所持金 7719万8400アストル(+1500万)
配下 リンネ(エルフの弓士) ライナ(冒険者) レナ(エルフの織物職人) セレス(エルフの木工職人) リステラ(雇われ店長)