Nido Tensei Shita Shounen wa S Rank Boukensha Toshite Heion ni Sugosu ~ Zense ga Kenja de Eiyūdatta Boku wa Raisede wa Jimi ni Ikiru ~
111 Talking or gossiping fortress routine
ワイの名は防衛装置1029号。
ドラゴニアの要塞内部を守る防衛装置をやっとります。
暫く前まで機能を停止しとったんやが、ついこないだ再起動したんでまた仕事を再開したんよ。
いや驚いたでホンマ。
なんせ再起動したら要塞内に魔人がウジャウジャとおったんやから。
急いで魔人を1人残らず殲滅してやったわ。
そんな訳で要塞内は平和になった訳なんやけど、ちょっと暇やわ。
なにせ基地内には人間達は1人もおれへんし、魔人も殲滅してもうたしなぁ。
まぁ、たまに思い出したように御一行様がやってくるんで、要塞の奥までご案内してからお代を頂いて一網打尽にしとるんやけどな。
「ぐわぁぁぁっっ!」
「ば、馬鹿な!? この要塞は既に機能を停止していグワァァァッ!!」
はいお約束のセリフご苦労さん。
というか、ええ加減警戒せぇやお前ら。
機能停止前の頃の魔人と比べてやたらチョロイんやが、なんやのコイツ等?
そーいや気付いたらワイ等の防衛戦術に、相手を内部までおびき寄せてから倒せって命令が入っとったんやが、それ要塞の防衛装置としてどうなんやろ?
……まぁええわ、多分ワイ等を再起動した人間の方針なんやろ。
けどその人間もすぐにどっか行ってもうたよってなぁ。
「しかしアレやな。要塞内も随分と賑やかになったのう」
そう声をかけてきたのはワイと同じ防衛装置の489号や。
「いやいや、人間も魔人もおらんやんけ」
むしろ静かになったいうんが正しいんやないか?
「けど代わりにお仲間が騒がしゅうなったやないか」
あー、そっちかー。
うん、まぁ、ワイも内心ではそう思わんでもなかった。
なんかなぁ、ワイ等いつのまにか『考える』事が出来る様になっとったんよな。
ワイ等マジックアイテムやからな、計算したり命令内容を判別する機能はある。
けどな、こうやって仕事に関係ない事を『思う』機能なんてあれへんかった。
道具にそんな機能は必要ないよってな。
当然同じマジックアイテムを仲間と思ったりもせぇへん。
それどころか会話なんかする筈もなかった。
けど理由は分かる。
それは、ワイ等が繋がっとる大元、つまりこの要塞を統括する制御装置が突然賢くなってもうたんが原因や。
親分が賢くなったもんで、連結しとるワイ等もその恩恵を受けて賢くなったんやな。
多分要塞が再起動する際に、古い部品を交換するなりして機能を向上させたんやと思うわ。
以前は「敵は皆殺しじゃぁぁぁぁ!」って叫んどった親分が、今じゃまるでインテリ盗賊みたいに別人になっとるよってな。
「ええかお前等。敵を攻撃するときは逃さへんように袋小路に追い詰めるんやで。あと味方に誤射させて同士討ちを誘うんもええな」
いやフレンドリーファイヤを誘発して仲間同士で殺しあわせるとか、えげつなさマシマシや。
ホンマ親分がこんなインテリ盗賊になってまうなんて、どんだけ高性能なマジックアイテムを搭載されたんや?
もしかしてアレやろか? この要塞は最新の無人要塞を運用する為の実験場として使われることになったんやろか?
要塞の最高責任者も変わっとるみたいやし、そういうことなんかなぁ?
まぁ前の責任者は交換されてもおかしゅうないレベルの不良品やったからなんとも言えんけどなぁ。
こんな突拍子も無い『予想』をしてしまうんも、ワイ等の計算能力が上がっとるんが原因なんかなぁ。
そんな訳で妙に性能が良くなってもうたワイ等やが、最近は魔人達も警戒しとるのか全然こんようになってもうた。
ちょっと張り切って狩り過ぎてもうたかな。
お陰で退屈やわ。
せやけどワイ等はマジックアイテムやからな。
仕事がないならスリープモードになって敵が来るまで待つだけや。
「ほなおやすみー」
「おやすみー」
さーて、次に敵が侵入してくるんはいつやろなー。