●ゴルドウルフ・スラムドッグ

世界を席巻する勇者一族『ゴージャスティス』を滅ぼすため、密かに活動をしている40代のオッサン。

聖女プリムラの勧めによって立ち上げた冒険者たちの店、『スラムドッグマート』で導勇者(どうゆうしゃ)たちに対抗していた。

そんなある日、下級職小学校の新人教諭であるグラスパリーンと、店の常連であったお嬢様のシャルルンロットに依頼され、剣術大会の出場を手助けすることになる。

大会では調勇者(ちょうゆうしゃ)ダイヤモンドリッチネルと、導勇者(どうゆうしゃ)ミッドナイトシャッフラーによる妨害を受けるものの、ゴルドウルフの暗躍と、子供たちのがんばりによって優勝を勝ち得る。

剣術大会で優勝したことにより、『スラムドッグマート』の評判は領内で一気に高まった。

店は順風満帆。ゴルドウルフはさらなる店舗拡大を考えていたころ、またグラスパリーンからの依頼を受ける。

それは、彼女の昇進試験の手伝いであった。

内容としては、高難易度地下迷宮(ダンジョン)である『蟻塚』を踏破するというものである。

ゴルドウルフはそれに付き添い、導勇者(どうゆうしゃ)であるミッドナイトシャッフラーの最後の野望を打ち砕く。

そして彼が管理していた『蟻塚』を乗っ取り、『不死王の国』として、戦勇者(せんゆうしゃ)をおびき出して退治する施設とした。

剣術大会と昇進試験、ふたつを通じてゴルドウルフは確信する。

この世界の子供たちは、導勇者(どうゆうしゃ)たちによっていいように利用され、歪まされていると。

そしてそれが、さらに悪逆な勇者を生む原因となり、世間を仇なす負の連鎖に繋がっていると。

ゴルドウルフは勇者の魔手から子供たちを救うため、『スラムドッグスクール』という私塾を設立する。

『冒険者』と『商売人』に加え、さらに『教師』という三足目のわらじを履くことを決意したのだ。

彼の性格は温厚で物静かだが、悪行を働く者には容赦せず、また手段を選ばない。

勇者を裁くときにはほとんど直接手を下さないが、それは正体がばれてしまうと形勢不利になってしまうのを防ぐためである。

本人は勇者たちから幾度となく虐げられ、また多くの罪なき人々の無念を一身に背負っている。

しかしながらも感情的にならないのは、それだけ彼の怒りが深いものなのかもしれない。

結婚はしておらず、独身。

サバイバル生活も長くこなしてきたので、家事はひととおりできる。

第2章では料理の腕前を披露。卵焼きを作り、少女たちをさらに虜にした。

しかし、容姿は灰色のオールバックの髪型に、小さく鋭い目つき。頬はこけ、大きな傷があるというコワモテ。

本人もそれを気にしているのか、普段はなるべく笑顔を心がけている。

●ルク

煉獄でゴルドウルフが従えた『人ならざる者』。

絶大なる力を、主であるゴルドウルフに貸し与え、手助けする少女。

彼女は人間ではないが、人間の味方をしている。

しかしそれは、ゴルドウルフの意思を汲み取ってのことである。

彼女自身にとっては、ゴルドウルフ以外の人間は『動物』として一括りの生き物でしかない。

第2章ではドラゴンゾンビの討伐、『昇魂の儀式』の妨害、ミッドナイトシュガーの記憶を取り戻させるなど、要所で活躍をしている。

普段は妖精のような手のひらサイズの大きさで、ゴルドウルフの肩のあたりを漂っている。

この状態の時には、普通の人間の目では見ることができず、また声も聞こえない。

人間サイズになった場合は可視となり、目がくらむほどの美少女っぷりを発揮。

そんな謎の美少女が時たま『ホーリードール家』に現れるので、アントレアの街の人たちの間では噂になっている。

性格は見た目と同じく、上品でおしとやかであるが、実は計算高く腹黒い。

プルとは双子のような関係であるが、自分のほうがお姉さんだと思っている。

そのため、プルが見ている所ではゴルドウルフに甘えようとしない。

夜はいつもゴルドウルフの腕枕で寝ているのだが、プルが寝たときに胸に頬ずりするのが彼女の密かな楽しみとなっている。

●プル

ルクと同じく煉獄で従えた『人ならざる者』。

性質は異なるが、ルクと比肩するほどの力を持っており、ゴルドウルフに協力している。

第2章ではルクと同じく活躍し、ご褒美として『食べ放題』に連れて行ってもらえることになった。

そのことが表しているように、食べることが大好き。

人間が食べるものはもちろん、鋼鉄やダイヤモンドまでもをプレッツェルのように噛み砕き、消化してしまう。

南国の踊り子のように活動的で明るい性格。

アントレアの街では『謎のマスコット』的地位を確立しつつあり、彼女が市場を歩くと両手で食べ物がいっぱいになるという。

●錆びた風

ゴルドウルフが『煉獄』で従えた、『魔界の冥馬(めいば)』と呼ばれる芦毛の馬。

子供が10人乗っても大丈夫なほどの巨躯と、疾風のような速さと砦のような強健さを誇る。

第2章では剣術大会の最中にさらわれたプリムラを助けに行くため、その俊足をゴルドウルフに提供。

昇進試験では、アントレアの街と『蟻塚』を往復するための馬車を引いた。

ちなみにではあるが、とても知能が高く、人間の言葉を理解する。

なので御者がいなくても、場所を伝えるだけでどこへでも運んでくれる。

さらにその道中で盗賊などに襲われても、瞬殺できるほどの戦闘能力を持っている。

●バルルミンテ

ゴルドウルフが『煉獄』で従えた、不死王リッチと呼ばれる最上級のアンデッドモンスター。

アンデッドモンスターといえばゾンビなどの醜いイメージがあるが、上級になるとヴァンパイアのような、人間以上の美しさを持つようになる。

彼は山脈のような真紅のマントをはおり、その上に巨人の頭蓋骨のような、巨大なる黄金ドクロを乗せた容姿をしている。

マントの中は暗闇となっており、中がどうなっているかはわからない。

影を作るだけで、その中にいる生者を不死者に変える力と、雷撃魔法を操る。

その強大さのあまり、人間風情では軍隊を用いても討伐は困難。

暴君のように高慢で残虐な性格であるが、忠誠を誓った者に対しては裏切らず、忠義を尽くす。

苦手なものはシャルルンロット。

--------------------ホーリードール家の人々

●プリムラ・ホーリードール

アントレアの街にある聖女の名門、『ホーリードール家』の次女。

第2章では剣術大会の救護班、昇進試験では仲間の回復やアンデッドモンスターの浄化など、陰ながら仲間たちを支えた。

容姿も性格も純真可憐であり、頭の回転も早く、『スラムドッグマート』ではゴルドウルフの秘書としての地位を確立している。

ゴルドウルフへの密かな思いを胸に秘めているが、最近それが妙な形で現れるようになった。

●リインカーネーション・ホーリードール

ホーリードール家の長女にして家長。

聖女一家の家長は『マザー』と呼ばれる決まりがあるので、皆はマザーと呼んでいる。

貞淑で落ち着いていそうな見た目ながらも、性格は天然で天真爛漫。

かなり高貴な立場であるにもかかわらず、気取らず気さく。

第2章では剣術大会で負傷した子供たちの前に颯爽と現れ、強力な『癒し』でピンチを救った。

彼女が女神に捧げる『祈り』は、独特なフォーマットであるが、なぜそれで女神の加護を得られるのかは不明である。

●パインパック・ホーリードール

ホーリードール家の三女。一家のマスコット的存在。

ぱっつんの前髪と、子犬の垂れ耳っぽいテールの髪型。

可愛さと幼気(いたいけ)さにあふれる容姿と仕草で、存在するだけで人々を笑顔にする。

最近石を拾い集めるのに凝っていて、好きな人にあげるのがマイブームとなっている。

この石をお守りがわりに欲しがり、『スラムドッグマート』に訪れる冒険者が多数いるが、貰えた者はいまだにいないという。