Oukoku e Tsuzuku Michi

Episode 507: Find Naruto

 レオポルトに呼ばれた俺とエイリヒは辛うじて破壊を免れた砦の一部で作戦会議を行っていた。

外では夜に来るであろう襲撃に備えて兵士達が陣地を応急修理する音が響いている。

 テーブル正面にエイリヒその脇に俺とディングスが座り、挟んで反対側にレオポルトとトリスタンが立っている。末席にはリヌーガが敵中だからか居心地悪そうに座っている。後はエイリヒが連れてきた護衛や副官がちらほらだ。

 ついでに言うと俺の後ろにはセリアが精いっぱい背筋を伸ばして立っており、俺の背中にはラファエラが張り付いている。恰好がつかないので降ろそうとしたのだが、やはり大泣きして可哀そうなのでそのままにしている。

「こいつめ、いつまでエイギル様の背中に……こうしてやります」

「あうっ、やめっ、くぅっ」

 セリアが周りに聞こえない小さな声で呟きながら無防備なラファエラの脇を突いて攻撃している。

その度にラファエラが悶えて吐息を漏らすので背負っている俺としてはたまらない、いや素晴らしい。

怪我をするような攻撃でもないししばらくこのままにしておこう。

 俺がセリアとラファエラのじゃれ合いを楽しんでいるうちに会議が始まる。 

「では今後の作戦についてご報告いたします」

「今回の攻撃での損害もまとめたよ」 

 トリスタンが上げた損害報告を覗き込む。

「東方軍ざっと一割か……」

「状況を考えれば軽く済んだともいえますが、最後の一瞬を除いて戦況優勢に推移していたにも関わらずこれだけでたとも言えます」

 エイリヒが腕を組み、ディングスがこめかみを軽く叩く。

「特徴的であるのは復帰の少なさです。敵の殺傷力は極めて高く、負傷者は極端に少なく、損害数のほぼ全ては戦死で占められています」

 レオポルトが淡々と言う。

後方のことまで考えなければならないエイリヒは頭を抱えたが、すぐに顔をあげる。

「今はそれはよい。何よりも蟲共の拠点……と言って良いのかわからんが、大元を叩かねばならん。そちらの情報はあるのか?」

 レオポルトが俺を見るので小さく頷く。

ラファエラがセリアの突きに耐えかね、俺にしがみつくので胸が密着してまずいな。

「避難民からの情報を総合すれば蟲は最初は西、直近では南から襲撃してきたとのことです」

「だが今回は東からも来たぞ?」

 エイリヒがすかさず指摘するとレオポルトは俺を見てから応える。

「その部分が肝です。我々が砦までの道中、襲撃を回避せんと設置した囮を追った一団がそのまま東から追い付いてきた、と考えられます」

「ということは?」

 ラファエラの荒い息が首にかかる。こりゃたまらん。

「前提として奴らには知能はありません。『ヒト――餌が密集する大都市がありそうだからこの街道を行こう』だとか『右に餌がいるが少数だから全員の腹は満たせない。別の目標を追おう』などという判断はできません。発見した目標に襲い掛かるのみです」

「下等生物め」

「巨大なだけの蟲ということだな」

 エイリヒとディングスが頷く。

「東から来た奴らは囮家畜を設置した場所、そこから一直線にこちらに向かってきたと推測できます。昼間の時間を除いた上で到着までの時間を計れば……奴らの移動速度が概ねわかります」

「ふむ……まあ敵の進軍速度は重要ではあるが……」

 エイリヒはやや物足りないといった面持ちだ。

 俺の方はラファエラがセリアのくすぐりを耐える為に首筋へ噛みついてきたのでそれどころではない。

 レオポルトは続ける。

「避難民の出元は単一ではありません。彼らの故郷と襲撃日時、方向を重ねれば……」

「蟲共が湧く場所がわかる!!」

 ディングスが立ち上がる。

だがエイリヒはまだ納得していない。

「それは結論が早すぎるな。例えば……ガーランド帝国から押し寄せたとすれば距離があり過ぎて多少の日時の違いは誤差になってしまう。あるいは道中で野生動物の群れなりを追いかけて歩調が乱れることもある。計算だけでは割り出せまい」

 なるほど希望が出ても即座に飛びつかないところはエイリヒの背負った責任故だろうか。 

 俺が悶えるラファエラの太ももを撫でながらレオポルトに言う。

「順に理屈を建てる必要はないから結論を急げ。時間はあまりないぞ」

 レオポルトが目で合図をするとバルバノとセクリトが入ってきた。

 ドワーフ特有の体格に皆が驚きの声があげるが、それはすぐにセクリトが投げたブツへの悲鳴に取って代わられた。

「奴らが普通の森から湧き出ることなぞない。平原に少々穴を掘ったところで奈落の口が開くこともないわい。湧くのは奈落に繋がる山の周囲だけ、深い坑道、底の見えぬ地割れ、あるいは巨大鉄鋼炸裂弾……心当たりがあるか?」

「ガーランドとの境界は見渡す限りの森と平原、坑道も地割れも聞いたことはないな。巨大鉄鋼?」

 エイリヒは律儀に応えたが他の者はセクリトが投げた物しか見ていない。

赤黒く異臭を放ち、黒い液体を垂れ流す……もういい普通に臓物だ。

「これは……?」

 ディングスが言うなりセクリトはニヤリと笑ってナイフで臓物を切り裂く。

皆が顔をしかめる。

「もういい。本題に入ってくれ」

 わざとグロテスクにやっているセクリトを咎めるとつまらんとばかりに鼻を鳴らす。

 あとラファエラも俺の胸元にしがみつくのはいいが乳首をがっつり握り込んでいるぞ。

「奴らが引き上げた後、東で死んでいるクモを見つけてな。気になってばらしてみた」

「うぇ……」

 リヌーガがえずく。

しかしエイリヒ、ディングスはさすがに動じない。嫌そうな顔はしているが。

「もちろん私は蟲博士ではない。毒管と毒袋以外はさっぱりわからんさ。だからもう一匹、南で仕留めた奴もバラしてみた。そうしたらちょっとした違いに気がついた」

 セクリトはもう一つの袋を机に置き、ナイフで切り裂く。

途端に立ち込める異臭は先程の比ではない。

「この臭いは……」

 戦場で嗅ぎ覚えがある。

「人間の臓腑の臭いだ。奴らは中身を吸うんだろう?」

 限界になったのかリヌーガが部屋から飛び出していく。

おいラファエラも限界の顔をしているぞ。

「これは奴らの胃だ。東の方は空、南はたっぷり入っていた。ついでに東の方は外傷無く死んでいた。さーて、こいつはなんで死んだ? 傷もなく胃は空っぽ……」

 セクリトの後をトリスタンが続ける。

「偵察隊を出してみたら東側で沢山死んでるんだよ。ワームやクモが点々とまるで道みたいになったのさ。一方で南側ではそんなことはない。死骸は全部こっちが斃した奴ばかりなのさ」

 俺は手で口を押えて震え出したラファエラを擦りながら続きを促す。

まずいぞ、この顔はもう取り返しがつかない所まで上がってる。

「東の奴らは囮にかかって昨夜の食事にありつけなかった。なんとか追い付いては来たが力尽きた……多目に見て48時間、奴らはそれだけ食べないと餓死する可能性が高い」

「ガーランド帝国との境界は極めて人口密度が低い。南から奴らが来たとしてもそのほとんどが餓死してしまうでしょう。奴らは中央平原の中、襲撃を受けた場所から48時間以内の場所から現れたのです」

 エイリヒとディングスが地図に飛びつきコンパスを当てる。

レオポルトがペンで避難民やリヌーガの兵士達から聞き取った情報を書き込んでいく。

 参謀達の必須技能、敵軍の位置と速度から攻撃地点を予測する逆をやるのだ。

過去の攻撃地点を遡って動きを読み取っていく。

「5日前にここ、7日前にここ、10日前にこの村へ来ている。ならば大山脈沿いはあり得ない!」

 外で吐いていたリヌーガが引きずって連れ戻される。

「11日前に攻撃を受けたのはここか!? ヴァンドラと連絡がつかなくなったのは何時だ!?」

 容赦は全くなく怒涛の如く責められる。

ラファエラが限界突破したことなど誰も気にもとめない。

「可能性があるのは二地点?」 

「いえ、現時点においてもモルト領内で奴らは確認されていません。これは降灰によって生じた無人地帯が壁となっていると考えられますから」

 レオポルトの冷静な声が妙に通る。

セリアが無理やりラファエラを引き離して転がるように部屋を出ていく。

「やっぱりここになったね。これだけのお歴々に検算して貰ったのだから間違っても僕のせいじゃないよ」

 トリスタンの間延びした声で締められる。

 目印はダート山のほぼ中央、頂上から中腹につけられていた。

出現したと思われる日時まで記載されている。

「火を噴いた山から蟲もでるのか」

「噴火したのか? 蟲も溶岩には耐えられんが、それで山体が崩壊したならあり得ん話ではないわい」 

 バルバノが導きだした答えを肯定する。

「なら行くか」

 俺はデュアルクレイターを背負って言う。

 すると何故か溜息が3つ4つ重なった。

なんでだ? 後セリアの悲鳴が聞こえたぞ。

 レオポルトが俺の傍の窓を開く。

「ダート山が見えますな」 

「おうとも」

 ダート山は大山脈を除けば中央平原最大の山だ。

距離があるので霞んでいるがここからでも十分見える。 

「大きいですな」

「雄大だな」

 火を噴いた時のかなり形が変わったらしいが今の姿も荒々しく美しい。

昔から人間が山の神を重ねるのがわからないでもない。

 思い切り溜息を吐きやがった。

分かってる。あの山を歩きながら探して回るなんて不可能だ。

 本来なら斥候を出して特定したいところだが、蟲が湧く場所に突っ込むのだから夜になったら望みはない。半日で行って帰るのは騎兵でも不可能に近い。

「いえ半日どころか三日かけても不可能でしょう。ダート山からの降灰は止まっていますが、足元は依然灰に埋もれております。蟲共はともかく人も馬もまともに動けないでしょう」

「なら偵察なんてできない。やはり突っ込むしかないんじゃないか」

 レオポルトは珍しく数十秒停止した後、全員に向けて口を開いた。

「作戦は三段階となります。第一段階は目標特定の為の偵察です。今言いました通り、通常の斥候では不可能ですので特殊で準備の必要な手段を取ります」

 エイリヒがそれは何かと尋ねる前にレオポルトは続ける。

「第二段階は偵察が功を奏するまでの間、防衛戦を行い奴らの侵入を食い止め戦線を維持します」

 つきましてはとレオポルトがエイリヒを見る。

「大量の騎兵と補充兵が必要です。ラッドハルデ卿のお力でお願いいたします。必要な兵数はおって具体的にお伝えいたします」

「一介の私軍参謀の無礼――と言わないにしても、援軍の意味はあるのか? ゴルドニア王国軍とて無限ではない。雲霞のごとく押し寄せる蟲共を正面から押しとどめるのは不可能に思えるが?」

 エイリヒの脳裏には蟲ヒュドラの印象があるのだろう。

確かにあれが5体も来れば城に籠る万の兵ですら何もできずに蹴散らされそうだ。

「問題ありません。要望通りの数さえ揃えて頂ければ数倍の敵を相手にしても防戦は可能です」

 エイリヒの睨みつけるような視線をレオポルトは正面から返す。

 数倍の蟲相手に防戦する方法など思いつかないが、レオポルトができるというならできるのだろう。

それだけの成果を奴はあげている。信用するべきだ。

 エイリヒがこちらを見る。

「できます。俺が保証しましょう」

 失敗したら責任は俺だと言い切る。

失敗したらどうせ全部崩壊するから責任を取る必要が無いともいえる。

「そうか」

 俺が言い切るとエイリヒはそれ以上何も言わなかった。

「そして第三段階。偵察によって敵の出現地点を特定した後に破壊もしくは閉塞作戦を発動します。これも地形上、大軍の進軍が不可能であるので特殊な作戦となります」

 勿体ぶった割に難しいことはない。

まず捜す、捜している間耐える、見つけて壊す。

それだけじゃないか。

「そうなんだけど、たぶんみんな詳細聞いたらドン引きすると思うよ。僕も引きに引いたからね」

 トリスタンがレオポルトを見てうわーとばかりに言う。

詳細な策とやらを聞く前に嫌なことを先に教えるなよ。 

 そこでディングスが地図を見てエイリヒを呼び止めた。

「軍務総監。場所と日時が正しいければ西に進んだ蟲共が昨夜にはその……」

 ディングスとエイリヒが顔を見合わせる。

不安を形にしたような馬蹄の音が聞こえた。

「西部本軍より軍務総監宛伝令! 眼前の南ユーグリア軍突如壊乱! その後未知の魔物の大群と交戦中、軍司令判断にて進軍を中止して後退を開始しております! 至急軍務総監の判断を仰ぎたいとの――」

 エイリヒは唇をかみしめてレオポルトに言う。

「状況に変化はない。予定の数は揃えるからすぐに作戦を発動しろ」

 レオポルトが俺に視線を送る。

俺が頷くとレオポルトは作戦の発動を告げるのだった。

 部屋を出ると廊下でセリアが座り込んで泣いており、ラファエラが震えながら何度も謝っている。

俺に気付くとラファエラはセリアに謝りながらも俺の背中に戻った。

 セリアの為に風呂を沸かすよう命じておこう。

「エイギル」

 呼び止められて振り返るとそこに居たのは深刻な顔をしたカーラだった。

「ちょっといい? ていうかすぐに来て」

「む、今すぐか?」

 これからレオポルトと作戦の詳細を詰める必要があるのだが。

「今すぐ、シュバルツがね」

 カーラは尚も強引に押して来る。

「いいんじゃないかな? 辺境伯は突撃役なんだし詳細なんて知らなくても――」

 俺は床を這っていた手のひらサイズの小さなクモをトリスタンに投げつけてカーラの後を追う。

「いよいよあいつも年貢の納め時か」

「冗談じゃなく本当にやばいかも」

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主人公 エイギル=ハードレット 25歳 秋

地位 ゴルドニア王国辺境伯・東部大領主 山の伝説 ドワーフの友 アレス王の友 竜殺しの英雄

エルフの仲介者 白都の性王 狂気の鬼神 秘密のゴールデンラガー

家族

ノンナ(揉みくちゃ)カーラ(焦)メル(退避)レア(救出)ピピ(合流)

ミティ(揉みくちゃ)マリア(揉みくちゃ)カトリーヌ(逃走)グレーテル(揉みくちゃ)メリッサ(揉みくちゃ)クウ(揉みくちゃ)ルウ(揉みくちゃ)ミレイ(揉みくちゃ)ケイシー(5頭身)リタ(料理)

ヨグリ(脚本家)アリス(睡眠)マルスリーヌ・母(相談)娘ステファニー・長女(拒否)ブリジット・次女(了承)フェリシー・三女 (どっちでも)

ソフィア(揉みくちゃ)ドロテア(トラブル)クラウディア(仁王立ち)クララ(肩車)アデラ(自慰)

セレスティナ(女王君臨)モニカ(ママ侍女)ベネル(昏睡)

部下

ディングス(東方軍司令官)リヌーガ(憔悴)ラファエラ(背中寄生)

セリア(汚染)マイラ(指揮官)イリジナ(指揮官)ルナ(指揮官)

レオポルト(参謀)トリスタン(参謀)ヤーコフ(緊急出撃)ギド(自暴自棄)マック(緊急出撃)クリストフ(復帰)グイグ(悪人)アドルフ(内政官)セバスチャン(執事)

マータ(揉みくちゃ)サリー(揉みくちゃ)マルル(揉みくちゃ)

ジム(出撃士気低)スージィ(出撃)ソラナ(諦め)アルテイル(教祖)レーミア(被害者)

その他

エイリヒ(王都)イジャリス(協力)ユーラーレン(協力)

セクリト(防戦準備)T-99(臨戦)ブリュンヒルデ(臨戦)

ナーティア(治った)フェルテリス(くやしい)

ピリス(狂妊 軟禁)ルキノ=エスカオーテ男爵夫人(揉みくちゃ)セイカ(揉み)

ブスコ(昇進)ギルドレス(鍛錬)ビシタシオン(子持ち軟禁)

人外ズ

ラミー(移動)アルラウネ(鉢植え)ミルミ(予感)ポチ(虫嫌い)メッサーシュミット(寝)

ネッタイプリプリオオトカゲ(到着)シュバルツ(重体)

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護衛隊     43

歩兵      3000

騎兵      400

弓兵      400

砲兵      400

弓騎兵     1000

一〇五兵団   3700

(戦時、兵器は随時生産・配備中)

大砲45 大型砲23 ドワーフ砲15門 野戦砲18 戦車38 

援軍・友軍

東方軍     13000⇒???

避難民混成隊  5800

エルフの集団  黒200 白200 

アルテイル神軍 2800(ラーフェン福祉奉仕勧誘) 

テリエス艦隊 戦艦スワロフ 戦艦リヴァイアサンⅣ(仮)大型戦闘艦3 中型戦闘艦7(修理)

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財産 金貨-75000

経験人数805人

産ませた子70人+567

現在地 キサット北 廃砦