Oukoku e Tsuzuku Michi

Episode 526: 7 Outsiders

 朝日を受けて目が覚める。

「真冬なのに今朝は暖かいな」

 おかげで布団を出るのも楽だ。

「うう……寒い……です」

 だが暖かいといっても全裸の女には少々きついらしい。

ノンナは手探りで俺が押し退けた布団を探して包まった。

 今日も今日とて予定はなく早朝に起こす事もないだろう。

昨日も激しくてお疲れだろうしな。

 ノンナの額と豊かな胸にキスをして布団をしっかりかけてやる。

「もう腰が……あふぅ」

 続いてカーラの首筋にキスをして毛布をかけてやる。

「中に……流れ込んで……うぅん」

 続いてメルの開いた股を閉じさせ頬にキスをする。

「大きすぎて……子宮までぇ……」

 無意識に腰をくねらせているメリッサの背中にキスをする。

「もっとぉ……お腹が破れるまで……」

「お手……伏せ……チンチンってどっちのですかぁ?」

「ケツをもっと叩いて……あぁ」

「ワハハハハハ!!」

「騎乗位が好きなんですぅ……」

 カトリーヌとグレーテルとミレイとイリジナとルナと足しか見えないので判別つかない女性達にキスをして寝室を出た。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

ラミー

「おはよう」

「お、おはようございますっ!」 

 廊下で若いメイドに挨拶する。

びっくりして硬直していたので尻を撫でてやると可愛らしく怒られた。

「おはよう」

「おはようございます旦那様。あっ!?」

 年増のメイドに挨拶する。

丁寧な挨拶を返されたので頬にキスをすると真っ赤になった。

「あ、おはよー」

「おう、おはよう……ん?」

 窓から挨拶されて無意識に返すがここが二階だと気づく。

振り返るとラミーが雑巾を持って窓の上を拭いていた。

「二階の上が汚れてるの。足場も無いし屋根からでもやりにくい位置だからねー」

 ラミアのラミーが胴体を伸ばすと庭から悠々二階まで届くのだ。

中庭ではメイドと清掃夫が俺を見て気まずそうにしていた。

「怒らないで、押し付けられた訳じゃないわ。ちゃーんと報酬も貰っているしね」

 見ればヘソから上のヒト部分になんともお洒落な服を着て、綺麗なネックレスを付けている。

ついでに腰にはスカートまで巻いていた。

「メイドさん達が作ってくれたのよ。私の体に合う服って店には無いから」

 ラミアとは言えラミーは結構おしゃれで少女趣味だ。

自作の粗野な服では満足できなくなったのだろう。

「私は高所作業と狭いところの作業を手伝う。メイドさん達は服とアクセを作ってくれる。お互い幸せでいいでしょ?」

 本来足場をかけて苦労するはずの清掃作業をほんの一分で終わらせたラミーが笑う。

双方納得しているなら俺がしゃしゃり出ることはない。

ただリタとノンナの目には気を付けないと怒られるぞ。

「それにね」

 ラミーが少し影のある目をする。

雇い入れてすぐのメイドがラミーを見て逃げたからだろう。

「一緒に働くと友達になれるわ。私はラミアだけど最近は滅多に人なんか食べてないし」

 ラミーはスルスル体を縮め、窓の下でメイドと話している。

どうやらお礼は鳥の焼き物のようだ。

 腹ごしらえしたラミーは作業着に着替えた。

「次は外の畑に行くんだ」

 少し離れてラミーについていく。

 ラミーは屋外でも狭い水路に入ったり、雨漏りする屋根を治したりと大活躍だった。

怖がる者もいたが、見慣れた光景なのか冗談を飛ばす者も多い。

 ラーフェン攻防戦で前線に立って以降、ラミーの存在は普通に知れ渡っていて身を隠す必要などない。

そもそもポチとネップリという隠しようもない巨体に比べればラミアぐらいどってことない。

「そー……えいっ!」

「ギャー! こいつめまたかー!」

 悪ガキに尻尾に水をかけられて跳ね上がり、高速で地面を這って追いかける。

もうラミアと言うより下半身が蛇なだけの村娘みたいだな。 

 両手で抱える程のお礼を貰って帰路につく。

「あ、ちょっと持ってて」

 ラミーが荷物を俺に渡す。

視線の先では土と同じ色の何かがモゾモゾ動いていた。

「猪が小麦の種を掘ってやがるな。結構な大きさだが大丈夫か?」

「うん。平気」

 ラミーは体を低くしてスルスル這って行く。

さすがにラミアだ、音は無いし気配も薄い。猪はまったく気づかない。

「シャー!」

 ラミーは猪に飛び掛かり、地面に引き倒すと体を巻きつけた。

骨の折れる音がして猪の足がピクピク動く。

「もぐもぐ……ばりばり……」

 噛み砕く音と引きずり出す音と啜る音が続く。

 数分後、顔を拭いた真っ赤なタオルを捨てたラミーが戻って来る。

「お待たせ、帰ろっか」

 彼女の腹は妊婦のように膨らんでいた。

「……生で一頭丸々食ったのか。」

「うん」

 猪は優に1mを越えていたが。

「私食い溜めできるから。これで一週間はご飯いらないかな」

 いかに馴染んでもラミアは決して人ではない。その境界を忘れるときっと悲劇――。

「ねえ満腹になったら……アレしたくなったんだけど」 

「よし、やろう」

 男と女であれば愛が生まれる。種族の違いなんか些細なことだ。

――30分後。ラミーの家。  

「いくね……えい!」

 ズルズルと音を立ててラミーの舌が尿道から抜ける。

「おぉぉぉ!」

 その強烈過ぎる刺激に吊り上げられたように俺の腰が跳ね上がる。

ラミーの唾液と先走りが混じって先端から垂れ落ちる。

「一回でこんなになっちゃったね。ならもう一回……」

 ラミーの舌が尿道に再侵入する。

細く長い舌を持つラミア以外にはできない性技だ。

 たっぷりの唾液で滑る舌は尿道を擦りながら根元まで入っていく。

 口奉仕され慣れた俺でさえこの刺激はたまらない。

ラミーの頭を押さえて目を閉じ呻く。

「ほんとうにエイギルの長いなぁ……舌半分入っちゃったよ。おしっこ溜めるとこまでいこうか?」

「いや、ここまでで……ぐぉぉぉ!!」

 返事の途中に舌が一気に引き抜かれ、俺は体を倒して情けない声をあげた。

「あは、ビクンビクンしてるわ。本当これに弱いね」

 この刺激に耐えられる男などいない。

もう一回されたらお終いだ。

「ふふーん。ならやっちゃう!」

 腰を抱えられ、熱い舌が入り込んでくる。

膨張しきった男根が不規則に揺れ、限界を訴えるが尿道を塞がれては射精できるはずもない。

 長い舌は男根を通り抜け、内臓と言える場所まで侵入してくる。

 ラミーは俺の体に上半身を乗せ、両手をとって自分の乳房を揉ませる。

「はい。出してね」

 そして勢いよく舌が引き抜かれた。

 抜けた瞬間、首でも飛ばされたかのように下半身が痙攣を始め、腰が情けなくヘコヘコと動く。

本来なら即座に射精しているはずだが、舌のせいで種が男根まであがれていない。

 数秒の間を置いて種が男根を上がり、噴き出るその瞬間追撃が見舞われた。

「えいっ!」

「そう来たか!」

 ラミーの長い舌が今度は肛門に入り込み、玉の裏側を押し込む。

 濁った汚い音と共に大量の種が吹き上がった。

途端、ラミーは全ての刺激をやめて体を離してしまう。

 だが刺激などもう必要ない。

男根は種を撒き散らしながら暴れ回る。

「すっごいわ。壊れちゃったみたい!」

 ラミーは呻きながら種を吐き続ける俺に巻きつく。

「俺も食うのか?」

「ううん。食べるのはこっち」

 長い胴体が絡みつき、身動きができなくなる。

ラミーは性器で種を吐き続ける男根を呑み込んだ。

「おお、気持ちいいぞ」

「えへへ、追加ー」

 ラミーはお礼に貰った荷の中から香油を取り出して垂らす。

これで俺達は絡み合いながらヌルヌルだ。

「本能が教えてくれたの。ラミアの交尾」

 蛇の交尾は絡み合いながら何日も続くという。

「水もご飯も油もあるわ。ずっと……ずっと絡み合いましょう」

 俺はラミーの体に埋もれながら終わることなく種を吐き出し続けるのだった。

「まあ現実は持たないんだけどな」

「あううう……寒い……寒いぃ……」

 昼過ぎになって北風が吹き始め、朝の陽気は消え去った。

悪いことにそのタイミングで暖炉の薪が切れてしまい、ラミーが寒さで固まってしまったのだ。 

半分蛇だけあって寒いと本当に動けなくなるらしい。

「薪と湯たんぽ貰ってくるから放してくれ」

「ダメ、今エイギルに離れられたら冬眠しちゃう」

 どうしろと言うんだ。

「体の中に温かいのちょうだい。そしたら5分ぐらい頑張れるから」

「今日はもう散々出したから暖が取れる程、種は出ないんだが」

 するとラミーは屈辱に塗れた顔で言う。

「おしっこして……前だと流れ出ちゃうからお尻の方に……うう、私なんてこと言ってるんだろ」

 世界は広いがラミアの肛門に小便を流し込んだ男は俺だけではなかろうか。

俺はひくつくラミーの尻に流し込みながらそんなことを考えた。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

ミルミ

 水道橋の始点、湖のほとりに俺は腰かけていた。

 ミルミが水を口に含み、エラからピューと吐き出す。

「うーん綺麗だね。でもちょっとコケっぽいかも」

 俺は紙に〇と書き込み、取水口を清掃しろと書き込む。

「ありがとさん。もういいぞ」

 俺は書類を仕舞い、代わりに釣り竿を出して言う。

「釣ってもいいか?」

 ミルミは水から飛び出して俺の横に座って微笑む。

「いいよー」

 この湖はラーフェンの全上水を供給する水道橋取水点だけあって釣りはもちろん近づくことも許されない。毒でも流されたら大変なことになるからだ。

 となれば陰謀を企む輩が心配だが、見張りの兵士は半分囮で本命は湖を自由に泳いでいる。

つまりはミルミとその子供達だ。

 そして誰も釣らないということは魚が沢山残っているということだ。

「おっと来た来た。ふふふ、領主の特権だな」

 吊り上げるとでっかい鯉が釣れた。

今夜はこれでいっぱいやろう。

「人間の事情は知らないけど、私達は一匹二匹釣ってくぐらいなら構わないんだけどね。カラスや猫と同じようなものだよ」

「そんなもんか」

 もう一度糸を垂らすと鯉より大物……ミルミの子供達が釣れた。

こいつらは同じタイミングで産まれたはずなのに個人差が大きい。

大きいのはミルミ並みに話せるが小さい奴はたどたどしい。

「コイあげるー」

「マスあげるー」

「変なのあげるー」

 最後のなんだこれ、ぐにょぐにょで足が八本もあるぞ

墨みたいなの噴きやがった。こんなもん食えるか、どこで獲って来たんだ返してこい。

「大人しく釣ればね。網でごっそり取ったり、糸捨てて行ったり、変なもの流したら……」

 ミルミの口が開く。

 人魚は下半身が魚、上半身が美女なのだが、口からノコギリのような歯が覗く。

 そう言えば最近まずくてぼったくりで有名だった飯屋一家が突然いなくなったんだが、何か知らんか?

「湖に廃油捨てるような人のことは知りません」

「肝美味かった」

「骨~」

 知らないなら仕方ないな。

その中身を抜かれた頭蓋骨っぽいのは湖から出してくれ。

屋敷の風呂もここの水だ。気持ち悪い。

「さて、仕事と下らない話はこれぐらいにして……だな」

 俺はミルミの肩を抱く。

人魚は上半身が人だが、ずっと水の中にいるせいか基本的に服はつけない。

故に軟らかそうな乳房が丸出しなのだ。

「えっと私は今産卵しないけどいい?」

 性交は互いが満たされるためにもあるのだ。

決して繁殖の為だけではない。

 俺はミルミを抱き上げて草むらに運ぶ。

「気持ちいい! そこっすごくいい! 奥までぐってして!」

 ミルミの体が震える。

俺は彼女を横抱きにして肩と尾びれを強く掴み、正面から挿入して射精する。

人魚は人間と違って足を開けないので、性交には特殊な技が必要になる。

「ほんとは卵が出る穴でエッチに使う穴じゃないのにっ! でも気持ちいいよぉ!!」

 そう俺が挿入しているのはミルミの産卵管であって性器ではない。

 人魚は産んだ卵に精子をかけて貰って子作りするので、挿入を伴う性行為はしないのだ。

「でもいいんだろう?」

 キスをし、胸を揉みながら言う。

「尾びれがピクピクする。卵ないのに、種貰っても意味ないのに……もっともっとエッチしたいの!」

 俺はミルミを抱き締めながら射精する。

大量の種が彼女の産卵管を駆け登り、卵を抱える場所に満ちてから逆流して噴き出す。

「凄かったぁ。産卵管に入れるのがこんなに気持ちいいなんて、昔の人魚は知らなかったんだろうなぁ」

 うわ言のように言いながらミルミは湖をプカプカと流れていく。

 俺もズボンを穿こうとしたところで足を取られて水に引きずり込まれた。

「冷たいぞ。何をするんだ」

 足を掴んだのはミルミの子供達だ。

皆一様に息が荒く、顔も赤くなっていた。

ノコギリのような歯も剥き出しになっている。

「おいおい、食うのは勘弁してくれ」

 あと本当に冷たいから出してくれ。

「あっためるから」

 十人以上の子供達がくっついてくる。

確かに寒くはなくなった。

「息もだいじょぶ」

 水中に引きずり込まれるが、子供達が代わる代わる口移しで空気をくれる。

 良く見るとこれは餌を前に興奮しているのではなく発情の顔だ。

「ママと同じことして」

「産卵管に何か入れて」

「お腹がむずむずする!」

 服が破り取られてしまう。

声を出そうにも水中だし、水面に浮いているミルミは絶頂後の放心状態だ。

「仕方ないな」

 何かひっかかることがなくもないが、指を伸ばして産卵管をいじってやる。

「ぴぃぃぃ!!」

 その反応は凄まじい。

何しろ生まれて初めていじるのだから仕方ないのだろうか。

 見た目14,5歳でまあなんとかという子もいるが、明らかに幼いのもいる。

さすがに男根を使うのはダメだろうと指で満足させていると、より成熟した一人が突然腹を押さえる。

「い、痛い! お腹が痛い!!」

 変にいじってしまったかと心配するが、その子は湖岸に上がると呻き声をあげながら産卵管を広げる。

「あぅぅーー!!」

 産卵管は本来の目的……卵を大量に岸辺に産み付けた。

人魚の産卵時期は知らないが、初めての刺激に卵が出てしまったのか。

 発情が伝播したのか、かなり幼い子までが腹を押さえて岸辺に上がり、次々に産卵し始めてしまう。

 上半身だけ見れば少女達が仰け反り、嬌声を上げながら次々と産卵していく。

「凄い光景だな」

 たちまち出来た卵の山。

子供達は俺を掴み卵へ誘導する。 

「私達の卵に種ちょうだい」

「濃い種いっぱいかけて」 

「びゅるるーして!」

 子供達は本能のままに俺の男根をこすりまくる。

それでも振り払って逃げることは容易だろう。

「見た目の年齢から考えれば子作りなどあり得んが……」

 彼女達は人間ではないし、性器に挿入する訳ではない。

既に産んだ卵にぶっかけるぐらいなら問題無いのではなかろうか。

 俺が戸惑っていると耳元に子人魚二人が寄って来る。

いかん、それは最近自覚させられた俺の弱点だ。

「私達の卵に――」

「濃いのビュッビュして?」

 両側から同時に囁かれた途端、種が勢いよく噴き出して卵の山に降りかかる。

こうなったらもう止まらない。最後まで出し切るしかないだろう。

 数分間の射精が終わり、変質者にならないようマントだけを羽織ったところでミルミが我に返った。

「そろそろご飯にしましょうか……って卵産んだの!? どうしてこんな時期に――!!」

 驚いたミルミが水面を跳ねてくる。

「すごい量……貴女達みんな産んだの!? どうして突然……って!」

 ミルミは卵の山を見てひっくり返る。

「た、種がついちゃってる……ということは」

 ミルミの目が細くなり、歯が剥き出しになる。

「この子達エイギルの種なのよ! 自分の子と……この鬼畜、ヒトデナシ――! 食い千切ってやる」

 襲い掛かってくるミルミを説得するのに数時間を要した。

 具体的には子供達に協力して押さえて貰い、再び産卵管挿入で機嫌を取ったのだった。

「おふねーふねー」

「草むらにあったー」

 一段落ついたところで子供の一人が木製の船を引っ張ってくる。

手作り感満載の形状だが、浸水もなく浮いているところを見るに職人の仕事だろうか。

「どうして湖で船なんか作ったんだ。船名が掘ってあるぞ……リ、リヴァ……掘りかけでわからんな」 

 良く分からんが船に名がないのは良くないらしい。

「船名……船名……思いつかん。あれでいいか」

 俺は船に『アレスオブアレス二号』と掘り込んだ。

よし帰ろう。

 翌日、セクリトとイヴァンナが剣まで抜いて本気の喧嘩をやらかした。

『貴様の仕業だろう。とぼけるな』

『知るかお前のボロ船に興味などあるか』

とまったく意味がわからないから困ったものだ。

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アルラウネ

「なあ、お前もう増えないのか?」

 俺は自室で一人酒をしながら鉢植えのアルラウネをつつく。

 アルラウネはキューと不思議な声を出しながら細い茎で俺の指を受けとめる。

 今こいつは俺の部屋の鉢植えに小さな一体と、中庭に樹木サイズの物が一体しかいない。

一時期は恐怖すら感じる程もりもり増えたのだが、ラーフェン攻城戦で焼かれて以来増殖していない。

「僅かに増えた分も冬になったら枯れたもんな」

 鉢植えを持ち上げたまま中庭の本体に向かう。

 どうせだから本体の傍で酒の続きをしようと思ったのだが先客が居た。

屋敷のメイドだ。年の頃は二十歳……食べ頃だな。

「害虫は……無しと。この葉っぱ枯れてるからもいじゃうね」

 どうやら丁寧に世話をしているようだ。

アルラウネの人型も大人しくされるがままになっている。

「後は水と……肥料と……これで良しと!」

 手入れが終わるとアルラウネの人型が俺達の動きを真似てお礼の仕草を取る。

「ふふ、かーわい。……で相談なんだけどね」

 メイドのヒソヒソ話は聞き取れない。

すると鉢植えの人型が口を開く。

『衛兵さんで四〇歳なんだけど、奥さんがいるからアプローチしても応えてくれないの』

 アルラウネはいくら増えても同じ個体で共通の意志を持っている。

こういうこともできるのだろう。

「だからね……貴方の花粉が欲しいの。私今日危ない日だから襲わせてしまえばなし崩しよ」

 アルラウネはメイドが差し出した巾着に一振り花粉を入れる。

 あの花粉は媚薬なんてものじゃない。

嗅がされれば大通りでも全裸となり片っ端から異性に襲い掛かるだろう。

「漏らさないように……っと」

 だが管理はしっかりできているようだし、部外者の俺が愛憎劇に首を突っ込んでいいものか。

「――様。今夜こそ思いを遂げさせて頂きます」

 放置しよう。女が決意をもって媚薬を盛るのだ。黙って見てやるのが男気だろう。

 すると突然、鉢植えのアルラウネが体を捻り出した。

 ジャスチャーを見るに他の雑草の根が根っこに絡んだらしい。

根元で一杯やらせてもらうんだ。草抜きぐらいやってやるか。

「ノンナが見たら当主が草むしりなんて――と絶叫しそうだ」

 言いながら雑草を抜く。

これじゃないのか。

 ついで太めの雑草を抜く。

ノンナの植えた花だった。まずい埋め戻しておこう。

 次に手をかけるとアルラウネが騒ぎ出す。

正解なのだろうか。

「抜けんな……ふん!」

 力を込めると勢いよく雑草が抜ける。

途端、断末魔のような『ギャーー!!』という大声が響いた。

「うるさい!!」

 雑草を地面に叩きつける。

良く見ると根っこがでかく人型にも見える。

大根の種でも飛んだのだろうか。

 数秒置いて空からハトやカラスがドサドサ落ちて来た。

何だと言うんだ。

 アルラウネが慌てて俺の体を確かめる。

やかましいだけで何ともないぞ。

いや心なしか一物が震えているぐらいか、寒さと出し過ぎのせいだろう。

「根が絡んでいるな。やっぱりこの大根が原因……うん?」

 絡んだ根を引っ張ると長く長く続いている。

 中庭を出て、屋敷を出て、ラーフェン大通りの手前で深く潜っている。

「ふむ……そら」

 鉢植えアルラウネを不意につつくと、大通りの隅がぽこんと盛り上がって根が飛び出す。

「増えていないと思ったら根が地下を伸びていたのか。どこまで続いているんだ?」

 鉢植えアルラウネは遠く山の方を指差す。

「ははは、お前も冗談を言えるようになったな。酒を置いてきてしまった。戻ろうか」

 アルラウネの人型がニヤリと笑った気がした。

――深夜、腹が減ったので食堂で使用人の賄い飯を摘まんだ帰りだ。

 男と女の声がする。

「はぁはぁ……リーリム! もう辛抱たまらん、逃がさんぞ大人しくしろ、股を開けぇ!!」

「許してトルフ様ぁ。いきなり挿入しちゃダメえー。奥様がいるのに挿入したら浮気になっちゃうー」

 倉庫で衛兵とメイドが激しく性交していた。

男は涎を垂らしながら腰を振りまくり、何度中に出しているのか大量の精液が流れている

まるで強姦のようなやり方だが、女が明らかに悦んでいるので捨てておこう。

「ああん、また中に出したぁ。熱いぃー危険日だから出来ちゃうー奥様から寝取っちゃうぅー」

 別の部屋からも奇声が聞こえる。

「マ、マンドラゴラ! どうして中庭に落ちていたのかわかんないけど、これで秘薬が完成する!」

 ナーティアが珍しい材料を見つけたらしい。

マン……いやらしい材料だ興奮してきた。

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エルフズ

「貴方の為にやってるんじゃないからね」

 エルフの開拓作業を見に行くと開口一番言われてしまった。

「分かってるよ。お土産も持って来たから邪険にしないでくれ」

 菓子パンに砂糖とクリームをかけた菓子だ。

エルフの森では食べられない品だろう。

「ハムハム……感謝はしないわよ」

「ハモハモ、それだけのことを私達はしてあげてるんだからね」

「まあお菓子に罪はないから貰いますけどね。――ゲホッ! ゲホッ! 詰まった!」

 金貨も領地も必要としないエルフ達に提供されるのは森では味わえない料理と娯楽だ。

『おお何故だ、エリザベート! どうして私にその刃を突き立てる!』

『言い訳はしないわモーラム。貴方が邪魔になったの! 私はもっと良い殿方のお嫁になるのよ!』

 即席舞台の上で劇が催されている。

ちょうど一番の盛り上がり場のようだ。

「酷い……あれだけ尽くしてくれた人を刺すなんて!」

「最低の女! 贅沢な暮らしに目が眩んだのよ!」

 純真なエルフ達は劇に本気で入り込んでいる。

悪役の出番では物でも投げそうな勢いだ。

「あっちはまだいいんですけどね」

 若い女優が困った顔で反対を指差す。

黒エルフ達が多い方か。

『お前の妻も娘も俺のもんだ! あの悲鳴を聞かせてやりたかったぜ。ゲヘヘヘヘ』

 悪の代官が農民達を虐めるシーンらしい。

「死ね外道!」

 黒エルフが立ち上がり剣を抜いて舞台に飛び込む。

すんでのところで用心棒らしき男が受け止めた。

「ああいうのがしょっちゅうなんです。入り込んでくれるのは役者冥利に尽きるんですけど」

 エルフも黒エルフもそれだけ純真なんだろうな。

 もう一つの舞台は他二つの喧騒が嘘のように静まり返っている。

『いけないわマイケル。貴方には奥様、私にも主人がいるのよ』

『構うものか。不貞と罵るが良い、淫らと笑うが良い。僕の愛は……止められない』

 役者の唇が合わさり、互いの体を愛撫しながら服を脱がせあっていく。

「……ゴクリ」

「……ソワソワ」

「……ケホ」

 黒白エルフ達が無言のまま目を見開いている。

時折隣を覗きこんだり、わざとらしく身をよじったりとなんとも初々しい。

『ああ、もうどうなってもいい! 私を燃やして! 貴方の熱いもので火をつけて!』

 上半身裸となった男女が激しく絡み合い始めると、エルフ達の耳が一斉にパタパタし始めた。

「濡れ場も気になるが何より……」

「あの耳、触りたいですね」

 エルフの耳には不可思議な魅力がある。

ナーティアの耳が動いていると何度怒られても摘まんだり咥えたりしてしまうのだ。

 さて肝心の仕事の方がどうなっているかな。

 見れば先週まで荒れていた場所が一面の耕地に変わっている。

人がやれば1万人動員しても数か月かかるであろう仕事だ。

「しかし気になるのは……どうして畑の真ん中に木があるんだ?」

 一面畑ではあるが、一定間隔で仕切りのように木が植えられているのだ。

 作業を終えてタオルで汗を拭うエルフが答えてくれる。

「私達は土地をいじったら必ず木を植えるのが掟なの。食べられる作物だけで大地を埋め尽くすなんて自然への冒涜よ。切ったら承知しないから」

 自然と生きるエルフらしい。

こちらも彼女達の掟をないがしろにしてまで収穫を得たい訳じゃないから認めよう。

 エルフがまた一本の木を空き地に植える。

「この木って濃霧杉じゃないの? 花粉が普通の百倍出るやつ。珍しいの持って来たわね」

 黒エルフも水辺に水草を植えている。

「げっ! 今ローパーの幼体ついてたぞ! ……逃げちゃった。まあ見なかったことにしよ」

 俺も聞かなかったことにしたい。

 ふと物陰からエルフ達の内緒話が聞こえて来る。

「昨日ね、人間のさ……あれ見ちゃった。農家のあの人、奥さんの上で……」

「ほ、ほんとに? ずっと見てたの?」

 猥談らしい。

耳が垂れたり立ったりしている。

「最後に男の方がウーって呻いて倒れて終わったわ。変な匂いがモワって」

「で、出てた? 白いの出てた?」

 エルフは種族的に性欲が薄いらしいが疑わしい。

耳があんなにパタパタして興味深々じゃないか。

「私達の雑用してる少年いるじゃない? 昨日の夜さ、甘やかすふりして同衾したらさ……」

「あ、知ってる。寝たふりしてたら貴女の名前呼びながらゴソゴソしてたよね」

「そうそう。早朝に起き出して必死にパンツ洗ってたわ。なんだろう……股からぞわぞわって来るのよ」

 なんて羨ましい。

だが今の俺がすることは一つだ。

「すまん!」

 俺は猥談エルフの群れに飛び込み、耳をカプリとやる。

悲鳴と共に風魔法で跳ね上げられ、落ちたところを三人掛りで踏みまくられたが後悔はない。

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ブリュンヒルデ

「これはどうじゃ?」

 昼とは思えないぐらい暗く曇っていたある日、俺はブリュンヒルデと服選びに出ていた。

 彼女の持つ服はゴルドニアの職人でさえ舌を巻く程の高級品ばかりで、ラーフェンの服屋……まして吊るしの服など比較にもならないのだが、着潰す服も要るからと引っ張り出された。

「ふむ、お前のような美しい――」 

「なんでも似合うなどというたら口をもぐぞ」

 俺は苦笑し、改めて服を見た。

 黒を基調とするシンプルながら上品な服、ブリュンヒルデのイメージにぴったりだ。

「これ以上無いほど似合っているが、普段の服と同じに見えて新鮮味が足りないかもな」

「ん、それでいい」

 ブリュンヒルデは服を戻し、今度は安っぽいながらも装飾がゴテゴテついた服を合わせた。

「見ていて楽しい服だが、中身が綺麗すぎるから服が余計安っぽく見えてしまう」

「ふふん」

 ブリュンヒルデは楽しそうに次の服を取る。

ぴったりして体のラインが出る革の服……鞭が似合いそうだ。

「いいな。ぶたれたり踏まれたりしたい」

「阿呆め」

 罵りながらもまんざらではない表情のブリュンヒルデは別の服を取る。

露骨なエロ服だ。裾は短く、露出は多く、布地も薄い。

「……うーん。いやらしくて興奮するがどう言ったらいいのか」

 ブリュンヒルデはエロ服を着たまま近づき、色っぽい表情のまま俺の股間を掴む。

「む?」

 そして不思議そうな顔をしてから服を変える。

今度の服はどこにでもいそうな町娘だ。

 ブリュンヒルデは普段から12~3歳の少女に見えるが、この服は更に幼く見える。

 ブリュンヒルデはトテトテと変な走り方で近づいて来る。

店主はボーっとした調子で天井を見ている……ブリュンヒルデの能力にやられたのか。

「妾に……エッチなことをしたいのかの?」

「なぬ?」

 同時に股間を掴まれた。

ブリュンヒルデの顔が驚きジト目で睨みつける。 

「お前好みの下品な服よりこちらの方に反応するとはどういうことじゃ。さては貴様……」

 ブリュンヒルデの指が突きつけられる。

「童女趣味になりよったな!」

「人聞きの悪いことを言うな。アンドレイじゃあるまいし」

 だがブリュンヒルデの追及はやまない。

「いいや、こんな子供服に発情する男が童女趣味でなくなんじゃ! 仕置きじゃ!」

 ブリュンヒルデは平民服のまま、俺に飛びつき肩口にかぶりと噛み付く。

 耳元に息がかかる。いかん……。

「――変態め」

 途端、ズボンが張る音がする。

 ブリュンヒルデと目が合う。

「ドMで童女趣味じゃと……どうなっておるんじゃお主の性癖は!!」

 ブリュンヒルデがやるから興奮するのであってそこらの子供に興奮するほど落ちてない。

ドMの方は発言を避けさせて貰う。

「ま、追及はおいおいする」

 ブリュンヒルデは子供服とドS服を掴み、ボーっとする店長の前に代金を置く。

結局買うんだな、と言ったら再燃するので言わない。

「持ち帰っておけ」

 投げ槍に言いながらブリュンヒルデは服を投げる。

物陰で受け取ったのは見覚えのない女だ。

「下らん戦争で減ったのでな。補充した」

「おいおい……」

 真面目な顔で咎めようと迫るが、先手を打たれる。

「こいつは身投げで体が半分潰れておった。下僕にならねば数分で朽ちておったぞ。こっちは賊の片割れよ。若い女を二人程殺しておったが逃がした方が良かったか?」

「ぐぅ」

 どちらも文句は言えないな。

だが身投げしたと言われた方は美人だな。もし良ければお近づきになりたいが。

「承知しました。ブリュンヒルデ様、愛……いえジークフリード様の下に戻ります」

 うん? 何か不穏なことを言った気がするぞ。

「変態は困るが童女好きとなれば妾に分がある。あの女の駄肉では間違っても童女の真似はできまい」

 どっちも何を言っているのか。

「幸いにして今日は一日陽は照らぬようだ。戯れに食事にでも連れて行け」

「ふむ、ならとっておきの店に連れて行こう」

 最近オープンした店なんだがパンチの効いた特製スープが絶品なんだ。

「ふむ、お前らしい粗野な店ではあるが……」

「はは、好みは仕方ないだろ。一気にグイっといってみてくれ」

 スープをグッと飲み干す。

喉を焼くような刺激と強い臭いがたまらない。 

「どうだ?」

「……」

 ブリュンヒルデは答えない。

口に合わなかっただろうか。

「……店主このスープ何が入っておる」

 ブリュンヒルデが震える声で尋ねる。

「ドロドロに煮込んだ豚肉、香辛料に漬けた大根人参、そこに山程のニンニクをぶち込んで、仕上げは溢れる俺の男気を――」

 ブリュンヒルデがひっくりかえって泡を吹く。

 その日の夜、俺の一物は文字通りブリュンヒルデの牙で穴だらけにされたのだった。

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主人公 エイギル=ハードレット 25歳 冬

地位 ゴルドニア王国辺境伯・東部大領主 山の伝説 ドワーフの友 アレス王の友 竜殺しの英雄

エルフの仲介者 白都の性王 狂気の鬼神 毒耐性(強)

今話登場

ラミー(馴染み)ミルミ(祖母)アルラウネ(地の果てまで)ブリュンヒルデ(ドS少女)

領民

総数 364000 

ラーフェン47000 リントブルム8000

リッチモート(旧リバティース)34000(+1000)民衆集結 ツヴァイエルフィ2100(+600)無頼者増加 

軍隊人員 歩兵1000 騎兵500 護衛隊30

兵装 大砲30 大型砲15 ドワーフ砲15門 野戦砲10門+1  戦車30 

財産 金貨-300000 エルフ報酬娯楽(500)金鉱中(8500)

経験人数814人

産ませた子71人+567(++)

現在地 ラーフェン