「おい……待てよ、テメェ」

月下の下……ロープで椅子に固定された安藤が、オレを睨む。

「テメェ……このままで済むと思うなよ」

全ての怒りを込めて……強い視線をオレに注ぐ。

オレは……。

「お前こそ……永遠に月子や夜見子たちを、ヤクザの世界に縛り付ける気なのかよ?」

真っ直ぐに……安藤を見下ろす。

「この子らの両親を……鷹倉神社の神主と『巫女』を殺したのだって、お前たちヤクザだ。こうやって、今、彼女たちを追いかけ回しているのも……」

「『鷹倉神社の巫女』は、おいらたちの世界に必要なものなんだ!『巫女の仲裁』の伝統はな……」

「そういう理屈は、どうでもいいんだよ」

オレは……安藤の言葉を遮る。

「それだって、お前たちヤクザの勝手な都合じゃないか。昔から、そうだったからって……これから先も、ずっと鷹倉家の娘たちがヤクザに追い回されるのなんて理不尽だ」

月子と夜見子は……黙って、オレたちのやり取りを聞いている。

「その上……今は、あんたたちの組織の上の人間だって、この子らを抹殺したがっている。何が伝統だ。『巫女の力』が怖いから、全員皆殺しにしちまうっていうんだろ?あんたたちは……」

「そ、それは……おいらが……おいらが、お嬢たちを守ってみせる!!!」

安藤は……叫ぶ。

「へえ……上の人間に逆らってでも?」

「あ、あ、あ……当たり前だ」

「あんた1人で……?」

「……お、おう」

オレは……わざと大きく溜息を吐いた。

「そんな格好で縛り上げられて、手も足も出ない男が言うことかよ……!」

「そ、それは……」

「判ってんだろ?あんたじゃ……無理だ」

オレは、きっぱりと……告げる。

「あんたじゃ……鷹倉家の娘たちは、守れない」

「そんなの……やってみなけりゃ、判らねぇだろ!」

「……やってみた結果が、今のその無様な姿だろ?」

安藤は……口籠もる。

「無理なんだよ。だって、あんたは……ヤクザの世界に生きている。あんた自身もヤクザじゃないか。ヤクザのルールからは、逃げられないんだから」

組織における上下関係は、絶対だ。

上の立場の人間の命令を無視して、安藤が鷹倉姉妹を匿ったとしても……。

安藤はヤクザ組織の関係者にしか、頼れる相手がいないだろうし……すぐに、居場所がバレルだろう。

結局……鷹倉姉妹は安藤ごと、組織のやつらに抹殺されるという結末になる。

「……オメェなら、何とかできるって言うのかよ!」

「実際に動いているだろ……オレたちは」

『黒い森』だけでなく、香月セキュリティ・サービスの全部隊が作戦展開している。

「彼女たちを追って東京に出て来た人たちは……ほぼ全員、捕らえたわ。あたしたちは、公安警察とも付き合いがあるから……あなたたちに勝ち目は無いわよ」

車の運転席から、翔姉ちゃんが……言う。

「……何なんだ、オメェたちは?」

呆然とした顔で、オレを見上げる……安藤。

「……犯罪者の悪党だよ。あんたたちと同じ。ただし……あんたたちよりも、タチが悪い」

オレは……月子と夜見子を見る。

「だって、これからこの子らを……『娼婦』に堕とすんだからな」

……安藤は。

「……おい、頼む。後生だから……それだけは止めてくれ。お嬢たちを……綺麗なままにしておいてやってくれよぉぉぉ!」

「もう遅い」

オレは……答える。

「今さっき、あんたが自分の眼で見た通りだ。この子らは、もう処女じゃない。オレが処女膜をブチ破って……子宮にたっぷり中出ししてやったからな」

「……この……野郎」

「おいおい……その意味を考えろ。何で、この子らが『娼婦』にならないといけないのかを」

月子たちが、ビクッと震える。

「この子らが……あんたたちヤクザと完全に切れるためには、『巫女の力』を失うしかない。違うか?」

「そ……それは……?!」

安藤たち下っ端ヤクザは……『鷹倉家の巫女』になるには、清らかな身体でないといけないと思っている。

「『鷹倉家の巫女』は……処女じゃなけりゃ、成れない。一度、『巫女』になって『力』を得れば、この子らの母親のように結婚したり、出産したりすることもできる。だけど、それも夫は、神聖なる鷹倉神社の神主の血を引く人間でないとダメなんだ」

オレは正々堂々と、大嘘を吐く。

我ながら、よくスラスラとこんな言葉が出て来る。

「修行を果たして完全に『巫女の力』を習得する前に処女を失うと、その娘は『巫女』になる資格を失う。『力』もだ。あんただって、夜見子には少しだけ『巫女の力』が生じ始めていたことは知っているだろ?」

ハッとする……安藤。

「ところが……ほら、見てみろ。今の夜見子に……昨日までの『力』を感じるか?」

夜見子の『力』は……今は、美智が強い『気』で抑え込んでいる。

そのことは、夜見子自身気付いていない。

「……わたくしの『力』は、失われました」

力なく……夜見子は言う。

「……夜見子お嬢さん?」

「あの『力』は……もう出せないのですわ」

夜見子の眼から……涙が零れる。

「オレが処女を奪ったからだ。これでもう……この子が、『巫女』になることは無い。『鷹倉家の巫女』の血筋は、完全に断たれたんだ」

「……そんなことって……ちくしょう!」

吐き捨てるように……安藤は言う。

「だから……お前たちヤクザには、もうこの子らを追う理由が無い。殺す意味もな。『巫女の力』は、もうないんだから」

ここからが……勝負だ。

「だが、お前らのことだから……それでも、月子たちを追い回して、命を奪おうとするかもしれない。ヤクザなんて、バカで判らず屋ばかりだからな。そういう奴らから守るために……この子らの身柄は、オレたちが預かる」

オレは……宣言する。

「そして、オレたちは慈善家じゃない。この子らのために掛けた費用は、この子ら自身に支払わせる。政財界の大物たちに……身体を売ることでな。安心しろ、客は選ぶ。変な趣味のジィさんに、この子らは売らない。地位と名誉がある金持ちで、ちゃんと『女』を可愛がることを知っている人間だけだ。そういう顧客を得ることで……この子らの安全は、さらに保障されることになるだろう」

安藤の頭が受け入れられるであろう『常識』の範囲で……話をでっち上げる。

「そこまでやらないと……守れないんだよ。この子らは」

安藤は……黙り込んでいる。

「というわけだから……オレが今、言ったことを、あんたの仲間たちに伝えといてくれ」

組織の上の人間よりも……むしろ、安藤の同格のヤクザたちや、配下たちに伝えて欲しいと思う。

実働部隊が、そう思い込めば……月子たちは、ヤクザたちに追い回されることはなくなるだろう。

処女を失い、高級娼婦になった彼女たちは……もう、『鷹倉家の巫女』になることはできないのだから。

「オレの話は以上だ……帰るぞ。月子、夜見子、美智、車に戻れ」

「……黒森様」

月子が何か言いたげだが……。

「早く帰ってセックス教育の続きだ。今夜は寝かせないからな。ルナも交えて、男を歓ばせる技を教えてやる」

オレは、そう言いながら……月子を車の中に押し込む。

そして、小声で……。

「別れの挨拶なら、もうさっきしたろ?切り替えろ」

「……はい」

「セックス教育……よろしくお願い致します!先生!」

大きな声でそう言いながら、夜見子も車に戻る。

最後に美智が助手席に座り……バタンとドアを閉めた……。

「……30分以内に、お迎えが来るように連絡しておくわ。寂しいでしょうけれど、しばらく1人で待っていなさいね」

翔姉ちゃんが、そう言って……車の窓を閉める。

エンジンは、ずっと掛かったままだ……。

ヘッドライトが、カッと点った。

「……お、お嬢」

安藤の情けない声が聞こえる。

「……発進するわ」

その声を無視するように……翔姉ちゃんは、アクセルを踏んだ。

「……安藤さん、ごめんなさい」

月子はそう呟いたが……車の後方に小さくなっていく安藤に振り向くことは無かった。

真っ直ぐに……前だけを見ている。

濡れた瞳で……。

◇ ◇ ◇

「今のあなたとヤクザさんの会話……録音しておいたわ」

車を走らせながら……翔姉ちゃんが言う。

「ヤクザ組織のネットワークに流して、拡散させるから。声だけなら、ヤクザさんたちは、あなたが誰だか判らないだろうけど……まあ、香月セキュリティ・サービスを代表する人間だとは思うでしょうね……」

安藤自身も、30分以内にヤクザ仲間に助けられることになっているから……。

安藤の口からも、オレの話が伝えられることになる。

そして……今、オレが言った『大嘘』が、『既定事実』となる。

「これでいいんだろ?ジッちゃんの狙いとしてはさ?」

オレは……翔姉ちゃんに尋ねた。

「最初は……鷹倉家の『巫女』を抑えることで、関西ヤクザたちを支配下に置くのが目的かと思っていたけれど……」

それにしては……ジッちゃんは、ヤクザたちと全面戦争をし過ぎている。

東京に出張って来た連中だけでなく……谷沢チーフを『敵』の本拠地に送り込んで、直接攻撃しているのだから。

「ジッちゃんの目的は……『鷹倉家の巫女』を、ヤクザたちから解放することなんだよね?」

「……その通りよ」

翔姉ちゃんは……答えた。

「『閣下』は……『巫女の力』が、ヤクザたちの『仲裁役』としてしか使われていないことにご不満なのよ……」

なまじ『仲裁役』としての立場を得てしまったから……ヤクザ世界に、鷹倉神社や『巫女』が呑み込まれてしまっていた。

「そうだよな……『巫女の力』は、ヤクザとの繋がりが切れれば、もっと色んなことに使えるもんな……」

例えば……国際的なビジネス交渉とか……。

政治交渉にだって使える。

相手の心の内側の全てを察し……こちらの意思に従わせる能力なのだから。

「ヤクザに独占させておくのはもったいないよ。いや……ヤクザたちだって、自分たちの世界のパワーバランスを崩さないように、『巫女の力』を『仲裁役』にしか使えていなかったし……」

結局……持て余していただけなんだ。

強大すぎる力を、どう使って良いか判らなくて……。

でも、『巫女の力』の凄まじさに怯えて……。

いっそのこと、抹消してしまおうと……現役『巫女』の殺害なんていう、極端なことをやってしまった。

「ヤクザさんたちには、このまま『鷹倉家の巫女』はいなくなったと思い込んでもらうわ。その『力』を持つ者は、もうこの世にはいない」

『巫女』の後継者は……途切れてしまったと。

「『巫女の力』の詳細を知っているヤクザの親分さんたちは……谷沢チーフが処理するわ。どうせ、下の人たちは『巫女』のことは漠然としたイメージでしか理解していないでしょうし……」

実際に、『巫女の仲裁』を体験した……安藤の組織の大親分ぐらいしか、本当の『巫女の力』は判っていないだろう。

上層部の数人を処分すれば……後は、安藤同様……修行途中に処女を失った娘は、『巫女』になれないというオレのデマを信じることになる。

もう『巫女』は、途絶えたと……。

「『鷹倉家の巫女』が健在であることは、『閣下』たち、政財界のトップの一部の人たち……国の舵取り役だけが、知っていればいいわ」

翔姉ちゃんは、そう言う。

強大すぎる『力』は……使い場所を選ぶ。

……だから。

「そして……『巫女』の管理者は、あなた。あなたが、この子たちの『ご主人様』になるのよ」

ルームミラーの中の眼が……オレを見る。

「『巫女』は、あなたの言うことしかきかないし、あなたにしかコントロールできないのよ。そういうことにするの。それなら……例え、国の最高権力者が命令して来たとしても、『巫女』の力が必要になった時には、あなたを通さないといけなくなる。あなたがいなければ、『巫女』は力を発揮できない。それならば……」

『巫女』は……オレたちから、引き離されることはない。そういう無理なことを仕掛けて来るやつはいなくなる。

だから、『巫女』は普段は、オレたちと一緒に暮らしていて……。

黒森の家に『巫女』が居る以上……どんな権力者も、オレたちを攻撃してくることは無い。

むしろ、そいつらは……おかしな連中から、オレたちを守ってくれるだろう。

「国家の非常事態に……必要な『力』ですものね」

場合によっては、戦争だって回避できる『力』だ。

国際政治の場で……『巫女』が全ての力を解放したなら……。

絶対に濫用はできないが……最後の最後に使う『最強の切り札』として、国家の舵取り役は『巫女』の存在をキープしておきたいと思うだろう。

ジッちゃんが言っていた『保険』とは……このことなんだ。

「あの……黒森様?」

月子が……オレに尋ねる。

「黒森様は……わたくしたちが『巫女』になれると、お考えなのですか?」

オレは……。

「なれるよ……っていうか、するから。絶対に」

これは、オレたちにとっても……ジッちゃんから託された、大切な任務なのだ。

「月子か夜見子……あるいはルナ。とにかく、3人姉妹のうちの誰か1人だけでも……本物の『巫女』にする……!」

「ですが……わたくしは!」

夜見子が、泣きそうな顔で……オレを見る。

「わたくしの『力』は……失われてしまったではありませんか」

「失くしたものは……取り戻せばいい」

オレは……そう告げる。

「どっちにしろ、前の夜見子の『力』じゃダメなんだ。あんな程度の力に縋っていたから……夜見子は、良くない子になっていた。もう一度、ゼロから修行し直して、『力』を取り戻せ。夜見子なら、できるはずだ」

「……しかし」

「美智……お前もそう思うよな?」

助手席の美智が……オレたちに振り向く。

「……はい、ご主人様のおっしゃる通りです」

大きな黒い瞳が……夜見子と月子を見る。

「あなたたちの心の中には……大きな『気』の泉があります。そこでは『気』が渦巻き、煮立っています……」

美智の言葉に……息を呑む、2人。

「……月子様は、その『気』の取り出し方を判っていない。夜見子様は、溜め込んだ『気』が間欠泉のように噴き上がる小さな穴をお持ちで……そこから噴き上がる小さな『力』だけを使っていました。なまじ、そんな小さな『力』が使えるから……内面の『気』の全てをダイナミックに使うような方法が身に付かないのです……」

「今の2人には……何が足りないと思う?」

オレは……美智に尋ねる。

「……心の解放ですね。今のお2人には……心に壁があり過ぎます。閉じ籠もって居る自己の内面を解放しなければ……」

……ということは。

「はい……セックスです。ご主人様に犯していただく歓びを……全身で感じることが必要だと思います」

ジッちゃんは……月子と夜見子に『娼婦』としての素質があるか、明日までに見極めろとオレに言った。

『鷹倉家の巫女』の本質は……『神聖なる娼婦』であるとも。

とにかく……セックスだ。

この姉妹の処女を奪って……セックスの快感を体験させる。

まずは……そこからだ。

「黒森様は……どうしてそんなに……真剣に、わたくしたちのことを案じて下さっているのですか?」

月子が……言う。

「先ほどの安藤さんのことも……わざと悪役になって下さいました」

安藤は……月子に対して、何かしらの特別な感情を抱いていた。

月子の方は、別に安藤を男として気に掛けている様子は無かったが……。

自分のことを慕ってくれている安藤に対して……冷たい態度は取れなかったのだろう。

月子は、優しい女の子だから。

オレは、そのことが判っていたから……。

安藤が、完全に月子のことを諦めるように……。

月子に、安藤の目の前で……フェラチオ飲精させた。

「ああ、さっきは悪かった……苦しかったろう」

「はい……苦しくて、恥ずかしくて、悲しかったですわ」

月子は……そう言う。

「でも……黒森様の温かいお気持ちが、わたくしの心に届いておりましたから……」

……月子?

「わたくしを気遣って下さって……あんな風になさっていたことを……」

やはり、月子の方が……『巫女』の素質があるんだ。

オレの心を……『気』を感じていた……?!

「……わたくしたちのご主人様は、とてもお優しい方です」

美智が……言う。

「しかし、月子様は……もっと苦しく、恥ずかしく、悲しく……そして気持ちの良い思いを体験なさらねばなりません。全身と……子宮で」

「できますでしょうか……わたくしに?」

「……できます。いえ、できなくてはなりません」

2人の会話に……夜見子が加わる。

「わたくしも……頑張りますわ。『巫女』になるためでしたら、わたくし、どんなことでも致します……!」

『巫女』になる夢が蘇ったことに……夜見子は、興奮していた。

「では……お2人とも裸に。『お屋敷』に戻るまでの時間……たっぷり、ご主人様に肌に触れていただくのです」

美智は……そう言う。

と、月子は……。

「あの……黒森様?」

「……何だ?」

「どうして、さっき……あの場で、わたくしを裸にしなかったのですか?」

今の月子は……パンティを穿いただけの裸身に、バスタオルを纏っただけだ。

オレは、安藤の眼の前で月子の身体を弄った時……。

バスタオルを脱がさなかった。

タオルの下に手を入れて……月子のおっぱいを揉んだだけだ。

その後のフェラチオも……そのままの格好でさせた。

「あんなやつに……月子の裸を見せたくなかったからだ」

オレは……答えた。

「それで……あの場では、黒森様をお舐めする以上の行為も、わたくしにお命じになられなかったのですか?」

「舐めて……口の中に射精して、飲ませたろ?」

「でも、あの……黒森様は、わたくしの股間に……あの熱いものを差し込まれるようなことは……お求めになられませんでした」

ああ、あの場でセックスしなかったことを……不思議に思っているのか。

「当たり前だ。月子の大切な……一生に一度の初体験を、あんな場所でやれるか!」

あんな男に見せるのは……嫌だ。

「……代わりに、わたくしを犯して下さればよかったのです」

おい……美智?

「月の光の下、野外で、周りは開けていて、夜風が肌に気持ち良い……なかなか刺激的な状況です。あの廃墟の駐車場で、冷たいアスファルトの上で四つん這いになって、全裸でご主人様に犯していただけたら……」

「うんと……今度な」

「……はい」

美智は、そういうのが好きなんだから……仕方無い。

「ああ、わたくしとも……今度、カーセックスしましょうね」

翔姉ちゃんが、オレに言う。

「そうやって、さっきからあなたが半裸の女の子たちの身体を触っているのを見てたら……わたくしも、してみたくなっちゃったの」

「……うん、判った」

翔姉ちゃんが……したいのなら。

「今は……諦めるわ。鷹倉家のお嬢様たちのことは……任務ですから」

翔姉ちゃんは……ジッちゃんから直接、この姉妹の警護を命じられている。

「だから、ほら……いっぱい触って。あなたの好きになさい」

いや、まあ……そう言われたら、触りづらいけれど。

「……どうぞ、黒森様」

月子は、覚悟を決めたらしい。

纏っていたバスタオルを……外す。

白い胸が……露わになる。

「わ、わたくしもですわ……!」

夜見子も……14歳の可愛いおっぱいをオレに突き出す。

「うん、じゃあ……触るよ」

それから……車が『お屋敷』に到着するまでの時間……。

オレは、後部座席で……姉妹の肌をまさぐり続けた。

ついでに……月子にキスもする。

「危ないからから……走行中に、舌を入れたりしたらダメよ」

運転しながら……翔姉ちゃんが言う。

そうだな、段差とかで車がガクンとなった拍子に……相手の舌を噛んでしまうかもしれない。

「おっぱいを舐めるのも……着くまで我慢して」

……うん。

舐めることは全般的に……走行中の車内では、フェラチオも厳禁だ。

夜だから……車の動きが予想しづらいし。

「あの……大分、慣れて参りました。黒森様に触っていただくことに……」

月子が、赤い顔で……そう言う。

全然慣れてないよ……こんなに恥ずかしがっている。

「わ、わたくしも……慣れて参りました、先生!」

夜見子も……身体の震えが止まっていない……。

◇ ◇ ◇

「お帰りーっ!遅いから、晩ご飯先に食べちゃったよーっ!」

『お屋敷』に到着すると……寧が、玄関前で出迎えてくれた。

「ああ、ごめん……途中で色々あったから」

オレは、車を降りる。  

「今、ヨッちゃんたちのご飯を克姉が食堂で用意しているからっ!」

「みんな、もう食べちゃったの?」

「ううん、アニエスと真緒ちゃんがまだ。2人とも、ヨッちゃんが帰って来るまで食べないって言って……」

ああ……そりゃ、悪いことをしたな。

「他にも、ご飯まだの人が何人かいると思うんだけど……あたしも、戻って来てからバタバタしてたから、ちゃんと把握していないんだ。克姉は判ってると思うけれど……」

寧は……そう言う。

「あ、そうだ。ルナちゃんとマナちゃんもまだのはずだよ。ルナちゃんは応接室に居て、マナちゃんが相手をしてくれているから」

「え……どうして?」

何で2人きりで……?

「だって……ルナちゃんを、アニエスに引き合わせるのは、ヨッちゃんがしないといけないでしょ?」

ああ、オレは……ルナをアニエスの友達にしたいと考えている。

同い年……2人とも、12歳だからな。

「2人の『ご対面』は、ヨッちゃんが立ち合わないとね。それと……ルナちゃんも、お姉さんたちが居ないと不安みたいだからさ……」

そうだな。夕食は……月子や夜見子と一緒の方が良いよな。

無理に食事させないで、待たせていてくれたのは正解だと思う。

「うん、判った……応接室ってどこ?」

「『第4応接室』!」

ああ……あそこか。

「月子さんと夜見子さんは、あたしに付いて来て。そのまんまじゃ、ご飯を食べるにはちょっとセクシー過ぎるでしょ?」

寧が、2人に微笑み掛ける。

「……わたくしも、付いて参ります」

美智が……オレに言う。

うん、2人の『巫女の力』は……絶えず、美智がチェックしてくれた方がいい。

「ああ、頼むよ……美智」

「わたくしは、車をガレージに置いてくるわ」

翔姉ちゃんが……言う。

もう何度も来ているから……勝手は知っている。

「今日の夜遅くから、雨みたいだから。外に停車させておきたくないのよ」

翔姉ちゃんは……自分のアメ車を濡らしたくないらしい。

「じゃあ、後で……食堂でね」

「……ええ」

ガレージから、内側の通路を通って……翔姉ちゃんは、食堂へ来る。

さて、オレは……。

取りあえず、ルナに会いに行くか。

「ヨッちゃん、行くよーん!」

玄関のドアを開けて、寧が待っていてくれた。

◇ ◇ ◇

寧は……月子たちを着替えさせるために、奥の部屋へ。

オレは……玄関口の脇に並ぶ応接室の1つへ。

マナが相手をしてくれているというけれど……。

ルナは、落ち込んでないだろうか?

ちょっと心配になる。

第4応接室のドアをコンコンとノックした。

「……はい?」

マナの声がする。

「オレだ、帰って来たよ」

「どうぞ、お兄ちゃん!」

オレは……ドアを開いた。

……と。

部屋の中には……4人の人間が居た。

ルナとマナと……美子さんと……雪乃?!

そうか……香月セキュリティ・サービスの全部隊が総動員だから……。

雪乃は、『お屋敷』に居たまんまになっているんだっけ。

「何よ、遅いわよ……お腹減ったわよ!」

……え?

「わたくしたちで、ルナ様のお相手をしておりましたわ」

美子さんが、笑顔で……そう言う。

そうだ、オレ……。

美子さんに、鷹倉家の姉妹のお出迎えをお願いしていたんだっけ。

「今は、ちょうど……雪乃さんが、面白い話をして下さっていたところですわ」

美子さんは……言う。

「え、雪乃……お前、何の話をしていたんだ?」

「何よ、別に変な話とかはしていないわよ……!」

雪乃はムッとして、オレに言う。

「将棋の世界の……女流棋士の団体の分裂についてよ」

……はい?

「今は、分裂した方の団体の会長が、大会のスポンサー企業をディスったあげくに、試合をボイコットして、一年間の出場停止になったっていう過程をね……」

雪乃……。

ルナは……唖然として、雪乃を見ていた。

その格好は……巫女服だった。

確か……学校を出た時は、下着姿だったよな。

「どうしたんだ……その格好?」

「ああ、克子お姉ちゃんが、衣装部屋から出してくれたの」

マナが……答える。

ああ、ここは『娼館』だから……。

コスプレ衣装として……巫女服ぐらいは、置いてあったのか。

「それでさ……タニーも会長になったばかりで、大変なのよ……!」

「……まあ」

雪乃は、楽しそうに……美子さんに話し続けている。