Reincarnation Monarch
Episode 492: Matching Interests
「……あなたは自分が殺害事件の現場にいたと仰る……このわたしが!……ゴルコス将軍を殺害したと仰る!……しかし実際にわたしが刺した現場は見ずに周りの状況からそう判断したと仰る!…………なんですかこれは?」
シェスターは証人のルカクの目と鼻の先まで顔を近づけて言った。
ルカクは完全にシェスターに飲まれてさらに激しくおどおどとした。
「……い、いや……そのう……」
「わたしはゴルコス将軍を殺害などしてはいない!」
「……で、でも……」
「でももへったくれもない!わたしはゴルコス将軍を殺害などしてはいないし、あなたとは会ったこともない!」
「……いや、そんな……あなたは……」
「いや、もしかしたら我々が、エスタに布陣中のゴルコス将軍にお会いした際にあなたともお会いしていたのかもしれないが、その際は人も多く、申し訳ないがわたしはあなたの顔を見たという記憶がないのだ」
「……いやその時の話ではなく……千年竜が暴れて大騒ぎになって……」
「ああ!確かに千年竜が暴れる最中に再び将軍の幕舎へ趣いたがその時のことかね?」
「……いやその時の話しでもなく……その後に逃げ出している最中にあなたが……」
ルカクはそこでシェスターから目をそらし、その背後のロンバルドに視線を移して言った。
「……あの人と一緒に……」
するとシェスターがさらなる大音声でルカクの発言を遮った。
「わたしと副長官の二人が!!……どうしたというんです?」
シェスターは顔をわずかに傾けながらルカクの顔を覗き込んだ。
するとルカクはハッとした顔つきとなり、小刻みに首を何度も振った。
「はい、あなたたち二人ともう一人、まったく見たこともない人が現れて……」
「まったく見たこともない人ですね?わたしと副長官ともう一人まったく見たこともない人が現れたんですね?」
シェスターはこの裁判が最悪の結果となったとしても、罪を負う者が自分とロンバルドの二人だけにすべく、第三の男の存在を消すためにルカクと申し合わせをしようと試みていた。
そしてそれはルカクにとっても好都合であった。
「はい。まったく全然見たことも聞いたこともない人でした」
ルカクもまた第三の男に累が及ぶことをなんとしても避けたいと思っていたのだ。
そのため、シェスターとの会話の途中でその意図に気づいて飛びついたのであった。
シェスターは両者の利害が一致したことを確信し、わずかに微笑みながら軽くコクンとうなずいた。
そしてそれは背後のロンバルドも同様であり、一度大きく息を吸い込み、ほっと肩をなでおろしながら溜まった空気を一息に吐き出したのだった。