Reincarnation Monarch

Episode 695: Tracking

「……さて、それではリボーを追いかけるとしますか?」

ロンバルドとダルムの会話が一区切りついたとばかりに、シェスターが切り出した。

しかしロンバルドは一旦軽く頷いたものの、すぐに眉間にシワを寄せて首を横に振った。

「……いや、この少人数では危険だろう。ここは一旦隠れ家に戻り、対策を練ったほうがいいのではないか?」

ロンバルドは今いる人数がわずか四人であり、しかもその中の一人であるダルムが明らかに戦力外であることを考慮し、シェスターの意見に疑問を投げかけた。

するとシェスターがその戦力外のダルムに突然問いかけた。

「ダルム、たしか君は偶然町でカルミスと出会ったのだな?ではその前はこの家にいたということか?」

するとダルムが答えた。

「はい。この家を出てすぐにカルミス様と出会いまして、お話しをしながら先程の家に……」

するとシェスターがすかさずダルムの発言を遮って言った。

「つまりリボーがこの家に侵入し、千年竜を奪い去ったのはつい先程ということになるな?」

するとロンバルドがハッとした顔となった。

「そうか!ダルム、最後にこの家を出たのは時間にしてどれくらい前のことだ?」

「……三十分くらい前……でしょうか……」

するとシェスターがにやりと微笑み、ロンバルドに言った。

「奴らは千年竜を連れています。ならばまだこの近くにいるかもしれません」

シェスターの言にロンバルドが大いにうなずいた。

「うむ。ならば人数を集めている場合ではないな。今すぐ後を追おう!」

「ええ、ただしダルムは戦いには不向きなようですから、隠れ家へ知らせに行ってもらうということでどうでしょうか?」

「ああ、そうだな。ダルム、すまんが君には先程の我らの隠れ家へ戻ってもらい、仲間に現在の状況を知らせてもらいたいのだが、頼めるかな?」

するとダルムは少し戸惑い気味ながらも、ロンバルドの求めにうなずいた。

「……あ、はい。判りました。そういうことでしたら、先程の家に戻って伝えます」

「よし。ではカルミス、奴らの痕跡を辿ってくれ」

するとカルミスはすぐさま瞼を閉じ、真剣な表情で瞑想を始めた。

そしてしばしの間沈黙の時が流れ、カルミスの目がカッと見開かれた。

「……ロンバルド殿、リボーたちの今現在の詳しい場所などは判りかねますが、向かっている方向は判りましたぞ」

するとロンバルドがニヤリと口角を上げてシェスターの顔を見た。

そして再びカルミスへと視線を戻すと、大きくうなずいたのだった。

「よし!では追うぞ。千年竜を取り戻すのだ!」

ロンバルド一行の追跡行が今、始まろうとしていた。