Reincarnation Monarch

Lesson 744: Question

レノンが立ち去ってより数分、突如として地響きが轟くとともに、建物全体が大きく揺れはじめた。

「!!な、何だ!?」

シェスターは驚き、座っていたソファーに必死にしがみついた。

それはロンバルドも同様で有り、二人はしばらくの間ソファーに身体を預けて揺れが収まるのをひたすら待った。

するとようやく地響きは聞こえなくなり、揺れも次第に収まりはじめた。

「……一体、今のは……」

すると今度は、突如として身体が浮き上がったような気持ちの悪い感覚を得た。

「……何だというのだ!?先程からこれは……」

シェスターが呆れ気味に呟くと、突然近くのドアが音も無く開いた。

「レノン!今の揺れはなんだ?それにその後の何ともいえない気持ちの悪い感覚はなんなのだ?教えろ!一体、何が起こったというのだ?」

シェスタ-は部屋に入ってきたレノンに矢継ぎ早に質問した。

するとレノンは落ち着き払った様子で静かに答えた。

「それはわたくしより、シグナス様にお尋ねするのがよろしいかと……」

レノンはそう言うと身体を半身の形にして、その後ろから静かにゆっくりと登場したシグナスのために道を空けた。

「……シグナス……もう一度聞く。あの揺れとその後の感覚……あれは一体何なのだ?」

するとシグナスは、ゆっくりと近くのソファーに移動しながら落ち着いた声音でもって静かに答えた。

「そうさなあ……言葉で説明するよりも見てもらった方が早いな。ほれ、お前たちの後ろに窓が付いておる。そこから外を覗いてみるがいい」

シグナスに促され、シェスターたちは手近の窓を覗き込んだ。

すると、

「……動いている!?い、いや!飛んでいるのか!?」

シェスターが驚きのあまり叫ぶと、シグナスはちょうどソファーに辿り着き腰を下ろすところであった。

「……ふう……さすがにこれだけのものを動かすとなると一苦労じゃわい。疲れた、疲れた……」

シグナスがソファーに深く身を沈め、ゆっくりとまぶたを閉じようとしているのを見て、そうはさせじとすかさずシェスターが問いかけた。

「寝るのは後にしてもらおう。シグナス、貴様この建物ごと飛ばしたのか?」

「そうだが、それがどうした?」

「その行き先は地獄なのか?」

「そうだ」

シグナスの答えは簡潔にして明快であった。

シェスターは、ならばと次々に質問を繰り出した。

「先程レノンから聞いたのだが、この地獄への道は当初埋まっていたはず。なのになぜこの道の存在を知り得たのだ?」

「知っていたからじゃ」

「それは、いつ頃知り得たのだ?」

「さて、覚えておらんな。じゃが遙か昔……そうじゃな、数百年は前の話じゃな」

「数百年だと!?貴様、一体幾つなのだ?」

するとシグナスはしわくちゃの顔にさらなる皺を作って笑った。

「さてな。よう覚えておらんよ。わしくらいになると年齢などどうでもいいことになるでな?」