Reincarnation Monarch

「では改めて尋ねるが、君は何故素性を隠して彼らに近づいたのかね？」

するとアジオが肩を大きくすくめた。

「何故って……僕の母親は身分が低いですからね……素性を晒して会いにいっても、蔑まされた挙げ句に門前払いでしょうから……」

するとコメットが勢い込んで声を張り上げた。

「そんなことはないよ！僕は絶対にそんなことはしないよ！」

するとアジオが暖かな視線と共に、笑みを浮かべながら言った。

「ああ、判っている。コメットはそんなことはしないだろうことはね……」

すると未だにコメットから羽交い締めにされているエルバが抗議の声を上げた。

「ちょっと待ちなさいよ！わたしだってそんなことで蔑んだりなんてしないわよ！もっとも、気に入らなければ追い返したりはするかもしれないけどね！」

するとアジオが思わず吹き出しそうになった。

「……まあそうかもね。あの時は君たちの性格とか判らなかったんでね……真正面からじゃダメだと思い込んでいたんだよ」

するとコメットがアジオの言葉を受けて静かにうなずいた。

「そうか……そうだよね。知り合う前だもんね。それなら僕たちの性格なんてわかりっこないよ。それならしょうがないですよね？姉様」

するとエルバが口をへの字に曲げた。

「……まあそうかもしれないけど、そう思われていたってだけで何かしゃくだわ」

すると再びアジオが笑い声を上げた。

「いや、すまない。思わず笑ってしまったよ。しかし……そうだな。もう少し君たちの人となりを調べていたら、こんな面倒な真似をしなくてもすんだのかもしれないな……」

アジオはそう言って、今度は自嘲気味に笑った。

シェスターはそんなアジオを注意深く観察しつつ、おもむろに口を開いたのだった。

「アジオ、それで君は何処へ行ったのかね？」

するとアジオがこのシェスターの質問に首を傾げた。

「何処へ？無論エルバの所へですよ」

するとエルバが反射的に頬をピクピクと引きつらせた。

「何ですって？あんた、いきなり呼び捨てに変えるとか随分といい度胸じゃないの！」

するとコメットが、羽交い締めする腕に力を込めながら言った。

「いや、姉様。アジオは年齢的に姉様より上ですし、本当は部下だったわけではないということで……」

するとエルバがコメットの羽交い締めに抵抗しながら苦々しそうに言った。

「そんなの判ってるわよ！こいつは素性を隠して家に入り込んだんだから、当然忠誠心なんてものはないだろうし、素性がばれた以上エルバ様なんて、様を付ける訳がないけど、だからといっていきなり普通呼び捨てにする～？」