Reincarnation Monarch
Lesson one thousand four hundred forty-two, let's go.
「わかったわかった。カルビンを毛嫌いするのは構わない。だが落ち着くことは出来るだろ?」
シェスターが諭すように言った。
するとそこでようやくガイウスが少し落ち着いた。
「……まあ確かにそうだね。少しみっともないところを見せちゃったかな?」
「いや、そうでもないさ。さて、どうやら皆の支度が出来たようだぞ?」
シェスターがガイウスの肩越しに、向こう側を眺めてドアから顔を出して様子を窺うアジオの顔を見ていった。
ガイウスはすかさず振り返り、アジオの顔を認めると、スッと立ち上がって笑顔を振りまいて言ったのだった。
「用意は出来たのかな?それなら皆中へ入ってくれ」
先程までと態度の異なるガイウスに、アジオたちは多少ドギマギしたものの、また機嫌が悪くなられてはたまらないとばかりに慌てて室内へと雪崩れ込んできた。
「あのう~ルーボスに帰るということなんですけど、例の怪物はどうなりましたか?」
アジオが恐る恐るといった様子でガイウスに尋ねた。
するとガイウスが、努めて陽気に言った。
「ああ、あれなら逃げたよ。だから問題なしさ」
「そうなんですか?じゃあ問題なさそうですね?」
「そういう事。じゃあ早速出発するとしようか」
ガイウスがカルラに合図した。
カルラは仕方なさそうに腰を上げた。
「そうだね。まあとりあえず帰るとしよう」
「よし、じゃあ皆、そういうことだから行くよ」
ガイウスは意気揚々と歩き出し、アジオたちの間を抜けてさっさと部屋を出て行った。
するとカルラがシェスターと顔を見合わせてうなずくや、ガイウスの後をゆっくりとした足取りで追った。
シェスターはあらためて一同に向かい、言ったのだった。
「突然のことでよくわからないだろうが、ガイウス君はここに長居がしたくないんだよ。なのでいきなりだがルーボスへ帰ることにしたんだ」
するとアジオが皆を代表して言った。
「はあ、そうですか。まあ我々もここに長居したいとは思っていないのでいいですが……アルス隊長たちはどうなんですか?結構長いことここにいらしたし」
問われてアルスが答えた。
「いや、別段構わない。特にここにいたい理由も無いしな」
「そうですか。じゃあ……行きますか?」
「そうだな。行くとしよう」
一同は急なことながらも、皆ルーボスに戻ることに同意した。
シェスターはそれを確認するや、皆に向かって言ったのだった。
「では我々も出発するとしよう。ガイウス君もカルラ様もせっかちだからな。あまり遅れると、置いていかれてしまいそうだ」
シェスターは苦笑交じりにそう言うと、早速皆の間をすり抜けて部屋を出て行くのであった。