Reincarnation Monarch
Episode One Thousand Four Hundred Seventy-Two: Changes in the Situation
「……感じ取る?……何が?……」
カルラのただならぬ様子に、一瞬でガイウスに緊張が走った。
だがカルラが言う何かをまったく感じ取れないため、ガイウスはオウム返しに問い返した。
するとカルラが、普段ならば呆れたような仕草をするところを、ひどく緊張した面持ちでまともに答えたのだった。
「……わからん。だが……恐るべき何かだ……」
カルラがキョロキョロと周囲に目を配りながら言った。
ガイウスは極限まで集中力を上げ、カルラの言う何かを感じ取ろうとした。
するとガイウスのアンテナにも何かが引っかかった。
「……あっ!……何だ?この感じ……」
「ようやく感じ取れたようだな?」
「……ああ。なんとか……でもこれは……何だ?こんなの今まで感じたことがないよ……」
するとカルラが集中力を持続させながらうなずいた。
「わたしもだ。このような経験は、今の今まで一度も無い」
ガイウスは驚き、問い返した。
「まじで?……カルラが経験したことがないって……よっぽどじゃないか……」
「ああそうだ。だから油断するなよ?」
「わかった。わかったけど……ここに居ていいのかな?」
するとカルラが微かにうなずいた。
「そうだな、確かにここは場所が悪い。なにせ地下室だからな」
「上に移動した方がいいんじゃない?」
ガイウスの提案にカルラが同意した。
「そうしよう。ガイウス、上へ移動するぞ」
「了解。ゆっくりとでいいね?」
「ああ。ゆっくり行く。なにせ相手の正体が判らん。慌てて移動するのは危険だろうさ」
「わかった。カルラのペースで移動して。俺はついていくから」
カルラは軽くうなずくと、周囲に警戒しながらゆっくりと動き出した。
ガイウスもカルラが動き出すとすぐにその後を追うため、動き出した。
そうして二人はゆっくりとした足取りでもってまずは地下室を出ようと試みた。
だがそこへ、突然重低音が鳴り響いた。
ガイウスは思わずビクリと身体を硬直させた。
「何だ!?……これはあの時の……」
すると、さすがにカルラが落ち着き払った様子でもって言った。
「イリスの棺がまた鳴いているようだね?」
「冗談じゃない……またかよ!ていうか、この何かわからない感じも、イリスの仕業なんじゃないの?」
カルラはうなずき、重々しい口調でもって言ったのだった。
「かもしれないね。だが今はとりあえずこの部屋を出るよ。それも、状況が変った以上、今すぐにだよ」
カルラはそう言うと、先程とは異なり、足早に動き出したのだった。