Reincarnation Monarch
Episode one thousand four hundred and eighty-three, Iris.
「いいでしょう。それで、あの男が特異点だというのは本当なの?」
イリスの問いにカルラがすかさず答えた。
「間違いない。故にこうして我らが貴方と出会ったのも、それが理由ではないかと思っている」
「……確か色々なものを引き寄せるんじゃなかったかしら?」
「その通り」
するとイリスが、静かにゆっくりと身体を起こし始めた。
カルラが手を貸そうとするも、イリスはそれを片手で払うようにして断った。
イリスは上半身を起こし、再び話しかけた。
「それで、お前たちの関係は?」
「師匠と弟子だ」
「師匠?どちらが?」
「無論わたしだ」
するとイリスの目がスーッと細くなった。
「……なるほどね。お前、どうやら見た目よりもかなり年を食っているわね?」
「まあな。実は異空間にて時間が遡り、年齢が若返ったのだ」
「へえ……それはまたずいぶん特殊な事例ね?」
「まあそうだろうな。中々に面白い体験ではあった」
「それで、あの男は一体いつまで床に座っているつもりなのかしら?」
イリスがチラとガイウスを見て言った。
ガイウスは慌てて起き上がり、へらへらと愛想笑いをした。
カルラは右手を額に当てて呆れた表情となった。
「馬鹿者。へらへら笑うな。ところでイリス、何故棺の中に眠っていたのか教えてはもらえまいか?」
カルラが思い切ってストレートに問いかけた。
するとイリスの目が再びスーッと細くなった。
「お前には関係ない」
イリスは完全に謝絶した。
カルラは機嫌を損ねないように話しを変えた。
「そうだな。ところで特異点には興味があるのだろう?というか特異点がいるから起きたのではないか?」
イリスは軽く首を傾げた。
「さあ。わたくしが何故目覚めたのかは、わたくしにはわからぬこと」
「そうか。わたしはてっきりガイウスに反応して起きたのかと思ったが」
「かもしれないわね」
イリスの言葉はカルラには意外であった。
「ほう、ではその可能性はあると考えていい訳か」
「そうね。わたくしには自分が目覚めた理由がわからないもの」
「そうか。ところでガイウスと話したいことはあるか?」
カルラが突然ガイウスに振った。
ガイウスは突然のことに若干慌てた。
「えっ、あ、どうも……」
ガイウスの間抜けな挨拶に、イリスが苦笑を漏らした。
「本当にこいつが特異点なのかしら?」
イリスは呆れたように言うのであった。