Reincarnation Monarch
Episode One Thousand Five Hundred and Five: The Color of Space
「……これは、通っていいものなのか?」
巨大な門を人二人分ほど開けるも、カルラが不安気にアウグロスへと問いかけた。
するとアウグロスが無言でうなずいた。
だがカルラはそれでも心配げな表情を見せた。
しかしアウグロスはそれ以上しゃべりも動きもしなかったため、カルラは仕方なくゆっくりと歩を進めて門の中へと入っていった。
「何も無いな。これまでと同じ光景だ」
カルラは門の中の風景をぐるっと見回し、呟くように言った。
アウグロスは感慨深そうに景色を眺めると、カルラ同様に呟くように言った。
「……そうだな。だが少し色が異なるだろう?」
アウグロスの言葉に、カルラが意表を突かれた表情となった。
「色?……何処の色だ?」
「空間の色だ」
「空間?ああ、そうか。これは空ではないのか。あくまで空間なのだな?」
「そうだ。門の外の色と中の色を見比べてみるといい」
カルラは門の内と外を、何度も首を巡らして比べてみた。
「……ふうむ、確かに違うようだな。といっても微妙だがな」
するとアウグロスが苦笑を浮かべた。
「ああ、確かに微妙な違いだな。だが確実に色が違う」
「まあな。だがそれがどうしたというのだ?」
するとアウグロスが肩をすぼめた。
「さあな。だが門を境に空間の色が変るというのは、不思議だろう?」
「……まあそうだが……理由はわからないんだな?」
「わからぬな」
「つまり、この空間のことは何一つ判らないということだな?」
カルラが意地悪く言った。
だがアウグロスはそんなことなどまったく気にせず、それどころか笑みを浮かべて言ったのだった。
「いや、そんなことはない」
「ほう、では何を知っているというのだ?」
アウグロスはさらにニヤリと笑った。
「この空間が天界に繋がる道だという事実だ」
「……なるほどな。では、先へ進むか?」
アウグロスはさらにさらに笑みを深くして言った。
「そうだな。いつまでもここにいても何も起こらないのでな」
アウグロスはそう言うと、さっさと歩みを進めた。
カルラは一度門を下から見上げた。
「……やはり不思議だな。何のためにこんな壁と門があるのか……それに空間の色か……」
カルラは眉根を寄せてしばし考え込むも、答えが出るわけもなく、アウグロスの後を追うのであった。