Reincarnation Monarch

Lesson one thousand five hundred and eighteen, if you look back.

「……ガイウスか?……」

カルラが探るような眼差しを送りつつ問いかけた。

「……え?そうだけど……ここ何処?……何やってんの?」

ガイウスが辺りをキョロキョロと見回しながら不思議そうに尋ねた。

カルラは大きな溜息を吐いた。

「……ここは天界へ通ずる道……のはずだ……」

カルラが今度は困ったような表情となった。

ガイウスは大いにいぶかしんだ。

「天界?……のはずだってことはそうじゃないかもしれないってこと?」

「ああ、そうだ。何せ道案内がいなくなったのでな」

「マジで?てことは迷子ってこと?」

「まあそういうことだ」

「ふうん……で、その道案内を探さなくていいの?」

ガイウスの問いに、カルラが疲れた表情で首を横に振った。

「探すも何もない。わたしの目の前にいるからな」

ガイウスは一瞬意味が判らず、戸惑った。

「え?どういうこと?……ああ、もしかしてアウグロスとかかな?」

「そのとおりだ」

「なんだ、じゃあ呼び出せばいいじゃん」

するとカルラが諦念の表情となった。

「ならばやってみてくれ。だがおそらく出ては来ないだろうがな……」

「出て来ない?何で?……まあいいや、やってみる」

ガイウスは不思議そうにしながらも、ものは試しとアウグロスを呼び出してみた。

だが……。

「……ダメだ。反応がない。これは一体どういうこと?」

ガイウスの問いにカルラが首を横に振った。

「わからない。突然アウグロスが消えたのだ」

「消えたって……じゃあ道案内は?」

「いない。いや、そもそもアウグロスもここで立ち往生していたのだ」

ガイウスは意味が判らず、口をあんぐりと開けて、呆けたような表情となっていた。

そのためカルラはここまでの経緯をガイウスに説明した。

「……そこで、アウグロスが消えたって?……」

「そうだ。突然な」

「こんなこと初めてだよね?」

「ああ、今までこんなことはなかった」

そこでガイウスがはたと考え込んだ。

「どうした?」

すかさず問うカルラに、ガイウスが不思議そうに問いかけたのだった。

「それで、その建物は何処にあるの?」

カルラは意味がわからず、問い返した。

「何処とはどういうことだ?」

「いや、そう言われても……その黒い立方体の建物だよ」

「いや、だから……」

カルラはそう言って後ろを振り返った。

だがそこには何も建物などはなく、辺りにもそれらしきものは存在しなかった。

カルラは愕然とした表情を浮かべ、しばし沈黙するのであった。