Reincarnation Monarch

Lesson one thousand five hundred and sixty-seven, multiple copies.

ガイウスが何やら思いついたような顔をしたとき、ようやく回復した千年竜が、空気が避けるほどの咆哮と共に口から衝撃波を放った。

ガイウスたちは瞬時に二手に分かれて、それを回避した。

と同時に、二人は先程同様のツープラトン攻撃を再開した。

二人の連携は見事なまでにはまり、千年竜を散々に翻弄した。

そして一時間ほどの激闘の末、ついに二人は千年竜を打ち倒した。

千年竜は断末魔を上げて落下し、眼下の森の中へと墜ちていった。

「……むちゃくちゃ強かったんだけど……本当にあれ、コピーなの?」

ガイウスが墜ちていく千年竜を眺めながら、信じられないという表情で言った。

エルはそんなガイウスに対して軽く一瞥を送った。

「だから言ったろう。本物じゃったら歯が立たんと」

「そうか……」

ガイウスが再び目を細めて何事かを考え始めた。

エルは先程の会話を思い出し、言った。

「お前、さっき何か言いかけなかったか?」

ガイウスはうなずき、口を開いた。

「ああ。あのエスタに出没した千年竜ってさ、もしかして今の奴か、もしくは同じコピーだったんじゃないかと思ってさ」

ガイウスの単なる思いつきであったが、エルは神妙な顔つきとなった。

「……ふむ、かもしれんな……」

「だろ?だって千年竜がガルダン大陸を出てメリッサ大陸に現れた事なんて、有史以来ないことなんだぜ。でももしあの千年竜が、偽物のコピーならばあり得ると思うんだ」

「ふむ、確かにな。ということは……エスタに現れた千年竜はイリス様が……」

「かもしれないし、そうでないかもしれない」

「どういうことだ?」

「いや、わからないよ。ただ……イリスがエスタに千年竜を送り込む理由はないと思うんだ」

「ふむ……ではあの千年竜は……」

「別の何者かがあそこに呼んだんじゃないかな?」

「それで同じコピーか」

「ああ。千年竜のコピーは複数いるんじゃないかな?」

「それはしかし……とんでもないことだな」

「ああ、正直あんなのが大量に襲いかかってきたら勝てる自信ないよ」

「うむ。わしらの連携であっても、複数は難しいな」

「そういうこと」

「だが、その何者かは、どうやってコピーを手に入れたのだろうか?いや、そもそもイリス様とはいっても、どうやって千年竜のコピーを作れたのか……」

エルはそう呟くように言うと、難しい顔でうつむくのであった。