Reincarnation Monarch
Lesson one thousand five hundred seventy-four Facts
「ふん!わしは別に太っていることを気にしてなどいない!ならばそれは問題とは言わんのだ!」
エルが力強く言い放った。
だがガイウスはすぐさま被せるように言った。
「語気を荒らげているということは、気にしていると言うことだ!」
「語気を強めているのはお前の方じゃ!お前はどうしてもわしをデブ扱いしたいようだな?」
「当然だ。デブをデブと言って何が悪い」
するとエルが上唇をめくって牙をむいた。
「悪いに決まっているじゃろうが!わしは違うが、デブにデブと言うなど極悪に呼ぶべき行為じゃぞ!」
「何で極悪なんだよ。事実を言うのが何でいけないんだ」
「事実だったら何でも言ってよいということにはならんだろうが!お前は何度も転生しておるくせに、そんなことも知らんのか、この馬鹿者!」
正論を言われ、ガイウスがふて腐れた顔になった。
「ふん!もういいよ」
「何がいいんじゃ。まずお前が謝らんかい」
「何でだよ。さっき謝ったろ」
「さっきのは、別の事に対してじゃろうが。それとは別に謝らんかい」
「……断る」
「謝れ、馬鹿者」
「いやだね。何で謝らないといけないんだよ」
「なんじゃと?お前、わしのことをデブって言ったじゃろうが!」
「何を蒸し返してるんだよ、デブだろうが!」
「だからデブにデブと言うなと……」
途中でエルが、しまったという顔つきとなった。
逆にガイウスはにたーっと笑い、勝ち誇った顔となった。
「ほうほう。デブにデブと言うなと。そうですか~。ということは、エルさんはご自分のことを、デブだと認識していらっしゃるということでいいですね?」
ガイウスは嫌みたっぷりに言い放った。
するとエルが、悔しそうに唸り声を上げた。
「ぐぬぬぬぬぬ……」
完全に勝ち誇ったガイウスは、さらに言葉をつなげた。
「いやあ、そうですか~。やっぱりそうだったんですね~。ほうほう、ご自分のことをデブだと。いやあ~そうでしたか~」
さらに追撃を掛けるガイウスに、ついにエルの怒りが爆発した。
エルは大きく口を開けて鋭く煌めく牙を剥き、すかさずガイウスの足首へとかじりついた。
「ぐあっ!……ぐっ!ごごごご……」
必死の形相で痛みに耐えるガイウスに、ようやく牙を収めたエルが言い放ったのだった。
「どうじゃ。お前のように口で言ってわからん奴には実力行使じゃ!」