Reincarnation Monarch
Episode One Thousand Six Hundred Sixty-Two Identity of Singularities
「……なるほどな……それは確かにタイミング的に気にはなるな……」
アスタロトが厳しい表情で言った。
だがイリスはこの話を真剣には捉えなかった。
「ふん、あの者がそう簡単に死ぬか。特異点だぞ?」
「イリスよ。一つ聞きたいのだが、そもそも特異点とは何なのだ?それに、何故ガイウスがその特異点なのだ?」
アスタロトの問いに、イリスが眉根を寄せた。
「……それは、わたくしもよくは知らないんだが……」
するとこの回答にアスタロトが大いに驚いた。
「そうなのか!?天界の神であるイリス、貴方ですら、特異点の正体を知らないというのか?」
するとすかさずイリスが勢い込んで反論した。
「まったく知らないわけではない!多少は知っているさ!」
「ではそれを教えてくれないか?」
冷静に言い寄るアスタロトに、イリスが多少尻込みしたように答えた。
「……いいだろう。奴は、ガイウスは、世界の中心ということになっているはずだ」
「それは知っている。だがその世界の中心というのは具体的にはどういうことなのだ?」
するとイリスが困り顔となった。
「……それは……様々な事象がガイウスを中心として起こり、色々な者たちが自然と引き寄せられるといったところかな?」
イリスは最後不安げに疑問型で終えた。
すると案の定アスタロトが突っ込んだ。
「なぜそのような事象が起こるのだ?何故色々な者たちが集まるのだ?それを教えてくれないか?」
イリスはかなり不機嫌そうに口を尖らせた。
「……それは……よくわからん……」
「それでは肝心なところは何もわからないではないか」
責める口調のアスタロトに対し、イリスが不満を爆発させた。
「うるさい!知らないものはしょうがあるまい!」
「それはそうだが……では何故ガイウスは特異点になっているのだ?それについては知っているか?」
アスタロトが質問を変えた。
だがイリスは相変わらず不機嫌そのものであった。
「……知らぬ……」
イリスのゼロ回答ではあったが、アスタロトはもうそれ以上責めることはしなかった。
「そうか。ではどう思う?」
アスタロトの突然の問いかけに、イリスは初めよく理解できなかった。
そのためオウム返しで問いかけたのだった。
「どう思うとは?」
するとアスタロトが改めてわかりやすく質問をしたのだった。
「誰がガイウスを特異点にしたのだと思うかね?」