Reincarnation Monarch

Chapter 1706: Best Friends

「そうなのか?……まあわたくしは、彼奴のそういうところを見たことはないのだが……」

イリスが当惑気味に言った。

アスタロトは軽くうなずき、言った。

「そうか。見たことはないか」

「ああ、もしお前の言うことが本当ならば、是非とも見てみたいものだがな」

するとアスタロトが苦笑いした。

「彼は見世物ではないよ、イリス。それに彼自身はそうは思っていないんだ」

「ああ、そうであったな。思い込んでいるのだったな?」

「そう。彼自身は自分の中に過去世の自分が今も生きていると思っている」

するとイリスがふと首を傾げて疑問を呈した。

「しかし、彼奴は何故そのように思い込んだのだ?」

「それはわからない。だが彼が思い込んでいるだけなのは確かだ」

イリスは、断言するアスタロトをいぶかしく見た。

「何故そうはっきりと言えるのだ?お前が勘違いしている可能性はないのか?」

するとアスタロトが、薄く笑みを浮かべながら首を横に振った。

「それはない」

「何故だ?何故断言できるのだ?」

イリスが少々苛立たしげに言った。

するとアスタロトが、真顔となって言ったのだった。

「わたしは彼の過去世を全て知っているのだ。そして、その中にろくでもない奴など一人もいなかったのさ」

するとイリスが小馬鹿にするように言った。

「ふん、お前がそう思い込んでいるだけなんじゃないのか?」

だがアスタロトは言下に否定した。

「いや、そんなことはないよ」

またもアスタロトは断言した。

イリスはいぶかしげにアスタロトを睨みつけた。

「わからんぞ?」

だがアスタロトは動じることなく言った。

「いや、わかるよ。何故かと言うと、彼の過去世に違いなんてないからなんだ」

「うん?どういう意味だ?」

「そのものずばりさ。彼の過去世に、人格的違いなんてないのさ。いつも君が出会ったガイウス・シュナイダーとなんら変わりがないんだ。陽気で調子乗りで、軽口を叩くのが好きな……それでいて憎めない男……彼はいつだって同じ性格の持ち主なのだよ」

するとイリスが鼻でせせら笑った。

「はっ!彼奴らしいわ!」

「そうだろう?わたしもそう思うよ」

「ふん、だから断言していたのか……だがお前が知らないだけで、微妙な差異などはなかったのか?」

するとアスタロトは、またも微笑を湛えながら言下に否定したのであった。

「ないよ。彼はいつだって変わらない。だからわたしの長年の親友なのさ」