Reincarnation Monarch
Episode One Thousand Seventy-Nineteen: The Thoughts of Illis
「なんだと!?」
イリスが血相を変えた。
だがアスタロトは能面のようにまったく表情を変えずに、白皙の面持ちでもってさらに言い放った。
「当然だろう?君はわたしにどうすればいいか聞くだけで、自分では何一つ考えてはいないではないか」
イリスは怒りに顔をブルブルと振るわせた。
「貴様……」
あまりの怒りに言葉が出てこないイリスに対し、アスタロトはさらに追撃の言葉を浴びせかけた。
「君はどうも周りに大事に育てられ過ぎたようだね?なんでも周りがやってくれるものだから、自分では何もやらないのは当然で、さらには考えることすらしなくなった」
するとイリスが激情をそのまま言葉に乗せた。
「何が悪い!わたくしは神だぞ!」
「そうだね。確かに君は神だ。だが……だからなんだと言うのだ?神だから考えなくて良いと?」
「当然だ。このわたくしに誰が指図するというのだ!」
「指図する者はいないだろう。だが、だからといって考えなくていいとはならないと思うよ?」
「わたくしだって考えている!」
すると冷厳な表情を続けていたアスタロトの顔が緩んだ。
「……ほう。どう考えていると?是非とも教えてもらいたいな?」
イリスは唇を噛み、絞り出すようにして言葉を発した。
「……それはだな……あれだ……そのう……」
だがイリスは、はっきりとした事を言うことは出来なかった。
すると当然のようにアスタロトが小馬鹿にしたように言った。
「ほらごらん。考えてないだろう?」
「だから考えていると言っているだろう!もう少し待て!お前はどうもそそっかしいぞ!」
これにはアスタロトが吹き出した。
「わたしがそそっかしいだって?その言葉はそっくりそのままお返しするよ」
「ふん!慌てて問いかけるような奴はそそっかしいと言われたって文句は言えないはずだ!」
「それはどんな理由なんだい?意味がわからないな。だがまあいい。では君の考えとやらがまとまるまで、しばし待つこととしよう」
アスタロトは口元に笑みを浮かべながら、目をゆっくりと閉じた。
イリスはその様子を忌々しげに見つつ、必死に考え始めた。
だが中々に考えがまとまらず、イライラした様子で右を向いたり左を向いたり、上を見たり下を見たりしながら考えに考えた。
だがついに念願の考えがまとまり、イリスは満面の笑みを浮かべたのだった。
「よし!攻撃だ!手当たり次第にこの島全体を攻撃しまくれば、奴らたまらず姿を現すであろう!」