Reincarnation Monarch

Chapter one thousand seven hundred and twenty-two, confrontation.

アスタロトは上空から不敵な笑みを浮かべつつ、ゆっくりと降下した。

そして上空百Mほどの高さまで来ると、静かに止まった。

「観念したらどうかな?もうそこにいるのはわかっているんだからね」

アスタロトは自らの足下で、水を掛けられたことで揺らめき、その姿が半ば見える状態となった千年竜に向かって語りかけた。

すると、やおら千年竜はその大きな身体を動かしたのだった。

アスタロトはニヤリと微笑み、千年竜と対峙するのを待った。

するとしばらくして千年竜は揺らめきながらもその姿がなんとか見える状態から、容易に目に見える通常の半透明な身体に戻ってアスタロトを見上げた。

「ようやくお出ましか。それにしても千年竜ともあろうものが、我々に恐れをなしてまさか隠れるとは思わなかったよ?」

だが千年竜は静かに上を見上げるだけで、特に言葉を発するでもなく身じろぎもしなかった。

アスタロトは目を細め、静かに千年竜と相対した。

だがここで、アスタロトはあることを思い出した。

「そうだ。イリスに教えてやらねばな」

すると、そこで初めて千年竜が口を開いた。

「その必要は無い」

アスタロトは嬉しそうに微笑んだ。

「へえ、口をきけるんだ?」

だが千年竜は、今度は答えなかった。

アスタロトは肩をすぼめた。

「答えてくれたっていいじゃない。だがまあいいか。イリスには君が連絡してくれたのかい?先程のドラゴンも言っていたが、君たちは離れていても連絡が取れるそうだね?でもそれは仲間内でのことだと思っていたよ。そうでないものにも語りかけることが出来るんだね?」

だが今度も千年竜は答えなかった。

すると、彼方から凄まじい勢いで迫り来る軌跡があった。

イリスである。

イリスは鬼の形相で迫り来たり、アスタロトの隣へと来たった。

だがイリスは鬼気迫る表情で千年竜を見下ろすだけで、何も言わなかった。

そのため、アスタロトは仕方ないといった表情を見せつつ言ったのだった。

「やあ、千年竜に呼ばれたのかい?」

だがそれでもイリスは無言であった。

アスタロトはやれやれといった顔をした。

「どちらが先に見つけるか賭けをしていたわけじゃなし、まあいいじゃないか。念願の千年竜だ。話しかけてみたらどうだい?」

アスタロトが改めて水を向けると、イリスはようやくと口を開くのであった。