Reincarnation Monarch

Chapter one thousand seven hundred and ninety, personnel.

「……何で俺も行かなきゃならないんだよ?……」

呆れ顔の案内係の男に、ガイウスがさも当然とばかりに言った。

「だって一人じゃ寂しいじゃないかよ」

案内係はさらに呆れた。

「そんなこと俺が知るかよ……一人で行けよ」

「いいじゃないか。付き合えよ」

「あのなあ……俺は今仕事中なんだよ」

「仕事?ここでただ座っているだけなのにか?」

「そうだよ。遺族が来れば遺体に案内したりするしな」

「ずいぶんと楽な仕事だな?」

「何とでも言え。とにかく俺はここから動けない。自分自身の死の真相が知りたければ、一人で探しに行けよ」

案内係の男に突き放されたガイウスは、腕を組んで考え込んだ。

「う~ん……ただなあ、ここが何処だかもわからないしなあ……」

「だからここは警察署だって言ったろ?」

「それはさっき聞いた。ただ、何処の警察署かわからないし」

「そんなの上に行って聞いてみろよ。地図くらい見せてくれるだろ」

すると再びガイウスが腕組みをした。

「でもさあ、突然死んだはずの俺が現れたら、みんな驚くんじゃないか?」

「……それはまあ、驚くだろうな」

「だろ?だからさ、お前も一緒に来てくれよ。んで、お前が説明してくれよ」

「俺が?……説明って言われてもな……」

「いいだろう?そのくらい」

「いや、しかし……ここを離れるわけには……」

「ちょっとくらいいいだろう?ちょっと上に一緒に行って、誰か詳しい奴を紹介してくれるだけでいいからさ」

「詳しい奴って、何に対してだよ……」

ガイウスは右手で顎をさすりながら言った。

「ん~、俺の死の真相について詳しそうな奴かな?」

「いやだから、それはわかっていないってさっき言ったろ?」

「だとしてもさ、もっと詳しく知っている奴がいるかもしれないだろ?」

今度は案内係の男が腕を組んで考え込んだ。

「……まあ、担当した奴はいるかな?……」

「だろ?そいつに案内してくれよ。お前、案内係だろ?」

「いや、そういう案内はしてないって」

ガイウスは肩をすぼめた。

「まあいいじゃないか。俺の事件の担当者を探してくれよ。で、そいつに紹介してくれりゃいいからさ」

案内係の男は大きなため息を一つ吐いた。

「……わかったよ。じゃあ上に行くか……」

するとガイウスが、右手を挙げて男を制した。

「ちょっと待った」

「何だよ?」

するとガイウスがにやりと微笑んだ。

「なあに、まだお前の名前を聞いてなかったと思ってな?」