Reincarnation Monarch

Episode One Thousand Eight Hundred Ninety-Three: Do-s Nature

「……マジで殺されるかと思った……」

ガイウスは、ドーブから差し出された水を一気に飲み干すと、再び物騒なことをのたまわった。

ドーブは苦笑した。

「……そんなことはない。もっともデルキア様はずいぶんと楽しんでおられたようだがな」

ドーブはそう言って笑った。

ガイウスはようやく一息ついたのか、少し元気が出てきた。

「冗談じゃない。本当に殺されるかと思ったんだぞ」

「……まあそう言うな。あれでデルキア様は喜んでおられるのだ」

ガイウスは口をへの字に曲げた。

「ただのドSじゃないか……」

ドーブはまたも苦笑した。

「……そうではない……いや、そういう部分もあるにはあるが……」

ガイウスはさらに口の端をひん曲げて抗議の声を上げた。

「いや、どう考えてもほぼ百パーセントドS趣味だって。見たろ?あの嬉しそうな顔。俺が呻き声を上げらたびに身体をゾクゾクっと震わせながら笑っていたぜ」

これにはドーブも引き下がるを得なかった。

「……まあ確かにな……」

「だろ?どう考えたってあれは本性だぜ」

「……いや、全てがそうというわけでもないんだがな……」

「何度もいうけど、ほぼ百だよ。ほぼ百」

ガイウスは自信満々に言い切った。

だがドーブはそこで、わずかに口角を上げた。

「……ほぼ、ということは、ほんのわずかではあるが、まだ余地があるということだな?」

するとガイウスが片眉をピンと跳ね上げ、睨めつけるような視線を、ドーブに対して送りつけた。

「……別にそういうわけじゃないさ」

するとドーブが、肩を上下に震わせるようにして笑った。

「……そんなわけはなかろう。本当はお前もわかっているのだろう?デルキア様が大層喜ばれていることを」

するとガイウスが少しだけ観念したような表情を見せた。

「……まあ、多少はね。でもさあ、しつこいようだけど、ほとんどはドSの本性が出ているんだと思うぜ」

ガイウス はそう言うと肩をすぼめた。

ドーブは苦笑した。

「……ああ、そうかもしれぬな」

「だろ?だって嬉しいにしてはキツ過ぎなんだよ」

「……それだけ嬉しがっているということだ。デルキア様のお気持ちを汲んでやってくれ」

ドーブはそう言うと、ガイウスに向けて暖かな笑みを送って寄越すのであった。