Reincarnation Monarch
Episode One Thousand Nine Hundred and Forty-Four More Times
だがその時ガイウスが突然、何故かはたと首をひねった。
そして何事かを真剣な表情でもって考えはじめた。
サタンはその様子を、無言でただジッと見つめ続けた。
するとガイウスが、今度は首を反対方向へと向けた。
ガイウスはその後も何度か交互に首を横に倒し続けた後、おもむろに口を開いたのであった。
「……なんか、増えているっぽいんですけど……」
サタンはそれを予想していたのか、さして驚くこともなく言ったのだった。
「どれくらい増えたのだ?」
ガイウスはまたも考え込み、しばらくしてから口を開いた。
「……えーと、さらに倍ってところかな?」
「倍か。つまり目標地点のさらに奥に、まだあったということだな?」
ガイウスはうなずいた。
サタンは眉根を寄せた。
「やはりそうか」
ガイウスはサタンの言葉に驚きを見せた。
「わかってたのか?」
「ある程度はな」
「そうなのか。しかしそうだとすると、一体いくつくらいあるんだろうか?」
サタンは大きくかぶりを振った。
「それはわからぬ」
サタンはそう言うと、あらためてガイウスの目を見て問いかけたのだった。
「何故我が、他にもっとあるであろうと予想していたかわかるか?」
ガイウスは大きく肩をすぼめた。
「さあ、そんなのわからないよ」
するとサタンが少し笑った。
「そうか、わからないか」
「ああ、わからない。それで、なんで予想できたの?」
サタンは、ガイウスの顔を真正面から見据えた。
「お前の中が、途轍もなく広大だからだ」
ガイウスは、一瞬意味がわからなかった。
そのためガイウスは、すかさず鸚鵡返しに問いかけたのだった。
「俺の中が広大?そうなの?」
サタンは口角を上げた。
「うむ。それも途轍もなくな。ここの広大さは、我がこれまで見てきたものとは比較にならんほどだ」
「……みんな、もっと小さいの?」
「ああ。数時間もあれば全体像が把握できる程度だ」
「……サタンの中も?」
「うむ。我の中は、これまでに見た全ての者よりも大きかった。だがそれでも、こことは到底比較できないレベルだ」
ガイウスは驚きを隠せず、ささやくような小声で呟くのであった。
「……そうなのか……なら青い滝の数が多いのは、ここが大きいからなんだろうか……」