Reincarnation Monarch
Episode One Thousand Nine Hundred and Ninety: The Name of the Enemy
「ほう、鎧武者とな。やはりタイプが違うようだな」
サタンが興味深そうに問うた。
ガイウスは大きくうなずいた。
「ああ、全部バラバラだ。だけど、何となくでしかないけど、同じ敵の匂いがするんだ」
するとサタンが、自らの顎をさすりはじめた。
「同じ敵の匂いか……なるほどな。だが果たしてそれは、敵の本体かな?」
サタンの問いの意味がわからず、ガイウスは首をひねった。
「うん?どういうこと?」
サタンはゆっくりと改めて問いを言い直した。
「敵が同一だとしよう。だが現れてくる敵は、いつも姿を変えて出てくる。ならばそれ自体は敵の本体ではなく、敵の部下、ないしは敵の分身か何かではないのかな?」
サタンの問いかけを受け、ガイウスが腕組みをしてじっくりと考え始めた。
「なるほどね。そういうことか……あり得るな。うん、確かにそれはあり得るよ」
「ふむ、ならばさらに問う。その敵とは何者だと、お前は考えておる?」
すると間髪を入れずにガイウスが答えた。
「ルキフェルだ。奴に決まっているよ」
すると今度はサタンが腕組みをして考え込んだ。
「……果たしてそうかな?」
何やらいわくありげに言うサタンに、ガイウスは眉をしかめた。
「なんか心当たりがありそうな物言いだけど?」
確信めいたガイウスの言い方に、サタンが笑みをこぼした。
「そうだな。心当たりは……ある」
ガイウスは間髪を入れずに問いかけた。
「誰?」
サタンは威儀を正し、ガイウスを真正面から見据えた。
そして低く厳かな声音でもって言ったのであった。
「我を造りし者だ」
ガイウスは目を見張って驚いた。
そしてそれは、この場にいる全ての者も同様であった。
その中でガイウスは、これまでのことを思い起こし、訥々と言葉を紡ぐのであった。
「……そういうことか……だけど、何で俺なんだ?何で俺なんかを標的にするんだ?理由は何なんだ?」
するとサタンが大いに笑いあげた。
「暇つぶしだろうよ」
ガイウスは目を剥いて怒りをあらわにした。
「なんだそれは⁈暇つぶしだって?冗談じゃないぞ‼︎」
するとサタンが、ニヤニヤといやらしい笑みを口元に湛えながら言ったのだった。
「これは冗談ではない。あれは元々、そういう奴なのだよ」