Reincarnation Monarch

Lesson 229: Protecting the King

「ほう、そのオーディーンとは、どれほどデカイのだ?」

デルキアが食い気味に問いかけた。

ガイウスは笑いながら答えた。

「そうだね、倍……もしかしたら、三倍くらいあるのかも……」

デルキアは驚きに、目を大きく丸くした。

「三倍だと?!それは本当か?!」

ガイウスは、少しだけ考えてから、改めて答えた。

「そうだね。たぶん三倍はあると思う。そもそもの都市の構造が違うからね」

「都市の構造?難しそうな話しだな。まあ良い。どう違うと言うのだ?」

「う〜ん。このアレキサンドリアは、境目がはっきりしているだろう?」

「境目?」

「そう。ほら、都市の外れが何処か、一目瞭然だろう?」

ガイウスは、アレキサンドリアの街外れを指差して言った。

デルキアはようやく意味を理解し、うなずいた。

「ああ、そういう事か。そうだな。はっきりしている。都市の外には何もないからな。まばらに一応家が建ってはいるが、それは明らかに都市の外だ」

「そう。つまり、ここからがアレキサンドリアという境界線がはっきりとあるんだ」

「ふむ、それで?」

デルキアが話しの先を促した。

ガイウスは笑顔でうなずき、先へ進んだ。

「対してオーディーンは、その境界線が曖昧なんだよ」

「ほう、何処までも続いていると言うのか?」

「そうだなあ、一応ここからここまでっていう区分はあるんだと思う。でも、そんな区分なんて、あってないようなもので、どんどんと家が建って、広がっていってる感じなんだ」

「ほう、さらにか」

「うん。それというのも、最初に言った都市構造がそもそも違うからなんだよ」

「ふむ、面白い。説明しろ」

ガイウスは大いに笑った。

「わかったよ。ええと……さっきも言った通り、アレキサンドリアは王都だ」

ガイウスが改まって言った。

デルキアは無言でうなずいた。

ガイウスは話しを続けた。

「その都市の基本は、王を守るということなんだ」

デルキアは斜め上を見て、しばらく考えた。

「……当然ではないか。王がいるのならば、王を守るように都市を造るのは」

ガイウスはうなずいた。

「そうだね。デルキアの言う通り、当然だ」

デルキアは無言でうなずいた。

ガイウスは問いかけがないことを確認すると、話しを続けた。

「だけどオーディーンは違うんだ。あそこには王はいない」

「では誰がいる?」

「教皇さ。教皇がいるんだ」

「教皇とはなんだ?」

デルキアの問いに、ガイウスが勿体つけるように間をとって言った。

「ローエングリンの国教、ゼクス教の最高位者さ」