Self-proclaimed! An Ordinary Demonic Hero’s life ~ The Result of Creating a Cheat Dungeon Despite Being a B-class Demon
Episode 13: A little sympathy and a little event
俺達が遊び始めて十数分後に、超特進クラスの皆はやって来た。
プールサイドの砂浜でバレーをやったり、泳ぎが得意だというコーディと競泳勝負をしたりと、半日ガッツリ遊んだあと、俺は一人、更衣室にいた。
「ふう……これがプールでの遊び、か……。結構疲労はあるが、楽しいもんだなあ……」
それはもう、クラスメイトが疲れ果ててギブアップするまで遊びつくした。
暑い季節であるからか、この半日は非常に満足感あるリフレッシュになった。
そんな事を思いながら、タオルで水滴と汗を拭いていると、
「あっ!」
更衣室の扉が開いて、そんな声が聞こえた。
見れば、タオルを全身に巻いたミスラが更衣室に入ってきていた。
「おお、ミスラか。お疲れ」
「う、うん。お疲れ様。まだ、着替えていたんだね、クロノ君」
「こういう機会が初めてで、楽しくてな。結果的に最後までプールに残っちまってたんだよ。というか、そういうミスラも、今から着替えか? シャワーを浴びてきたばかりっぽいが」
俺の問いかけにコクコクと、ミスラは頷く。
……確か、ミスラは身体を見られるのは得意では無かったんだよな。
だったら俺はさっさと着替えて、更衣室を出て行こうと思いつつ、水着を脱いでタオルで水気を取っていく。
「ひゃあっ!? ご、豪快に脱ぐね」
「え? いや、さっさと着替えようと思ってな。ミスラは着替えの時は一人の方がいいんだろ」
「あ、ああ、うん。そうだね。お気遣いありがとう、クロノ君」
「気にするなって。種族ごとに色々あるんだから。……そういえば、遊んでいる最中、他の皆とあんまり話さなかったけれど、なんか不調でもあったのか?」
服を着ながら、俺はミスラに聞いてみた。
先ほど遊んでいる時に気になったのだ。
ミスラはプールから微妙に離れた所で、俺達を見ているだけだった。
というか、あまりクラスメイトとも話そうともしていなかった。
体調不良で遊びには乗り気ではないのかなあ、と気になったので尋ねてみたのだが、
「あ、いや、そうじゃないだ。ただ……なんだか、話しづらくて……さ」
「話しづらい?」
「うん。ボクら天竜と話そうとすると、クラスメイトの皆は少し緊張しているみたいでさ。何だか、その状態で無理に話しかけるのは申し訳ないかなって思っちゃって……」
「緊張、ねえ。そういえば、コーディは、ミスラやアリアが中々人里に降りてこないから、見れる機会すら貴重で、ドキドキするとか何とか言っていたな」
「ああ、やっぱり、そうなんだね……。ボクとの会話程度で、そんなに心を動かさなくてもいいんだけどねえ……」
ミスラは苦笑しながら言う。
そういえば、ミスラは割と気遣いと遠慮をするタイプだった。
だからこそ、他人に話しかけづらい、などという考えに至るのだろう。
……微妙に俺に似ている気がしてきたなあ。
俺も、少し前までは何を話題にしていいか分からないから、他人に上手く話しかけられない、などと言う事が起きていたし。
今では多少は話せるけれども、得意とは言えない方である。
だからか、妙な親近感がある。
……田舎育ちの俺に似ているだなんて、ミスラに対して失礼かもしれないがな
などと思いながら俺は服を着終える。
「そうだなあ。でもまあ、あいつらも結構メンタルが強いから、その辺りは気にする必要はないと思うぞ」
「う、うん。そう思う事にして、ちょっと頑張ってみるよ」
「そうするといい。じゃ、俺はこの辺で出るわ」
そう言って俺はミスラの隣を抜けて更衣室を出て行こうとした。それに対してミスラも振り返り、
「あ、うん。本当に、気遣ってくれてありがと――!?」
礼を言いながら、姿勢を変えたのが悪かったのか。ミスラは、その全身を覆っていたタオルの裾を踏んづけて、前につんのめる。
「わ、わあ!」
このままでは、ロッカーに頭が激突する。それよりかは俺が受け止めた方が痛みは少ないだろう。そう思って、
「っと、あぶね」
俺はミスラの背中を抱くようにして受け止めた。
「あ、ありがとう、クロノ君」
「気にするな。一応ここらは滑りやすいしな――って、あ」
言いながら気づいてしまった。
ミスラがタオルを踏んづけた事で、彼の身体を覆っていた布が全て剥がれている事に。
「え……あ……ああ……ッ!」
そして、ミスラが慌てるようにして。
その胸にある小さいながらも、明らかに二つの膨らみを押さえ始めた事に。