レオさんに合わせて深呼吸すること数回、徐々に赤く染まっていくレオさんの頬に見惚れていたら、不意にレオさんが私に目線を合わせてきた。

どうしよう、絶対に私も真っ赤な自信がある。

「クリスちゃん」

「は、はい」

「テールズで働く君を見ていたときから、ずっと好きだった。どうか俺と、結婚を前提にお付き合いしてください!」

「は、え、あ……」

自分でもよくわからない声だけが漏れ出る。混乱で頭がショートしそうだった。

「あ、あの……」

いま、レオさん、好きって。

やっと脳みそが言葉を理解しはじめたら、急激に恥ずかしさが襲ってきた。顔を隠してしまいたいのに、レオさんの真剣な瞳から目が離せない。

お付き合いって、言った……? 

結婚を、前提に?

「は、はい……!」

気がついたら答えていた。

ああもう、心臓が爆発しそう。こういう言葉を聞くのって、こんなに心臓に悪いものだったのね。

「本当に? 条件反射で答えてないよね?」

そんなわけ、あるはずがない。

レオさんは知らないんだわ。レオさんが忙しくて会えない間、私がどんなに寂しくて、不安で、心配で、切なかったか。

こうして傍にいるだけで、嬉しくて、癒されて、幸せで……どんなにドキドキしているか。

こんなにたくさんの気持ちをいっぺんにくれる人なんて、レオさんだけなんだもの。

心のなかではたくさんの言葉が溢れているのに、レオさんの真剣な顔を見ると胸がいっぱいになってしまって、言葉がなかなか出てこない。

「わ、私も、レオさんが、す、好きです……」

息も絶え絶えに口にすると、レオさんはなにかわからない叫び声を上げて全力でジャンプした。

着地と同時に今度は思いっきり抱き締められる。

レオさんがあまりにも幸せそうで、私も恥ずかしさを通り越して、なんだか楽しくなってきてしまった。

そう、レオさんといるといつだってこうして、楽しい、幸せな気持ちになれるんだわ。

……誰ひとり信じられなくて、なんにも興味が持てなかった私はもういない。

大切な夢を、大切な人を、ようやく持つことができたのだから。