Shinario-dōri ni Taijō Shita no ni, Imasara Nan no Goyōdesu ka?
Again, you're depressed.
それ、ついさっきコーティ様にも言われました。……でも、そう言ってしまうと、またレオさんの気分を害するんじゃないかと思うと、口には出せなかった。
こうやって、言えないこととか、増えていってしまうんだろうか。そう考えるととてつもなくさびしい。
そもそも私にとって、相対する人の感情や悪意の有無を見分けるのは至難の業だ。
市井にでるまでは誰の好意も信じていなかったし悪意すらどうでも良かった。でも、女将さんたち町の人達に親切にして貰えて……家族たちの優しさが本物だと分かって、私の世界は一変したから。
もう、疑いや自分の思い込みだけで、誰かを疑いたくはない。
たくさんもらった親切を、誰かに返していきたいのに。加減が分からないからだろうか、今は私のそんな態度が周りを不安にさせるんだと思うと、どうしていいのか分からなくなってしまう。
レオさんとだってせっかく久しぶりに会えたんだもの、もっと楽しいお話をいっぱいしたいのに。
レオさんの遠征先のお話なんかもたっぷり聞きたいのに。
考えているうちに、なんだかもりもりと涙が込み上げてきた。
「ごめん! ごめん、クリスちゃん!」
レオ様が必死で謝ってくれるけれど、いったん溢れてしまった涙はなかなか止まってくれない。
「ちが……私、レオさんともっと……いろいろ、話したい、のに」
困らせたくなくて、泣き止みたいのに堪えようと思えば思うほど、涙がぽろぽろと零れてくる。
ついに「ひっく」としゃくりあげるに至って、レオさんは困り切った声をあげる。
「あああ~~~泣かせるつもりじゃなかったんだ、ホントごめん!」
頭上でおたおたとレオさんが逡巡しているっぽいのが分かるのに、顔も上げられない。
そのうちレオさんは、ぎゅうっと私を抱きしめて、「ホントごめん……」と呟いた。
「ご、ごめ、ん、なさい……」
困らせているのが悲しくて、なんとか声をだすけれど、蚊の鳴くような小さな声しかでなかった。
***
「これまた、落ち込んでいますねぇ」
「クリスティアーヌ様、何かありました?」
「うう、そんなに私、分かりやすいですか……?」
教室でのお昼休み、ざわつく食堂でお食事を一緒にとっていたカーラさんとエマさんに、そう心配されて自分が情けなくなる。
二人には全然隠しごとが出来ない。気がかりなことがあると、いつだってこうして見破られて、聞き出されてしまうのだもの。
「笑顔に覇気がないです」
「ため息がいつになく多いもの。それで? 何があったんです?」
「実は」
仕方なく、立て続けに警戒心が足りない、人を見る目を養うようにと忠告を受けたけれど、どうしたらよいかさっぱりわからないことを、正直に白状する。