「サーシャ、入りますよ」

そんな声が聞こえてきて俺の意識は浮上する。まだ体はダルいがサーシャの温かなぬくもりを意識すると自然と状況を把握できた。そうだ、俺はサーシャの膝枕で仮眠をとってたんだ。時間は何時だ?

「あらあら?お邪魔だったかしら?」

「お、お義母様・・・あのこれは・・・」

「いいのよ、わかってるわ。それにしても・・・夫婦仲が円満で嬉しいわ」

「は、はい・・・」

恥ずかしそうな様子のサーシャに微笑ましそうな母上の姿が見なくてもわかった。すぐに起きるべきか悩んだがこの感触を手放すのはもったいない気がして聞き耳を立てつつこの感触をもうしばらく味わうことにした。

「それにしても、カリスったらこんなところで寝るなんて」

「ち、違うんです、お義母様!これは私が・・・」

「あら?サーシャから誘ったの?大胆ね」

「あ・・・」

しまったという顔をしているのがよくわかる。その顔を愛でたい気持ちになるがその前に母上は笑いながら言った。

「いいのよ、私もよくあの人によくするもの。もっとも、サーシャから誘うとは思わなかったけどね。カリスのことだからここ最近我慢してた分そろそろ限界がきて襲うかも、とか思ったけどね」

「我慢ですか?」

「夜の営み、だいぶしてないんじゃない?」

「ふぇ・・・!?」

母上・・・俺の思考を読むのは構わないけど、サーシャに伝えるのはやめて!確かにそっちの限界も近いけど俺はまだ耐えられるから!

「今のカリスのことだからサーシャの体が治るまでは軽いスキンシップ程度でしょうけど・・・きっと回復したら凄いことになるわね」

「す、凄いこと・・・」

「ふふ、次の孫の顔がこんなに早く見れるなんてお祖母ちゃん嬉しいわ♪」

「はぅ・・・」

うん、母上一旦黙ろうか。人を野獣みたいな扱いして・・・いや、まあ、確かにここ一年分くらいをまとめて出しそうで怖いけど、ちゃんと手加減するから。それにサーシャが望まないならその手の行為を我慢することだってできるから。俺が一番大事にしたいのはサーシャの気持ちだから。

「さて・・・孫を愛でる前に、そろそろ起きたらどう?カリス」

そんな俺の気持ちを読んだように母上がそう俺に声をかけてくる。俺はそれに仕方なくむくりと起きるとまず目の前のサーシャに笑顔で言った。

「おはよう、サーシャ。気持ちよかったよ」

「だ、旦那様!?いつから起きて・・・」

「多分、私が部屋に来た時には起きてたんじゃないかしら?」

「母上、よくわかりましたね」

俺の寝たふりは完璧だったはずだが。

「そんなの分かるわよ。あなた騎士団にいた影響で人の気配には敏感でしょ?ましてやサーシャの前で他の人間の気配に気付かないわけがないじゃない」

「流石、母上。よくご存知で」

「当たり前でしょ。何十年あなたの母親をやってると思うの?もっとも私が一番よく知るのはあの人だけだけどね」

「はは、奇遇ですな。私も一番良く知ってるのは妻と娘ですよ。それと・・・」

俺は隣のベットのミントとバジルをそっと撫でてからなるべく優しいトーンで言った。

「これからはこの子達の一番の理解者であり、先導者であるつもりです」

「あら、わかってるじゃない」

「旦那様・・・」

そんな会話聞いていたわけではないだろうが、ミントとバジルはすやすやと安らかに眠っていた。願わくはこの子達が健やかに育て幸せになるように俺が頑張ろうと思う。