Since I’ve Reincarnated as the Villainess’ Father, I’ll Shower My Wife and Daughter in Love
130 An act before departure
「メフィ!」
「きゃっ・・・ナナミ久しぶり」
馬車に乗る前にセリュー様とメフィが姿を現すと侍女のナナミがメフィに抱きつく。その行動に少しだけ俺は呆れてしまうが、まあ幸い人目も多くないのでそこまで怒ることはしない。
「ナナミ、嬉しいのはわかったけど、一応殿下の前だってことは忘れないでね」
「あ・・・も、申し訳ありません」
「気にしなくていいですよ。お友達なんですよね?」
「は、はい!そうです」
ガチガチに緊張するナナミにメフィは微笑んで言った。
「大丈夫ですよナナミ。セリュー様はとてもお優しい方ですから」
「そ、そうなの?」
「ええ、とても素敵な方です」
うっとりとそう言うメフィにナナミは何かを察したように聞いてきた。
「あの・・・もしかして、カリス様はこれがわかっていてメフィを殿下の元に送ったのですか?」
「まあね」
「そ、そうですか・・・凄いですね」
そうやって驚くナナミを置いておいてセリュー様が少しだけ申し訳なさそうに言った。
「すみませんフォール公爵。このようなことに巻き込んでしまって」
「お気になさらず。すぐに終わらせて帰ればいいだけですから」
「そう言っていただけると助かります。ここで味方を増やさないと僕も理想には届かないので」
メフィとの結婚。それは予想よりも難しいものだ。現状国を大きく変えなくてはそれは叶わない。古いことに固執した懐古主義の人間を一掃して国の在り方を替える必要があるのだ。そのための足掛かりに他国の支援を得るのは妥当だが。
「セリュー様。きちんと見極めてください。相手のことを」
「はい。きちんとこちらの味方になれる方を見つけます」
「ならば多くは言いません。貴方のしたいようにすればいい」
そして願わくば早く帰れることを祈る。早く帰って家族とのんびり過ごしたいのだ。それに可愛い盛りの子供に何日も会えないのも、サーシャの側にいられないのも嫌すぎる。厄介事は早く終わらせるに限るよ。
「カリス様。ところで本当に付き添いは私だけで良かったのですか?他の侍女や護衛は・・・」
「必要ないさ。基本的に私一人ならね。それに私にさく人員よりもサーシャやローリエの方に人手が多い方がいい。何しろ私の留守をきちんと守ってもらわなければならないからね」
「そういうものなんですか」
新米のナナミにはわからないのかそう納得するので、まあ、これでいいだろう。ナナミにはあまり仕事をあげられそうにないが、まあセリュー様やメフィと共にいて貰うのが一番かな。どのみち俺は俺でやることがあるしね。そんな感じで出発するのだった。