夕食を終えた後は、魔法の訓練の時間である。

近衛悠斗

固有能力: 能力略奪 隷属契約 魔眼 透過 警鐘 成長促進

魔法  : 火魔法 LV3(22/30)

水魔法 LV5(48/50)

風魔法 LV3(20/30)

聖魔法 LV2(5/20)

呪魔法 LV3(5/30)

特性  : 火耐性 LV3(4/30)

水耐性 LV3(0/30)

風耐性 LV4(6/40)

上がったステータスから逆算をすると、ワイルドベアーから取得できる能力は、火耐性プラス3であるらしい。

一気に3ポイント上がるのは良いのだが、まとまった数を討伐することが困難なワイルドベアーはスキルのレベルを上げる相手には向かないだろう、

次に、スケルトンを倒したことによって、呪魔法のレベルが3に上がっていた。

呪魔法 LV3

使用可能魔法 ルード ラクト 

ルード

(対象の性的感度を上昇させる魔法)

ラクト

(対象の重量を下げる魔法)

呪魔法のレベルが上がったことにより新規に魔法が追加されていた。

(……これはまた、面白そうな魔法を覚えたな)

以前に取得したルードの魔法といい呪魔法には、悠斗の好奇心をくすぐるものが多いようだった。

今回の魔法も色々と応用が利きそうである。

(そうだな。まずは試しにあそこにある岩に使ってみるか)

おそらく前の家主が観賞用に購入したのだろう。

悠斗は庭に飾られた重量300キロは超えるであろう岩に対してラクトの魔法を使用する。

そして、おもむろに岩を持ち上げてみた。

(これは凄い!? まるで発泡スチロールでも持っているみたいだ!)

ラクトの魔法の効果は、期待以上のものであった。

これほどの効果があれば、自力では動かすことの出来ない障害物を撤去するタイミングなどで役に立ってくれるだろう。

更なる検証を行うために悠斗は、自分の体にラクトの魔法を使用する。

(……!? これはまた随分と妙な感覚だな……)

体から体重が抜けたことによりフラフラになり足元が覚束ない。

まるで体がペラペラの紙にでもなったかのような感覚であった。

強風に吹かれれば、踏ん張りが利かずに今にでも空高くに飛んでいってしまいそうである。

(……待てよ。この状態で風魔法を使えば、自由に空を飛ぶことが出来るんじゃないか?)

スキルレベルと体内の魔力量を上げた成果だろう。

魔法を覚えたての頃は、扇風機程度の威力しか出すことの出来なかったウィンドの魔法であるが、今では人間1人をのけぞらせるほどの強風を出すことができる。

悠斗は全身の力を抜くと、自ら生み出した風に体を預けるようなイメージでウィンドの魔法を使用する。

すると、その直後。

悠斗の体は狙い通りに宙に浮かび、風の吹く方向に飛ばされる。

夢のような魔法の開発の糸口を掴んだ悠斗は、胸の内より湧き出す喜びを押さえることができなかった。

《飛行魔法》。

悠斗は呪属性と風属性の魔法を織り交ぜたこの魔法をそう名付けることにした。

だがしかし。

今の段階では『体を宙に浮かすことに成功した』というだけで、《飛行魔法》と呼ぶには烏滸がましい部分がある。

自由に空を飛んでいるというよりも、現状では風に吹き飛ばされているだけという感じであった。

今後は優先的に《飛行魔法》の精度を上げて行くことにしよう。

検証作業に確かな手応えを感じた悠斗は、新たに開発した《飛行魔法》の訓練を始めるのであった。