「はぁ……はぁ……はぁ……何で変態はこんなにしつこいんだ…。おい、ゼラフィティス大丈夫か?」

「あぁ、ワイシェットブローラムも死ぬなよ…ここはアイツが作った大事な国だ。おれたちの墓場にしたらアイツめちゃくちゃに怒るぞ…。」

「そうですよ…マギアルウスの墓なら形の良さそうな石を適当に選んで置いておけば良いかも知れませんが我々だと大々的な遺跡みたいな墓が作られるかもしれません。そしたら彼らを住むどころじゃなくなるじゃないですか。」

「コルホントス………縁起でもない事言ってねぇで動き続けろ、次が来るぜ。」

ボイロトゥスが矢をつがえながら檄を飛ばす。エントグランが周りを魔法をくらいながらも撹乱するもそれを振り切り突進してくるマギアルウス。

「死ねぇっ!!」

「っ!断るっ!」

ギリギリで回避に成功したコルホントスはすれ違い様に尻へとレイピアを突き込む。別に尻でなくても良いのだが、もはや意地となって尻へと攻撃を集めているのだ。

「くおっ!!?また尻をっ!何を考えて……。」

その反応に反応して攻撃を繰り返しているのに気付かないマギアルウスだが、お馬鹿はお馬鹿なりに少しずつ男神たちの動きを読みつつあり攻撃が届きつつある。

「くっ…おれたちが捕まるのが早いか、ヤツがくたばるのが先か…いよいよだな。」

遠くではランスロットやヤザたちもフル装備で待機しているがシルファヌスに止められて戦いには参加出来ない。明らかに実力不足ではあるが彼らもいざとなったら神の盾にでもなって死んでやると静かに闘志を燃やしている。

暫くは均衡した戦いが続いていたのだが、僅かな隙が出来た瞬間に偶然も重なって男神たちは同じ方向に固まって追い詰められていた。

「くっ………ここまでかっ。」

きっと全滅する事はないだろうが誰かが次の一撃で捕まってしまうと悟り、何とか突破しようとするが今までより強い魔法の雷の牽制で抜けていく隙間がなかなか開かない。

「くくくっ、そのまま我が雷に焼かれるか、それもと我に直接押し潰されるか自由に選ぶが良い!」

地面を抉るように土を蹴り上げながら迫る巨体……逃げようにも強力な雷が荒れ狂い逃げ場が無い。

「くりゃあぁぁぁぁっ!食らっ、ぶきゅらぶはっ!!」

勢いよく突進する身体の側面にアダマンタイトの砲弾が当たり吹き飛んでしまうマギアルウスを呆然と見る男神たち…もう駄目か?と内心ヒヤヒヤして歯をくいしばっていたのに地に倒れているのはマギアルウス。

「マサルかっ!!…………あっ。」

ゼラフィティスが砲弾が飛んできた方を振り返ると金色のオーラを揺らめかせるビクティニアスとアイラセフィラ……2柱の手には片手剣が握られており、その後方には胸の前で手を組まれたまま眠るマサルの姿。ビクティニアスとアイラセフィラの頬は涙に濡れており、僅かに剣を握る手も震えている。

「ビクティニアス!アイラセフィラ!無謀だ!おれたちが戦る!引けっ!!」

ゼラフィティスは必死に叫ぶがビクティニアスとアイラセフィラはゆっくり前に前にと進み出し、歩を重ねるごとに速度はのってマギアルウスに迫っていくのだった。

「調子にのるなぁぁぁあぁぁぁっ!!」

口から血を撒き散らしながらマギアルウスの叫ぶと同時に辺りは特大の雷に包まれビクティニアスとアイラセフィラはその中に呑み込まれていった。