「シーニャちゃん!隠れて!変なのがいる!」

「おい、ジータ………どさくさに紛れて何シーニャちゃんの肩抱いてるんだよ!」

シーニャと共に顔を赤くするジータに、いらない事言ったなと嫌な顔をするジータの同期の男の子たち。

「おい、来たぞ!シーニャちゃんは早く行って!」

慌ててシーニャを隠した所に盗賊たちが気付かれない様に慎重に腰を屈めてホームセンターに入ってきた。

「良いから入って来なよ?………って言ってもまだ開店してないんだよね。」

待ち構えていたのはジータのみで、他の男の子たちは他の出口から外を回ってこっそりと全ての扉を閉めに行っている。

「なっ!?なんだ………ガキじゃねぇか。びっくりさせるなよ………。」

「おじさんたちより心は大人の自信あるのに傷付くなぁ………。」

「なんだと!」

ジータのおちょくる台詞に盗賊たちは腰に差した剣を次々抜いていく。

「そんなナマクラな剣で何する気だよ?」

「ナマクラだと?何を根拠に……っ!!」

「これアダマンタイト製の槍なんだけど人数そっちは…………えっと………23人?意外といるな………多いんだからハンデにこれ使って良いよね?」

「ガキが粋がるなよ……お前らは手を出すな。オレがやる。」

1人の盗賊が剣を片手に進み出る。

「元バゼラールカ守護兵団3席クラム・フラウラー参る!」

「なっ………ガチな人じゃん………ジータ。だたのジータだよ………宜しく。」

「いざっ…」

「尋常に…」

「「勝負!」」

同等のスピードで前へと出て渾身の一撃を奮うクラムとジータ。クラムの鋼の剣とジータの短槍が交差する………音も無くクラムの持つ剣の刃は切り落とされて落ちる。

「ちっ!!」

ギリギリで回避したクラムは柄だけになった剣を投げ捨て距離をとる。

「なんだあの槍は………うっ!」

ジータと目が合った瞬間、クラムは息をのみ動けなくなる。

「(あのガキはヤバい………あの目は昔会ったグレイタスのあの化け物ランスロットと同等のものだ。)」

「なんだい?おじさんたち逃げるの?何処に?」

「なっ!?扉が全部閉まってる!!」

ジータが1歩踏み出すごとに盗賊たちが1歩ずつ下がっていく。

「ねぇ、ジータ?そろそろボクたちも参加していいかな?」

真後ろからする声に心臓が飛び出る思いで振り返る盗賊たち。

「ボクたちも同じ槍だけど気にしないでね?」

「この街のガキ共は化け物か!?」

ジータに感じたのと同等の闘気にクラムは完全に戦意を喪失し、手を上げて膝をつく。

「オレは降りるぜ………こいつら全員相手にするくらいの馬鹿なら、あの日王都と一緒に死んでたさ………。」

クラムが投降した事で全員が抵抗する事なく床に膝をつく………。

「おじさんたち助かるよ………出来れば人なんか殺したくないから…………っ!!」

ジータが1人ずつに手枷をはめていると1人の男がナイフ片手にジータに突進してくる。

「てめぇだけでも死ね!」

「ジータくんっ!!」

突進してきた盗賊が突如ジータの視界から瞬時に消えた。

「な………何だよそれ………。」

突っ込んできた盗賊の頭には棚を柱に固定する金具が命中してKOしていた。飛んで来た金具は棚の影に隠れていたシーニャが投げた物でくっきり顔の左半分に跡がのこっている。

「ジータくん大丈夫?」

「シーニャちゃん………ありがとう!助かったよ!」

「くそっ………なんでジータばっかり………お前のせいだ!えいっ!」

不意討ちをしようとした男の身体には余分に蹴った痕のアザが残ったが仕方ないのである。