The Marquis’ Eldest Son’s Lascivious Story
I got maid clothes, maid of honor.
「ウィルク様ぁ……好き。好きです……」
「俺も好きだよ」
頬にキスがされる。
俺もお返しにミニットのひたいに、ちゅっ、とキスをした。
ミニットがえへへと笑いながら俺の胸に甘えてきたので、そのまま抱きしめる。
バックからの膣内射精をした後、俺とミニットはベッドに倒れこみ、いちゃいちゃタイムを楽しんでいた。
ふたりとも服を脱ぎ散らかし、生まれたままの姿になって抱き合っている。
使用人の立場ということで、最初は戸惑っていたミニットであったが『さっき、好きって言ったよね』と迫ると顔を赤くしていちゃいちゃタイムに応じてくれるようになった。
始めだしたらむしろ積極的にいちゃラブしてくれるほどだ。
ついでに若様呼びも禁止して名前呼びにさせた。ベッドの中だけという約束で。
そんな「ふたりの約束」を結べたのが嬉しかったのか、ミニットはとてもご機嫌だった。
らぶえっち初体験の俺も大満足である。
「ウィルク様はいつもお優しくて……。……ずっと。ずっとお慕い申し上げておりました……」
「ずっと?」
今回、ミニットを陥落させるために甘い言葉を囁きまくったわけだが、普段の俺はこんな歯が浮くようなことは絶対に言わない。
むしろどちらかというと俺は使用人には気を使う方だ。
転生して数年はまだ侯爵嫡男の生活にも慣れていなかったので、むやみにかしこまる使用人たちに逆に申し訳ない気持ちになったものだ。
未だにその頃の気持ちが残っているのか、部屋を掃除している使用人がいたら掃除が終わるまで別のところに避難するという、なんだか現代日本の日曜日のお父さんみたいなことまでしている。
今回がまさにそれだ。
主である俺は、使用人の仕事なぞに気を使う必要など無いのに。
「はい。……ウィルク様は私のような下級の使用人に対しても、目を向けてくださります」
例えば父などは、下級使用人たちのことを「下級使用人」という道具として認識しているフシが感じられる。
下級使用人の細かい特徴など知らん、というのが態度にもろに出ているのだ。執事やメイド長クラスになってようやく個々の特徴を覚え始めるといったところだ。
これは別に悪いわけではない。むしろ侯爵家当主にヘンに覚えられるよりは、道具として見られたほうが下級使用人は気が楽だろう。
「そうかな」
目を向けるというより、気を使っているといったほうが表現は正しいような気がしたがさすがに言うわけにもいかないので、俺は言葉を濁した。
しかしミニットは言葉を続ける。
「本当に、嬉しかったのです……」
とろけるような表情から一変、ミニットは真顔になって涙をこぼす。
嗚咽をこぼしながらとうとうと語り始めたのは、数年前の出来事だった。
城下町でも評判の美人だったミニット。
実家の園芸店はニューネリー城に樹木や花を納品していることもあり、メイドとして就職したらどうかと両親に薦められる。
当時、それなりに自信のあったミニットは、ニューネリー城の門戸を叩き、見事に採用された。
専属なしの下級メイド。
それがミニットに与えられた最初の仕事だった。
ほどなく、メイド長に呼び出されたミニットはお叱りを受けた。言葉遣いが悪い、動きに品がない、気が利かない……。
ミニットはその都度、悪いと言われたところは努力して直していった。
だがひとつだけ、困ったことがあった。
それが服だった。
当時、クオルデンツェ家には制服がなかった。
メイド長に叱られないような服は値段が高い。さすがに毎日同じものを着るわけにもいかないから、何着も買う必要がある。
そうすると、棒給に含まれる服代では多少の足が出てしまう。
足が出て終わりならいいのだが、それで購入できる最低限のレベルの服を着ていると、先輩の使用人たちに嫌味を言われたり、悪口を言われてしまう。
じゃあ良い服を買えばいいじゃないかと思っても、使用人には使用人の流行があるらしく、そこから逸脱したデザインの服を着ると、裏で嘲笑のネタにされるのだ。
そしてミニットは、そのあたりの流行を読み取るセンスがなかった。
「そうして、私が泣いているところに手を差し伸べてくださったのが、ウィルク様でした」
……差し伸べたっけ?
「私や同僚のもとにウィルク様がやってきて、いまの制服を考えてくださったのです。まさかご子息様が私達のことを考えてくださるなんて、思いもよらなかったのです」
そういえば、制服を作ろうと思っていたときに適当に城をうろついて使用人にアンケートをとったような気がする。
その中にミニットがいたのか……。
とりあえず、覚えていたことにしよう。
「私達は服に関しての悩みが無くなりました。……ずっと、伝えたかったのです。私達、下級の使用人は、ウィルク様に救われたのだと」
そうして、仕事に専念したミニットは、家人の専属メイドになる道が開けた。俺かファニィのどちらかが選べたという。
制服の恩を返すため、ミニットは俺の専属メイドになることを決意したらしい。
「今日、ウィルク様に新しい制服を見せて頂いたとき、あの日のことを思い出し、とても懐かしい気持ちになりました」
かなりウキウキで試着していたらしい。
なるほど、そこで日頃の仕事っぷりを褒めて迫ったらイチコロだな。運が良かった。
「このような美しいドレスを着てウィルク様と、その、は、肌を重ねることになるなんて、本当に夢のようです……」
行為を思い出したのか、恥ずかしがるように目線がそらされる。
その姿が可愛くて、俺はもう一度、その頬にキスをした。
気がつけば、窓から差し込む光がオレンジ色に変わっていた。
どうやらあの後、ふたりとも眠ってしまったようだ。
夜が近づいているようで、ぼんやりと窓を眺めていると、みるみるオレンジ色が急速に失われ、夜の闇が迫っているのを感じた。
「ミニット。夕方……というか夜だぞ」
ゆさゆさと揺すると、ミニットがぼんやりと目を覚ました。
ついでにおっぱいを揉む。俺はおっぱい星人だったのかもしれない。
「え……? 夜?」
さーっと青ざめて窓を見つめるミニット。
きっと仕事を途中でほっぽりだしてセックスしていたことをメイド長に怒られることでも考えているのだろう。
だが、大丈夫。
メイド長には俺から事情を説明すればいいのだ。俺が良いといえば万事丸く収まる。
「仕事の心配をしているのか? 大丈夫だ、メイド長には俺から話をしておく」
「あ、あの……」
「どうした。ああ、腹具合からするともう夕食だな。できれば先に風呂に入りたいところだが」
のんきに風呂のことを考えている俺は、肝心なことを忘れていた。
「あの、ウィルク様……? このお部屋に、ファニィ姫様をお呼びになられるのでしょうか……?」
男と女のまぐわった、なんとも言えない臭いが立ち込める部屋。
ベッドぐしゃぐしゃに乱れ、ところどころに汁が飛び散っている。
夕食はもうすぐ。
「なんてこったい……」
俺はテッシュを呼び出すため、枕元のベルを鳴らした。