The Marquis’ Eldest Son’s Lascivious Story

I'll have a mellow maid_(Previous)

デートのメインディッシュはどこにあるか、それはベッドの上にある。

俺はミニットの手を引き、身体を引き寄せた。

「ウィル君……?」

以前クオルデンツェ軍の兵に聞いたのだが、城下町のそういう場所、連れ込み宿は衛生状態が良いとは言えないらしい。俺はノミが湧くような小汚い部屋で抱き合いたくはなかった。

もしかすると高級志向の連れ込み宿がどこかにあるのかもしれないが、残念ながら俺はそのあたりは特に調査していない。さすがにミニットに尋ねるのは情けないし、そもそも知らなそうな気がする。

そういうわけで別邸だ。少し距離はあるが、歩いていけないわけではない。ありがたくラブホ代わりに利用させてもらう。

朝、テッシュには別邸の風呂とベッドを準備しておくように伝えていた。

少しだけ言葉を溜めて、真剣な視線をミニットに向ける。

「……この後、良いか?」

察しの良いミニットは俺の言いたいことをすぐに理解し、艶かしい色に染めた視線をこちらに返した。

「うん……。私も、ウィル君ともう少し一緒にいたい……」

路地に人がいなかったらその場で服を脱ぎ始めかねないくらい、彼女の声は男をそそり立てるものであった。

別邸には風呂が3つもある。

男風呂、女風呂、そして露天風呂だ。ここは亡くなった伯父のヤリ部屋というかヤリ邸なので、風呂の数は多い。

俺が男風呂から出て寝室を目指して廊下を歩いていると、向こう側から小さな影が歩いてきた。

「あ……。ご、ご主人様。おかえりなさいませ」

無理矢理に笑顔を貼り付けたその影の正体は、イブだった。開発結社での仕事を終えて、自室のある別邸に帰ってきたところなのだろう。

すぐに深々と頭を下げ、俺がいなくなることを震えながら待つ彼女を見て、良いことを思いつく。

イブの礼に因縁をつけることはせず、そのまま廊下を進む。そして寝室の扉の前で待機していた使用人にひとつ指示を出した。

寝室に入り、ベッドに横たわる。ミニットは女風呂に入って女を磨いている最中なのでやることがない。

熱い湯でほてった顔を冷ますためにパタパタと手で顔を仰ぐ。秋も深まってきた時期だが、やはり風呂あがりは暑い。

「桶に水を入れて部屋に運ぶよう、今夜の黒衣に伝えてこい。伝えたらそのまま下がれ」

「かしこまりました」

寝室内で控えていた使用人に指示を出し、このあとのお楽しみの準備を整える始める。

青空市場で買ったバレッタを確認し、おっぱいちゃんの談話をメモした木板を暇つぶしに読むことにした。

しばらくしてから小さな物音がしたので振り返ると、ちゃぶ台のような丸いテーブルの上に水の入った桶が置かれていた。

桶の水を確認してベッドに腰掛けた瞬間に、扉をノックする音がした。

これは使用人の叩き方だ。下がれといったのに一体誰が何をしに来たのだろうか。

「誰だ? 入れ」

「失礼します」

扉が開くと、そこにいたのはミニットだった。彼女はメイドなので使用人のノックの仕方をするのも納得である。

少し冷たい言葉で入室を許可してしまったので、彼女は少し緊張しているようだった。

「待っていたよ。こっちにおいで」

「はい」

ベッドへと移動して腰掛ける。

照明魔法は打ち切ってしまったため、部屋には蝋燭による薄暗い灯りしか無い。ミニットは一歩一歩足元を確認するようにゆっくりと近づいてきた。

城に勤めるメイドは別邸には来ないため、彼女にとってこの寝室は初めて足を踏み入れる場所なのだ。

「若様をお待たせしてしまい、誠に申し訳ございません」

俺の横に立ったミニットが腰を折って謝罪を始めた。

なぜか知らないが、ミニットのスイッチが仕事モードになっている。

「まだデート中だぞ。どうしてメイドのミニットになってるんだ?」

「いえ、その、使用人の制服を着た方が多かったのでつい……。テッシュ様もいらっしゃいましたし……」

ついさっき別邸に入った時は裏口で待機していたテッシュに導かれたのだが、そのときのミニットの狼狽ぶりは見ていて面白かった。

彼女にとってテッシュは上司なのだ。女性平社員が社長と仲良くラブホテルに入ろうとしたら部長にお出迎えされた感じだろうか。

「うーむ、そういうものか。……無理に言葉を変えるのも大変だろう。ミニット、これからベッドでは好きに呼んでかまわないぞ。できれば親しげに話しかけてくれたほうが嬉しいが、おまえが喋りやすいのが一番だ」

「お心遣いいただき誠にありがとうございます」

ベッドを叩いて隣に座るように導く。

「はい……うん。座るね」

「よしよし」

スイッチを切り替えられたミニットの頭を撫でて褒める。目を細めてされるがままになる彼女の髪に指を通した。

くるんと癖のある栗色の髪はよく手入れされているのか、指の間をよく滑る。俺はつるつるした髪の毛を触るのが結構好きだった。

「そうだ。ミニットに渡すものがあるんだ。今日、市場で買ったものなんだけど」

ベッドの端に置いておいたバレッタをミニットの手に持たせた。

「わぁ、綺麗な亀細工……」

蝋燭の光源を求め、バレッタを持ったミニットの手がふらふらと宙を彷徨う。

赤色のべっこう風素材の細工がきらきらと輝いた。

「これ、マロアシュイナの花だよね? ……嬉しい」

こちらを見つめる瞳が涙に滲み蝋燭の色を映してきらめくその様は、まるで熱でとろけているようにも見える。

ミニットはバレッタにかたどられた細工の花を、慈しむように指で撫でた。

どうやら、アタリだったようだ。

「名前は知らなかったけど、ミニットの花だと思ったんだ」

市場でこの細工を見た時に、ミニットがよく花瓶に活けている良い香りがする赤い花に似ていると思ったのだ。その赤い花は彼女を最初に抱いた日も部屋に活けてあった。

せっかくプレゼントするのなら、何かしらお互いに関わるものにしたかったのだ。

「うぅ……」

ミニットがぽろぽろとビー玉のような涙をこぼして肩を震わせた。

感極まってしまったようで、バレッタを胸の前で抱えたまま彼女は顔を伏せた。

「喜んでくれて、俺も嬉しいよ」

「うぅぅぅぅ……ウィル君………」

包み込むようにミニットを抱きしめ、泣き止むのを待つ。

しばらくして震えが止まると、彼女は俺を見つめて瞳を閉じた。

「んぅ……ちゅぅ……んっちゅっちゅぅ♡ ……んはぁっ……ちゅ♡ はぁっんっちゅ♡ ちゅ♡ んっちゅぅぅ♡」

唇を合わせると、びっくりするほどの吸引をされた。ミニットの荒々しい息遣いに導かれて俺の興奮まで高まる。

抱擁していた腕を彼女の後頭部に回し、こちらの口内を蹂躙してくる彼女の舌を迎え撃つ。

「若……ウィルくん、ウィルくん……好き……好きぃ……♡」

「俺も、好きだよ……」

彼女の舌から伝わってくる情愛の味に酔い、俺も負けじと彼女の想いに応えようと声を出す。

それに返ってきたものは熱く深いキスだった。言葉を続けようとした俺の口は彼女に塞がれ、そのまま押し倒されそうになる。

俺は舌を押し返し、キスを一旦中断する。

「んっ……んんー?」

もっとチューして、という瞳が綺麗で、俺はすぐに負けた。

「んちゅうっぅうっ♡ はぁっはぁ……ちゅぅぅ♡ んっふぁぁっ♡ ちゅっちゅぅっ♡ ちゅっ……」

激しいキスの嵐の中、俺はそっとミニットの着ているベビードールの肩紐に手をかける。

誰が用意しているのかは未だに不明だが、今回もベビードーラーは良い仕事をしていた。

濃いオレンジ色に染められた生地と、胸を少し強調する形のデザインが、ミニットに実によく似合っていた。明るい色が今日の元気な雰囲気の彼女にしっくりくる。

「ちゅっ♡」

俺が脱がそうとしていることに気がついたのか、ミニットは少しだけキスの攻勢を弱めた。

その隙に彼女との密着を少し離して胸元のリボンを取り払う。ぱかっと割れるように布が開いて乳房がこぼれた。

「やん」

小さくもなければ大きくもない、年齢相応の可愛らしいお肉が揺れる。

彼女が恥ずかしがって両腕で胸元を隠したところで、俺は腰の紐パンの結び目を引く。

「きゃっ」

はだけた格好になったミニットを背後から抱き寄せ、紐パンの布をベッド下へ投げ捨てる。

蝋燭の揺れる炎に彼女の秘所が照らされた。

「ウィル君の、えっち……。やだぁ……」

ミニットが股を閉じようと力を入れているのがわかる。

俺は手に力を入れてそれを防ぎつつ、彼女のアンダーヘアを確認する。

最初に抱いた時に比べると、少しだけ手入れがされているように見えた。

「あ……やだ♡ 見ないでください……」

凝視されていることが恥ずかしくなったのか、彼女が甘えるような声をあげる。

俺は彼女の陰毛をさわさわと撫でた。髪と同じ栗色の柔らかい毛だった。

ところでこのあたりには、結婚した女性や、将来を誓い合った婚約者のいる女性は陰毛を剃る風習がある。愛する男性にだけ性器を見せるのだと心に決めて、毛を剃るのだという。

「生えてるな」

俺はミニットを孕ませる気マンマンだし、他の男に渡すつもりなど毛頭ない。

権力者の寵愛を受けて増長する気配も今のところまるで感じないし、俺を真摯に慕う気持ちは純粋に嬉しい。

だから俺は彼女の陰毛を剃ってしまいたかった。目に見える形で彼女に俺という存在を意識させたかった。

いずれ彼女が子を宿したら、名実ともに俺の妾として囲い込みたいのだ。

「剃って欲しいと言ったら、嫌か?」

俺の胸にくっついているミニットの背中が大きく揺れた。

ある意味でこれはプロポーズのようなものだ。彼女の胸に手をあてると、生乳の柔らかさと一緒に心臓の激しい鼓動まで伝わってきた。

男が女に『俺のためにまん毛を剃って』と伝える。さすがにここまで直接的な言い方ではないが、実はこれ、平民の間では割とメジャーな求婚らしい。その場で剃毛用のカミソリを渡す人もいるとかいないとか。

「嫌じゃないです! 嬉しいです! 若さ……ウィル君のために剃れるなんて、夢のようです……あぁ……♡」

法悦にひたるミニットを軽く抱きしめてから、俺は机の上に用意しておいた剃刀を手に取った。

ちゃぶ台に似た丸テーブルに乗った水の入った桶を彼女の股の間に置き、剃刀を彼女に手渡す。

「剃るところ、見せて」

ミニットの背後から、彼女の肩に顎を乗せるような形で覗き込んだ。

「は、はい……!」

耳まで真っ赤っかにした彼女が、桶の水を手ですくって股に塗る。とてつもなくいやらしい光景に、俺の下半身が暴発寸前になった。

「そ、剃りますね……?」

「ああ。見せてくれ」

ざり、ざり、ざり、と剃刀が肌を撫でて毛を切る音が響く。

そこまで濃くない彼女の陰毛がこそげ落ちていき、守るものをなくして白い肌があらわになっていった。

シェービングフォームなどないので肌が少し傷つきすぎたのだろう、たまにうっすらと血の玉が浮かび上がった。

「あ……」

その肌へのダメージは、治癒魔法を発動して治していく。綺麗なつるつるまんまんのためなら魔力はまるで惜しくない。

「なんて、畏れ多いこと……若様…………」

平民が貴族から直接魔法をかけてもらうことは、まずありえない。

剃毛する彼女の手は止まり、感動に打ち震えているようだった。

「ミニットのためだから、特別だ。内緒だぞ」

「は、はいっ」

ミニットが首を後ろに倒して俺の胸にぐりぐりと押し付けてくる。

頭の硬さがなんとも心地よい。

「ほら、手が止まっているぞ。俺のために剃ってくれるんだろう?」

頭を撫でながら、剃毛の続きを促す。

ミニットが見事なパイパンになるまで、そう時間はかからなかった。