「.........ここは.....?」

目が覚めると、知らない天井だった。

なんてことは無く、よく考えればわかるような場所であった。

「あぁ、宿屋か.........」

そこは間違いなく、宿屋ダムダムの自室であった。

周りを見渡すが、隣のベッドには誰もおらず───と言うか、室内には誰も居なかった。

───まぁ、起きたら美少女がウトウトしてる、みたいなのは久瀬とかがやる事なのだろう。

「宿屋自体にも人は居なさそうだな......。ルーシィやエルビン、それに店員も誰も居ないって大丈夫なのか......?」

いや、絶対大丈夫じゃない気がするが........。

───まさか "起きたら世界が滅んでた" とかじゃないよな?

僕はかなり(・・・)だるくなった身体を起こすと、扉へと向かって歩き出す。

多分、このだるさは借りてたステータスを返したってことなんだろう。

「......これでもレベル上がったはずなんだけどな.........あれ? レベル.........?」

そうだ、レベルが上がったんだ。

恐らくは最初に白夜をテイムした時のおよそ二倍もの時間、インフォメーションがなり続けた。

───それでさえかなりダルいってんだから、ロキのステータスの異常さが分かるだろう。

「はぁ、外出る前に見てみるかな『ステータス』」

名前 ギン=クラッシュベル (19)

種族 吸血鬼族(始祖特異種)

Lv. 432

HP 4980000

MP 14900000

STR 4290000

VIT 3869000

DEX 6239000

INT 13890000

MND 10960000

AGI 7193000

LUK 1432

ユニーク

正義執行Lv.1

神化

万物創造Lv.1

神影Lv.2 ↑+1

空間支配Lv.2 ↑+1

スキル統合

幻魔眼Lv.2 ↑+1

特異始祖

魔導Lv.2

雷神風神Lv.2 ↑+1

エナジードレインLv.1

アイテムボックスLv.3

アクティブ

鑑定Lv.4 ↑+1

テイムLv.7 ↑+2

念話Lv.2 ↑+1

演技Lv.2 ↑+1

パッシブ

刀剣術Lv.2

総合格闘術Lv.4 ↑+2

鎌術Lv.1 (new)

縄術Lv.1 (new)

捕縛術Lv.1 (new)

並列思考Lv.5 ↑+1

魔力操作Lv.5 ↑+1

超直感Lv.3 ↑+1

物魔耐性Lv.4 ↑+1

状態異常耐性Lv.2

損傷耐性Lv.3

混乱耐性Lv.4 ↑+1

精神耐性Lv.2 ↑+1

称号

迷い人 神格 Bランク冒険者『執行者』全能神の寵愛 狡知神の加護 創造神の加護 死神の加護 魔導神の加護 救世主 (new) ロリコン 白銀竜の主 獄夢の主 神獣の主 神狼の主 (new) 竜殺し 超越者 魔導の神髄 詐欺師

従魔

白金神竜プラチナムドラゴン

ゴッドオブ・ナイトメア

ブラッドギア・ライオネル

フェンリル (new)

「あれ.........何でだろ、めっちゃ低く見える」

二億とか、見ちゃったもんな......。

でもさ、ぶっちゃけると、今のステータスってMPとINTだけならロキのステータスを借りてた時よりも高いんだよね......。

つまりは今の状態で完全ブーストかけると魔力だけならあれすらも上回る、ってことだろう。

「まぁ、他に見るところとしては............あれっ?」

.........Lv.7.........だと!?

「いやいや、スキルレベルって......Lv.5までだよな.......? .......ま、まさかっ!?」

直感が告げていた。

───確実に、奴のせいだ、と。

狡知神の加護

狡知神の加護を受けた証。

幻魔眼のスキルを会得。

進化時のステータス上昇極大。

(ユニーク以外のスキルレベルの上限上昇。精神の成長率上昇)

P.S. アイテムボックスに報酬入れといたよん(๑´ڡ`๑)♡

☆☆☆

僕はあの後、称号やらスキルやらを確認、統合した後、普通に宿屋を出ることにした。

報酬に関してはみんなを見つけてから見てみようかと思っているが.........まぁ、ゆっくり探すさ。

最悪、空間支配で調べればいい話だし。

あぁ、新しいステータスとしては、こうなったぞ?

名前 ギン=クラッシュベル (19)

種族 吸血鬼族(始祖特異種)

Lv. 432

HP 4980000

MP 14900000

STR 4290000

VIT 3869000

DEX 6239000

INT 13890000

MND 10960000

AGI 7193000

LUK 1432

ユニーク

正義執行Lv.1

神化

妖魔眼Lv.1 (new)

万物創造Lv.1

神影Lv.2

空間支配Lv.2

スキル統合

特異始祖

魔導Lv.2

雷神風神Lv.2

エナジードレインLv.1

アイテムボックスLv.3

アクティブ

鑑定Lv.4

テイムLv.7

念話Lv.2

パッシブ

刀剣術Lv.2

総合格闘術Lv.4

鎌術Lv.1

縄操術Lv.1 (new)

並列思考Lv.5

魔力操作Lv.5

超直感Lv.3

器耐性Lv.1 (new)

魂耐性Lv.1 (new)

称号

迷い人 神格 Bランク冒険者『執行者』全能神の寵愛 狡知神の加護 創造神の加護 死神の加護 魔導神の加護 トリックスター (new) 救世主 ロリコン 白銀竜の主 獄夢の主 神獣の主 神狼の主 竜殺し 超越者 魔導の神髄

従魔

白金神竜プラチナムドラゴン

ゴッドオブ・ナイトメア

ブラッドギア・ライオネル

フェンリル

詳細としては、

妖魔眼 (幻魔眼+演技)

ありとあらゆる者を魅了し、惑わすと言われる最上級の魔眼。

使用すると、瞳が紫に変化し、銀色の魔法陣が浮かび上がる。

その能力は最高神さえも簡単に騙す事が可能。

副次効果として、演技力が上昇する。

Lv.1= 一日に一回使用可能。

縄操術 (縄術+捕縛術)

縄を操ることに長けたスキル。

極めれば縄を完全に操ることが可能。

器耐性 (物魔耐性+状態異常耐性+損傷耐性)

器に関する全てに対しての耐性。

魂耐性 (混乱耐性+精神耐性)

魂に関する全てに対しての耐性。

救世主

大勢の命を救った者の証。

全ての生命から、好感度が上がりやすくなる。

トリックスター

全てを欺き、騙す者の証。

全ての生命に対して、騙しやすくなる。

まあ、こんなものだ。

神影や空間支配、風神雷神も使いまくってたせいかレベルが上がってるし.........また少し強くなった気がするな。

───この統合スキルをくれたゼウスには、今度あった時にでもお礼をしよう。

「そんじゃ、そろそろ探し始めるかねぇ......」

そうして僕は、宿屋を出た。

───のだが、数分後。

奴らは簡単に見つかった。

場所は町の中心にある、噴水のある広場。

「.........『影の王』発動」

その惨状を見て、僕はついつい全力で気配を消してしまった。

Lv.2になった神影の能力は凄まじいもので、何十人とすれ違っているが、全員僕には意識を向けていない。

───いや、向けられない、と言った方が正しいか。

居るのは分かっているから避けたりもするのだが、それでも誰ひとりとして黒髪の僕に反応しないというのはかなり異常なことだった。

それはまるでエルザが使った結界のように、気配を消す、と言うよりかは相手の自意識に介入する、と言った方が正しいかもしれない。

まぁ、もし僕が気配を消していなくても、彼らは僕のこと、気づかなかったかもしれないな。

それは、何故僕がこんなことをしたか、という話に関係する。

そこには、白塗りにされた数台の.........ゴーレム馬車か? それに白い神父服に身を包んだ数人の神父さん。それにシスターさん。

彼らは全員、その服にとある紋章を刻んでいたのだ。

それは、白地に金の盾が描かれた、とある国の証。

(ミラージュ聖国.........だと?)

それは、僕が最も注意していた国のものだったからだ。

☆☆☆

今現在、恭香や白夜を始めとした僕の仲間達は、その神父たちと対立しているようであった。

と言うか、

街の人ほとんど全員 VS 神父&シスター

みたいな図になっている。

どうやらルーシィやエルビンもここにいるらしい、

.........なんだか嫌な予感がするな。

そんなことを考えていると、それぞれの話し声が聞こえてきた。

───いきなり出ていくのもなんだし、少し情報収集するべきか。

そう思い、僕は普通にそこの間に入って聞き耳を立ててみた。

.........普通に視界に入ってるけど誰も気づかないな?

(いや、私は気づいてるけどね?)

......どうやらまだ神器(恭香)相手には通用しなかったようだ。

フェンリルも違和感を覚えているようだが、完全に僕の存在に気づいているわけではなさそうだな.........ほんと暗殺に特化しすぎじゃねぇか? この能力。

閑話休題。

二つの陣営の会話としては、こうだった。

「だから何度も言っているでしょう? 私たちにそこの化け物共と例の男を引き渡しなさい。さもなくば神の天罰が...」

「.........神父殿。これでも俺は国王だ。少し言葉に気をつけろよ? 国際問題だ」

今までのおちゃらけた姿など影も形もない、正真正銘の賢王が、そこには居た。

のだが、

「はて、私が尊敬するのは聖女様と我らが主神のみ。貴方に敬意を表する理由が見当たりませんな?」

ブチっと音がした。

「ふぅー.........、それで、神父殿。ギン=クラッシュベルとそこの従魔たちをどうするつもりだ」

.........えっ? やっぱこれって僕たちの話だったの?

それにしてもよく耐えたな、エルグリッドよ。

そんなことを思った時だった。

「何を当たり前のことを。処刑するに決まっておるではありませんか」

.........あ? このジジイ、今何つった?

「.........処刑? あの男が何かしたというのか?」

あまりの堂々とした物言いに、思わず青筋を浮かべるエルグリッド───いや、ほとんど全員だろうか?

恭香に輝夜、フェンリルくらいじゃないか? ブチっときてないの。

(いや、だって.........無理じゃない? 今のギンを処刑とか)

────何故だろう、一気に頭が冷えました。

正直な話、少なくともエルザほどの実力者でなければ今の僕のパーティは倒せないだろう。そんな人材をミラージュ聖国如きが確保できるわけがない。

可能性としては偽(・)勇者くらいだろうか?

────だけど、まぁ、歯向かうなら成長する前に前に潰せばいいか。

そんなことを考えていると、神父はさも当たり前のような顔で話を続けた。

「何を言っているのです? 彼の存在自体が罪でしょう?」

.........あれだな、アーマー君はこの国出身に違いない、

「吸血鬼という種族、影魔法という悪意に満ちた魔法、そして執行者等というふざけた二つ名。そして何より悪そのものである魔物を従えていること。他にも...........................挙げればキリがありませんな」

いや、思いつかなかっただけだよね? 今の間は。

「神の使いである、聖女様はこう申しました。『彼は罪です。早急に取り除きなさい』と。分かりますか? 聖女様は神と交信できる唯一の人物......。その方がそう言ったのです!」

あ、すいません、僕もできちゃいますね、それ。

「聖女様のお言葉は神のお導きっ! ならばギン=クラッシュベルを処刑するのも我らが主神のお導きなのです!」

......なぁ、恭香。コイツらの主神って、誰?

(フェンリルを逃がした中級神だね、ちなみにギンの叔父さんが狂った原因もその中級神だよ)

───よし、創造神を去勢する前に、そいつ、ぶっ殺そう。

まぁ、今はそれより、この迷惑な奴らをどうにかしないとな.........。

なぁ、恭香。僕ってどれくらい寝てた?

(えーっと........今で丁度一日と十四時間だね)

なるほどなるほど。

なら使える(・・・)、ってわけか。

────だったらさっさと排除した方が良さそうだな。

「『妖魔眼』発動!」

すると、虚ろな目をして虚空を見上げ始めるミラージュ聖国の一同。

「お、おい.........? 大丈夫か?」

エルグリッドもそれに気付いたのか、話しかけるが全くと言っていいほど反応がない。

くっくっくっ、成功したみたいだな?

僕が今使った幻術は『暗示』だ。

今コイツらには、僕がその聖女に見えているはず。

だから、こう言ってやればいいのさ。

「『ギン=クラッシュベルは、私が殺しました。あなた達は今すぐこの国を出て、五ヶ月以上(・・・・・)かけてミラージュ聖国の私の元へと戻って来なさい。いいですか、これは一種の休暇です。少なくとも五ヶ月は戻ってきてはダメですよ?』」

「「「「「はっ! 分かりましたっ!」」」」」

すると彼らは満面の笑みでせっせと荷造りを終えると、ゴーレム馬車で去っていったのだった。

「......な、何が起きやがった.........?」

口をぽかんと開けて呆然とする、エルグリッド以下市民たち。

白夜や輝夜辺りは何やら難しい顔をしており、フェンリルに至っては何だかニヤニヤしていた。

───流石に二回目ともなると分かっちゃうか。

「やぁ諸君! いい朝だね!」

そして何事も無かったかのように人混みの中から現れる僕。

よし、完璧だな。

(完全犯罪とか余裕で出来そうだよね、今のギンって)

.........否定出来ない自分が情けない。

『あれ? ギン起きてたの?』

まるで何事も無かったかのように話しかけてくる恭香。

───僕も大概だがお前もなかなか詐欺師してるな。

「おう、今さっき起きたんだけど.........なに? この集まりは。お祭りでもあるのか?」

『いえいえ、珍妙な客──略して珍客が来ていたのですよ。今さっき "まるで幻術にかかったかのように" 去っていった所ですが』

........微妙な所を突いてくるね。

もしかして輝夜辺りなら気づいちゃうんじゃないか?

「へぇー、まぁ、よく分かんないけど。それより宿屋戻ろうぜ? 色々とやらないといけないことあるしさ」

『うん、了解したよ』

『ふふっ、とうとう私のパージをお見せする時が来たようですね』

「ちょっ!? ま、待つのじゃっ!?」

「ま、まさかっ!? 今のは主殿のっ!?」

『輝夜は一体何を言っているのであるか?』

「「「『「えっ、喋れたの?」』」」」

『うむ、もちろんである』

そんなこんなで、僕たちは宿屋へと帰る。

その道中、かの神父が言っていた聖女の言葉が頭を過る。

『彼は罪です。早急に取り除きなさい』

確かに僕は、有罪か無罪か、で言えば間違いなく有罪であろう。

少年(アーマー)暴行に、動物(魔物)虐待、セクハラと.........、まぁ、日本では捕まるようなことばっかりやってるしね。

────だけど、それでお前らが無罪になるなんて思うなよ?

お前らは間違いなく有罪だ。

少なくとも、僕の中ではそう、決定した。

だからこそ、僕もお前たちに判決を下そう。

ハハッ、僕は寛容だからね、いきなり死刑とかは言わないよ。

───僕がお前らに下す判決は、執行猶予永遠(・・)だ。

ハハッ、優しいだろ?

でもさ、一度でも僕の仲間に手を出してみろよ?

───その時は、お前らの主神ごと全滅させてやるよ。