The Skill Collector

Skill eating

「も、もう動けません。ちょっと、休憩しましょう! ほら、脚がパンパンですよ! 破裂五秒前ですよ! もうじき皮が弾けて肉片と血が辺りに飛び散りますよ⁉」

「妙に生々しい表現がうざいです。パンパンなのは足より胸部ではないですか。引きこもり生活で体力がゴブリン以下ですから、そうなるのです」

「ゴブリンの体力を甘く見たらダメよ! ゴブリンというのは凄まじい体力で半日平然と動き続けられるのよ。夜の営みもすっごいらしいわ!」

「なんでマジ解説しているんですか。比喩に決まっているじゃないですか。あともう少し慎(つつし)みを持ちませんか? そんなだからいつまでも結婚できないのですよ」

「そ、それとこれは話が別でしょ⁉」

 山道の途中で疲労が限界に達して崩れ落ちた、魔物マニアのセラピーは、口だけは元気に魔物豆知識を語っている。

 そんな彼女を励まさずに罵倒しているのは、その従者らしいオートマタのアリアリア。

 俺は現在、彼女達の漫才を聞きながら山登りをしている最中だ。

 セラピーはいつもサイズが大きいワンピースを愛用しているのだが、今回は旅に相応しい格好になっている。

 ズボンは一般的な旅装なのだが、上に着ている黒い体に張り付く長袖の服は特殊な材質で織られた〈大いなる遺物〉らしい。薄手に見えるが伸縮性と耐久性に優れた代物だと、アリアリアが自慢していた。

 そんなアリアリアは人間の姿を装ったメイドになっている。外を出歩くときは、この格好に決めたらしい。

「そんなに疲れているのでしたら『持久力』もしくは『体力』を、お売りしましょうか?」

「あ、う、えっと。欲しいところですけど、私のスキルスロットって空きが一つしかないのですよね? だったら、もったいないのでいいです。新たに魔物の声が理解できるスキルに目覚めるかもしれませんので!」

「まだ諦めていないのですか。回収屋様、『幻聴』は確かに買い取ったのですよね?」

「はい、アリアリアさん。買い取りましたよ」

 以前、魔物の鳴き声を理解して意思の疎通ができる人がいる、という情報を信じて魔物マニアであるセラピーに会ったのだが、それは『幻聴』スキルが生み出した勘違いだった。

 その『幻聴』スキルを買い取ったことで、彼女のスキルスロットに一つの空きができた。そこに新たなスキルが目覚めると、セラピーは信じているようだが……。

「目的地まで少し距離があるので休憩しましょうか」

「アリアリアと違って、回収屋さんは優しいなぁ」

 その言葉を待ち望んでいたセラピーは本当に限界が近かったようで、荒い呼吸を繰り返して、疲れ切った表情で天を仰いでいる。

 丸い黒縁の眼鏡を外すと「もう限界ぃ~」と言って、その場に寝そべった。

「甘やかしてはダメですよ、回収屋様。モテない者はちょっと優しくされただけで、ころっと簡単に惚れたりしますからね。特に結婚に関して貪欲な適齢期を過ぎた胸重りは危険です」

「そ、そんなにちょろくないわよっ! 胸重りってもしかしなくても私の事よね⁉」

 顔を真っ赤にしてアリアリアを勢いよく叩くが、かなり痛かったようで手を掲げ「うおぉぉぉぉ」と苦痛の声を漏らしている。

「学習されませんね」

「栄養が全て胸にいってしまっているので、魔物のこと以外は覚えられないようです」

 俺の呟きにアリアリアが笑顔で答えた。

 セラピーは涙目で頬を膨らませて不機嫌さを隠そうともしていないが、文句よりも手の痛みが勝つようで必死に手を振っている。

「そんな年齢で可愛い子ぶってどうするのですか。似合いませんよ」

 アリアリアはいつも通りセラピーに対しては毒舌だ。

 一応は主従関係らしいが、どっちが主か分からなくなる時がある。

「ところで、セラピーさん。もう一度、魔物について詳しく教えてもらっても構いませんか?」

「はい、喜んで!」

 魔物の説明を頼むと一気に機嫌が直り、目をらんらんと輝かせて上半身を起こした。

 疲労まで吹き飛んでいそうな勢いだな。

「私達が探している魔物の種族はおそらくドラゴンだと思います。今まで『スキル喰らい』が確認された魔物は大抵ドラゴンでしたから」

 彼女が口にした『スキル喰らい』は、俺がこんな辺境まで来た理由の全てだ。

「それなのですが、『スキル喰らい』はドラゴンの固有スキルということに?」

「ええと、そうじゃないみたいです。過去の資料によるとドラゴンが多かったようですが、他の種族にも発生した記録がありましたよ」

 ドラゴンの確率が高いようだが、思い込みは危険だと言う事か。

「しかし、私もある程度はスキルについて詳しいつもりだったのですが、『スキル喰らい』の存在は知りませんでした」

「魔物特有のスキルですからね。それもかなり希少ですし、『スキル喰らい』を持つ個体を倒した個体にスキルは移る、という説が魔物学会界隈では信じられています。といっても、私のような魔物研究を熱心にする人は、そんなにいないのですけどね」

 そう言ってセラピーは苦笑している。

 魔物を熱心に調べている者は彼女以外にも存在する。魔物の情報は冒険者達に需要があるからだ。

 ただそういった資料は魔物の弱点や特徴が書いているだけで、細かいところまでは調べられていない。

「回収屋様、『スキル喰らい』について詳しい説明が必要でしょうか?」

「アリアリアさんは、ご存じなので?」

「ええまあ。聞かれませんので黙っていましたが。知っている範囲でよろしければデータベースから情報を取り出しますが」

 聞かれなくても、必要な情報は出して欲しいな……。

「データベースがよく分かりませんが、よろしくお願いします」

 アリアリアはたまに意味の分からない古代語を口にするので、聞き流すか文脈で見当をつけることにしている。

「そこの無駄乳の見解は少し間違っています。『スキル喰らい』は倒した相手に移る特殊なスキル……ではなく。そのスキルを持った魔物を喰った相手に移るスキルです。ドラゴン族に多く見受けられたのではなく、魔物界の頂点に君臨し、雑食で魔物を餌としている彼らだから、『スキル喰らい』を所有している魔物を食らう機会が多かった。それ故に最終的にスキルがドラゴンに移る事が多かった。というのが事実ですね」

「えっ、そんな事どの書物にも載ってなかったわ。でも、それだと辻褄(つじつま)が合う……」

 アリアリアからもたらされた新事実に驚きを隠せないセラピーだが、納得のいく部分があったようで腕を組んで唸っている。

「つまり、『スキル喰らい』はドラゴン限定という訳ではなく、様々な種族の中に発生するスキルで、そのスキルを所有する魔物をドラゴンが食べたと。……そういえば伝説の勇者に倒されたという、漆黒の邪竜も相手の能力を消滅させたという逸話が残されていましたね」

 今思えばそれが『スキル喰らい』の能力だったと考えれば納得がいく。

「そういうことです。さて、特性についてはそれぐらいにして、本命のその能力についてお話ししますね。『スキル喰らい』はその名の通り相手のスキルを喰らうことができます。その発動条件は相手の体に触れるだけ。それだけで相手のスキルは喰われます。……つまり消えてしまうのです」

 アリアリアの淡々と語る内容を反芻(はんすう)する。

 触れた相手のスキルを完全に消し去るスキル――それが『スキル喰らい』。

「その能力のおかげで、『スキル喰らい』を持つ魔物が現れたかどうかを察知する事ができます。まず、特定の地域で魔物が弱体化する。魔物が急に弱くなり退治が楽になった、という情報が冒険者達からもたらされると、ギルドが調査隊を出しますからね」

 説明の途中だったのに嬉々として割り込んだセラピーを、アリアリアが冷たい目でじっと見つめている。

 魔物に関する話題になると、人の話を遮ってでも喋りだすのは彼女の悪癖だ。

「そこでその地域の魔物達を『鑑定』で調べ、種族が生まれ持つ固有スキルが消えている事が確認されると、『スキル喰らい』発生の警戒態勢がとられます。ちなみに固有スキルというのは、オークなら『食欲』『大食い』『精力』というのは一般常識ですよね」

「「一般常識じゃないです」」

 俺とアリアリアの声が被った。冒険者なら知る者もいるが、一般人がそれを知っているとは思えない。オークが周辺に存在しない地域に住む者は、オークの名を一生知らずに生を終える事も珍しくないのだから。

「触れただけでスキルが発動するのであれば、『スキル喰らい』持ちが無意識のうちに相手のスキルを消している事もあり得るということですよね」

「はい、回収屋様のおっしゃる通りです。なので特定の種族ばかり弱体化している場合は、その種族から『スキル喰らい』が現れたとみて間違いないでしょう」

「今回は情報屋とギルドからの連絡によると、ゴブリンの多くが固有スキルを失っていたそうです。なのでゴブリンの中にお目当てがいると考えるべきですね」

 その個体が別の魔物に美味しくいただかれていたら、また話は変わってくるが。

「ところで回収屋さんは、どうして『スキル喰らい』退治に乗り出したのですか? 私は魔物が好きなので誘ってもらって嬉しかったのですが……」

 ずっと気になっていたのだろうな。セラピーが胸の前で手を合わせてもじもじさせながら、上目遣いで質問してきた。

 アリアリアは無表情なのだが耳に手を当てて、興味があることを露骨にアピールしている。

「理由は単純明快ですよ。私はスキルを買い取って商売をしています。『スキル喰らい』が魔物だけに影響があるなら無視してもいいのですが、退治に向かった冒険者にも影響がありますからね。スキルが消滅すると商売あがったりですよ」

 小さく息を吐いて肩をすくめて見せた。

 本当は姉の『強奪』に似た能力だったので姉の仕業ではないかと疑い、もしそうではなかったとしても、いつか彼女と戦う日が来た時の練習と……切り札になるのではないかと考えたからだ。

 『演技』を発動させたのでセラピーには、俺の本心は見抜かれていないだろう。

 アリアリアの冷たく光る眼からは何の感情も読み取れない。

「そういうことにしておきましょうか。軽食でも作りますね」

 ……どうやら疑われているようだ。

 アリアリアがテキパキと食事の準備をしているので全てを任せて、俺は辺りを警戒しておく。

 魔物の気配はない。人の気配もない。

 草木が生い茂る山奥だが植物以外の生命を感じられないというのは、異様だ。

「おかしいですね。この一帯は魔物が豊富な事で知られているのですが、山に入る前から一匹も見かけていませんよ。残念です」

 魔物との遭遇を楽しみにしていたセラピーは不満げだが、争いがないのに越したことはない。だがこの状況が妙だという点には同意する。

「『スキル喰らい』がいると、周辺の魔物のスキルが消え失せ弱体化することで、他の魔物に蹂躙されてしまいます。そして『スキル喰らい』が他の魔物に移り、また同じことが別の場所で起こる。そうして、その一帯は魔物が激減していくのです」

「魔物が減るのは困るわね!」

「いや、そこは喜ばれる方が多いかと」

 魔物が好きなのは個人の自由なので構わないが、セラピーは人よりも魔物を優先しそうなところが心配になる。

「さて、雑談はこれぐらいにしましょうか。何かがこっちに迫ってきているようです」

「巨大なのが一体ですね。セラピーは戦闘では無力ですので、背後に回ってください」

「えっ、えっ? なになになに?」

 魔物の気配をいち早く察知すると、二人に注意を促す。

 アリアリアの後ろに隠れながらも、セラピーは肩口から顔だけを出している。好奇心を隠しきれないようだ。

 木々が倒される音と地響きが徐々に大きくなっていく。

「これはかなりの重量級ですよ! ジャイアントでしょうか! ゴーレムでしょうか! はたまたドラゴンかも! 楽しみよね、アリアリア! ねえ、ねえ、ねえっ!」

「うっさいです、駄乳」

 ……緊張感がどこかに吹き飛んでいくなー。

 恐怖で体がすくむよりかはマシだが、もう少し静かにして欲しい。

 目の前の大木がなぎ倒され現れたのは、山のように巨大な――ドラゴンが俺達を睥睨している。

 全身が闇のように黒い鱗で覆われ、大きく裂けた口には鋭く尖った歯が並び、涎がぼたぼたと流れ落ちて、足下に水たまりが出来上がっていく。

 頭の位置が木々のてっぺんよりも高く、地上から十メートルはありそうだ。全長にすると二十メートルはいくか。

「こ、これはダークドラゴンですね! 闇属性を操る邪神の配下だと言われています! 体の大きさから考慮して軽く百年は生きている個体ですよ! 口から吐かれる腐食の息には気を付けてください! 一瞬にして体も装備も腐れ落ちてしまいまうので!」

「頑張れー回収屋様ー」

 情報と棒読みの応援ありがとう。二人はちゃっかりと後方に下がっている。

 ドラゴンか……相対するのは久しぶりだな。

『我が領域に足を踏み入れたのは貴様らか』

 ドラゴンの声が直接頭に響く。これは『念話』スキルか。

 年を経た魔物の多くは知能が人間に匹敵するか、もしくは上回る。その際に会話の手段として『念話』を習得する場合がある。

「はい、お邪魔しています。話が通じるのであれば楽で助かります。お尋ねしたいことがあるのですよ」

『矮小なる人間ごときが、偉大なる黒竜である我に質問だと? 身の程を知れいっ!』

 ダークドラゴンの口が開き、腐食の息が吐かれるのかと警戒したが、放たれたのは『咆哮』だった。

 鼓膜を揺るがす大音量と風圧が俺を襲い、風の衝撃が全身を打つ。

 木々が根から吹き飛ばされ、周辺が開けた土地になるほどの威力だったが、俺はその場から一歩も動いていない。

『人間ごときが、我の『咆哮』に耐えただと』

「挨拶は終わりましたか? それでお話なのですが」

『手を抜きすぎたようだ。弱者に対して無意識に手心を加えてしまう、我の寛大さに感謝するがいい』

 俺が実力で耐えたとは思いたくないようで、自分を無理やり納得させているようにしか聞こえない。自尊心が高いのか?

『今のはただの呼吸のようなものだ。我の本気の一撃を喰ら――』

 これ以上のやり取りは時間の無駄だと判断して、『魔力強化』『無詠唱』『光魔法』をスキルスロットにセットする。

 俺が突き出した右手から光が一条飛び出すと、ダークドラゴンの脇を抜け地面に突き刺さると、後方で巨大な爆炎が上がり大地が鳴動する。

 ダークドラゴンが恐る恐る振り返ると、俺の光線が焼き払った一本の道があり、その先には巨大な窪地が出来上がっていた。目の前の黒い竜がすっぽり入る大きさの。

『……人間よ、話を聞こうではないか。暴力は何も生み出さないからのう』

 どうやら会話に応じてくれるようだ。

『ふむ、『スキル喰らい』を探しにまいったと。それならば先日ワシが薙ぎ払ってしもうたぞ。あれは厄介なスキルでな。触れるだけでこっちのスキルが消え去ってしまう。じゃから遠距離からのブレスで殺るというのが、一般的じゃ』

 急に大人しくなったダークドラゴンは態度も口調も気のいいお爺さんのようになり、頭を大地に伏せた状態で話している。

 俺が強いと分かった途端にあっさりと手のひらを返した。雑食の癖に……食えない竜だ。

 彼はこの一帯の主らしく、異変を察知したので大事にならないうちに素早く処理したそうだ。俺達に対しての『咆哮』も殺す意思はなく、脅してここから撤退させることが目的だったらしい。

 確かに殺す気なら『咆哮』ではなく腐食の息を吐けば済む。

 んー、『スキル喰らい』は消えてしまったのか。このダークドラゴンが喰っていてくれたら、交渉して『買取』できたかもしれない。そう思うと残念だ。

 姉の対策として使えそうなスキルだっただけに。

『あのスキルは危険じゃからのう。何を考えておるかは知らぬが、利用するなど考えぬ方がよいぞ。そもそも、スキル喰らいは魔物にしか扱えぬスキルじゃぞ』

「ご忠告痛み入ります」

 表情も態度も変化はないはずなのだが、目ざといな。ドラゴンなのに察しがいい。

 魔物にしか使えないというのが本当であれば、『スキル喰らい』にはもう価値も用もないが。

 訊くべきことは全て聞き出したので、魔物談議でダークドラゴンと盛り上がっていたセラピーを何とか引き剥がすと、俺達は山を後にした。

 結局何の収穫もなしか。ダークドラゴンのスキル買い取りも考えたのだが、強力ではあったが既に所有していたものばかりだった。一応交渉してみたのだが、売る気はないそうだ。

「んー、『スキル喰らい』を所有した個体を見たかったのですが、残念だなぁー」

「見たじゃないですか。何がご不満なのですか?」

 残念そうに呟くセラピーに、アリアリアが首を傾げて……何を言った?

「えっ、アリアリア、どうしたの? 壊れちゃったの?」

「壊れているのは貴女の頭と胸です。腐っても魔物学者なのですから、ない頭を振り絞って『スキル喰らい』の知識を出してください。あのスキルを得た個体には特徴がありませんでしたか?」

「ええと、ええと、あれは食べた相手に移って……。それから、確か……あああっ! 見た目に変化があるって説があったわ! 何故か分からないけど、体が黒くなる個体が多いって! ……ど、どうしたのですか、回収屋さん」

 ぱんっ、と手を打ち合わせて叫ぶセラピーを、俺は凝視していた。

「今、なんと?」

「ですから、『スキル喰らい』を得ていた魔物は何故か黒い個体ばかりで、突然変異ではないかと言われることも……」

 ということは、あのダークドラゴンが――『スキル喰らい』か?

 伝説の邪竜も漆黒だったなと、今更思い出す。

 俺は何も言わずに顔だけアリアリアに向けると、大きく一度頷いた。

「はい、あのドラゴンが『スキル喰らい』を所有している確率が九割を超えていると、判断いたしました。それから『スキル喰らい』はかなり特殊な性質がもう一つありまして、『鑑定』では見抜けません。そういう風に作られたスキルですので」

「鑑定で見抜かれないように……作られたスキル?」

 今のは聞き逃せないぞ。それじゃまるで――。

「はい。古代の研究施設で開発されたスキルです。このスキルを魔物に与えて、自滅するように考え出されたスキル兵器のようなものですね。実際は人間にも多大な悪影響を与えると判断されて破棄されたはずなのですが、この有り様です」

 だからか。セラピーだけを誘ったのに、アリアリアが文句を言いながらもついて来た理由はそれか。

 あのドラゴンは自分の『スキル喰らい』を隠していたのか。

 それを知られると俺に退治されると考えたのだろうな。また後でじっくり話し合う必要がありそうだな、あのドラゴンとは。

「アリアリアさん、それを早く教えてくださいよ」

「聞かれませんでしたので?」

「……あの竜もそうですが、食えない方ですね」

「機械人形ですからね、そりゃ食べられませんよ」

 スキル喰らいを調べにきて、食えないモノ達の相手をする羽目になるとは。

 人としてもスキル回収屋としてもまだまだ未熟なようだ。