美湖と奴隷の3人は、クラン支部を出て、街を歩いていた。
「しっかし、かなり稼げたね。しかも今回は様子見程度だったからね。明日は、魔物を倒しつつ、行けそうなら第1階層の階層主を攻略してみようか。」
美湖は、服屋のショーガラスを見ながら声をかける。ショーガラスの中には、戦闘用ではない、着飾った服が数着展示されていた。
「そうですね。正直、今の階層の魔物では物足りません。個人では、アリサさん、スーリンさんはきついかもしれませんが、これからはパーティー戦ですし、そうなると、二人の能力は高いですからね。」
美湖の言葉に、ユーナは肯定的な意見を出す。確かに、えぐいとは言われても、魔物3体を瞬殺してしまったくらいなので物足りないのだろう。
「私は、少し怖いかな。今日のコボルトとの戦闘もぎりぎりだったし。これで階層主とかちょっと気が引ける。」
「私もですぅ。少し急ぎすぎではありませんかぁ?ご主人様の目的は理解していますが、少し早いかと思いますぅ。」
逆に、アリサ、スーリンは難色を示していた。今日の成果だけを見たら、二人が気落ちするのもうなずけるだろう。しかし、美湖は笑顔を浮かべ、
「大丈夫。明日は個人戦はしない。これからは基本的にずっとパーティーで行動するから。みんなの長所もわかったし、本格的に攻略していくよ。アリサちゃんは、弓で、スーリンちゃんは、回復魔法でパーティーを支えてね。」
そういって二人の肩を抱き微笑む。アリサとスーリンは少し頬を赤らめる。
4人は、宿屋に戻る。荷物を置き食堂にむかい食事を済ませる。4人で風呂に入り、部屋に戻る。珍しく、4人で風呂に入っても美湖が暴走しなかった。
「ご主人様、今日はいつになくおとなしいですね。どうしたんですか?」
「んー、今日はまじめな話がしたいからね。さすがに暴走してからじゃ、緊迫感が出せないじゃん?」
そういって、3人をベッドに座らせ話し始める。
「いい、みんな?明日は、塔攻略を進めるけど、できれば階層主に挑んでみたいんだ。もちろん、階層主を見て、僕たちの状況と合わせて、行けそうなら、だけどね。」
「わたしは、いいと思います。無理のしなければ問題ないかと思います。」
「私もいいぜ。個人戦はもう勘弁だけど。集団戦なら私にもできることはありますから。」
「私もですぅ。ご主人様の意見を尊重しますぅ。集団戦なら私もお役に立てますからぁ。」
ユーナ、アリサ、スーリンは、美湖の言葉を肯定する。
「だけど、絶対無理しないこと。僕は、君たちを奴隷としてみていない。パーティーメンバー、家族として扱いたいんだ。だから、絶対無理しないこと。いいね?」
美湖の言葉に、3人の奴隷たちは、互いに顔を見合わせ、
「「「はい、ご主人様。」」」
と声をそろえて、返事をした。
「よし、それじゃあ、明日に備えて寝ようか。明日は、今日よりも本格的に塔攻略、魔物の討伐を行っていくつもりだから。しっかり休んで英気を養っておこう。」
そういって、美湖は一番乗りでベッドにダイブした。3人もそれに続く。そして4人川の字で眠りにつくのだった。