The Story of the Girls Who Came From Slime Massage
10, Aerial massage
マッサージ店で気絶してから(スライムによるポルチオ開発が始まってから)9日が経った。
この日は休日でマッサージ店もかなり混んでいた。
しかしアメリアはしっかりと予約を取っている。
電話は無いので3日前に店に訪れて直接予約を取った。
ちなみにアメリアが予約を取った後のタツシの喜びようは以下の通りだ。
「ぃやったーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!次はアメリアちゃんに何しようかな!?!?!?!? 裸も好きだけど、アメリアちゃん、服も可愛いからなぁ。次は服は着せたままにしてあげよう。
ようし! こうなったら2日がかりでプランを考えるぞ!?」
こうしてタツシはその2日間、客へのマッサージのかなりの部分をスライムに押し付けて一人にやにやと考えていた。
そのマッサージの当日の午後1時。世間は昼食を食べ終えるかと言う時間帯。
(やっぱりスライムさんじゃないと弾けるように気持ちよくはならないのよね……)
もはや今回はアメリアもそういうことをする気満々である。
「いらっしゃいませ~」
タツシはいつもの笑顔で接客する。
「こんにちは。さあさあ、どうぞこちらへ」
(アメリアちゃん可愛いぃぃーーーー!!!)
アメリアはブラウンの上品なブラウスにロングの白のプリーツスカート、と言う格好だった。
「前回の後、お肌とか、おからだの調子はどうですか?」
「それがもう本当に最高で! 友達からもよく『綺麗になった』って言われるようになったんですよ!」
「それは良かったです。ご自分でお肌にいいアレ、されましたか?」
「え? あ…はい…たまに…」
(本当は毎日2回しているなんてさすがに言えないよ……)
本来していると自分から言うことすら相当恥ずかしいことなのだが彼女も徐々にタツシに対して心を開放してしまっている。
「では、本日はメインがリフレッシュ目的、ということでよろしいですか?」
「はい、まあ、あの……前回やったみたいな、自分でどこをマッサージするか決めるやつあるじゃないですか? あれをまたやりたいな~って。」
「あー、なるほど。でしたら今回はこちらの『空中マッサージコース』がおすすめですかね」
「空中マッサージ?」
「はい、当店で(アメリアちゃんにいたずらするために)(昨日急いで)新たに開発したコースでございます。
このコースはですね、いつもはベッドで寝ていただくんですが、ベッドで寝ていただく代わりに宙に浮いてマッサージを受けてもらいます。
と言っても、浮遊魔法を使う、と言うのではなくスライムが全身を持ち上げます。
それで宙に浮いた状態でマッサージをするという形になります。」
「あははっ、さすがに浮遊魔法は使える人王城以外にはいませんよねえ~」
「ま、一般常識の範囲なら、ですけどね。」
そういってタツシは近くにあったペンをアメリアの目の前に浮かせる。
「私、実は少しだけ魔法の腕に自信がありまして」
「えええええ???? 店員さん……あ、そういえばまだ名前知りませんでした。タツシさんっていうんですね」
彼女はタツシの胸についている名札を見る。
「店員さん、で構いませんよ別に。慣れているでしょうし(そっちのほうが俺が興奮するし)」
「じゃあ…店員さん、空間魔法使えるんですか??」
「まあ、ほんの少しだけ、ですけどね。」
空間魔法に適性を持っている人は、アメリアのいる魔法学園でも学年に数えるほどしかいない。想定外に高スペックな店員さんに驚きながらもアメリアは話を戻した。
「なるほど……。でも、スライムさんに持ち上げられたら、それってただスライムさんの上でマッサージを受けるだけじゃないんですか?」
「ああ確かに。ちょっと説明が難しいですね。試しに私が浮いてみます。どうぞこちらへ」
そういってアメリアはタツシについていくと、地下へと降りる階段があった。
少し怖い雰囲気があるなと思いながらも、タツシについていく。
「わあ! すごいですね!」
地下には、地下とは思えない豪華な部屋があった。
豪華と言っても、煌びやかなものが置いてあるわけではない。
いつものマッサージルームの3倍近い広さがあり、すべて間接照明で部屋が照らされている贅沢な部屋だった。
天井も高い。
「スラs……スライム、ちょっとこっちに来てくれ」
人前でスラ介と呼びたくないならそんな名前を付けるな、と怒りつつスライムはむくむくと巨大化しながらタツシに近づいていった。
「わあ! 大きくもなれるんですね!」
「はい、こいつ、大きさと形は変幻自在なんですよ。」
「あれ、そういえば普通のスライムって、自分で水を飲んだり食べモノを食べたりしないと大きさが変わらないってこの間授業で習いましたけど……」
「……ええとぉ……まあ、少しうちのスライムは上位のスライムでですね、営業秘密になるんでこれ以上は言えないんですけど……」
「あっすみません。」
「では、試しにやってみます。」
そうタツシが言うとスライムからは何本もの触手が伸びる。
色はスライム本体と同じ水色だ。
そして、その触手がタツシの腕と足、そしておなかに絡みつくとタツシを持ち上げた。
そしてある程度の高さになったところで別の触手が頭と背中を支える。
「このように、スライムが空中に自分の体を上げてくれます。それでですね、」
と言ってタツシがグネングネン体を動かしたりバタバタと暴れても全くスライムは離さない。
「大体何をやっても落ちることはありません。それに、直接つかまれているのは手と首の4本ですが、それ以外にも何本もの触手で体全体を支えてくれるので全く体は疲れません。」
「わあ~! いいなあ~! 私も今日その…『空中マッサージコース』にします!」
「ありがとうございます。アメリアさんは今回で3回目となりますので、無料で『時間延ばし放題キャンペーン』を適用できます。
このキャンペーンは学生で、3回以上来ていただいて、さらに強く効果を実感されている方向けのキャンペーンでして、
今後少なくとも5回、うちのマッサージ店をご利用いただくことを条件にマッサージルームに次のお客さんが予約されている時間まで何時間でも居続けることが出来ます。」
「私がもしそれをやったら最大で何時間できるんですか?」
「そうですね、本日はこの後ご予約が無いので実質店を閉店する24時までご利用できますが……まあ、ご自宅の事を考えると18時ごろが限度ですかね。」
「ええ!! 5時間もできるんですか!?」
「はい。もちろん、このスライムは前回同様あなたの指示通りに動きますので、疲れたらスライムにハンモックの形になってもらう、なんてことをすれば気持ちよく寝られます。」
「なるほど……!」
(スライムさんに乗って、本を読んだりしたら楽しそうかも……!)
スライムで好きに遊べるという話を聞いて楽しみなってきたアメリア。
「すみません、少し家に帰って、本とかを持ってきてもいいですか?
あと、お父様に確認して、許してもらえればもうちょっと遅くまでここに居たいんですけど……」
「それは構いませんよ。どうぞご自由に。」
「じゃ、すみません、急いで行ってきます!」
「ゆっくりでいいですよ~」
アメリアはいそいそとマッサージルーム(大)の階段を上がって地上階へ行った。
「アメリアちゃん、スラ介の上で休んで本でも読もうとしているのかな~?? そんな暇、作らせてあげないぞぉ~~?
ってわけでスラ介、媚薬の霧、アメリアちゃんが来たら撒いておいてね。」
ぶるんっ
スライムは巨体のまま頷くように震えた。