サイクロプスとの戦いの後も、私たち『紅き清純』は順調にハンター活動を続けました。

サイクロプスとの遭遇以後は、それほど強いモンスターと出会うこともありませんでした。

ちなみに、サイクロプス討伐依頼はCランク以上のハンターチームでなければ受けてはいけないことになっているらしいのです。

つまり私たちが倒したことがバレたら問題になってしまいます。

なので、偶然サイクロプスの死体を発見した、ということにしておきました。

もちろん騒ぎにはなったのですが、私たちが学生であることもあって、特に疑われることもありませんでした。

初日以外は予定通り、討伐依頼をこなしつつ素材を集め、それを売ってお金を稼ぎました。

一日あたりの稼ぎは、金貨12枚前後。

例外として、初日のサイクロプスの素材が全部で金貨8枚

最終日は休養に使ったので、稼ぎがあったのは合計で9日。

つまり、合計で116枚という稼ぎを得たわけです。

メンバーの4人で分割すると1人あたり金貨29枚。

前世の価値換算で30万円近い収入を得ることが出来ました。

ちなみに、リグも私たちに合わせて自分でお金を稼ぐ生活にチャレンジしてみるそうです。

チーム内の公平性の為に稼ぎを4等分したら、リグが突然言い出したのです。

お金はご実家からかなりの額が送られてくるらしいのですが……。

ともかく。

私たち『紅き清純』のハンター活動は、なんとか好調に滑り出すことができました。

そして今日――いよいよ、初めての授業の日の朝。

私は目覚めると、左右に人の気配を感じました。

左右?

つまり、2人居るわけです。

「……ん、リグ?」

思った通り、片方はリグでした。

では、もう片方は?

寝返りをうって、反対側を確認します。

「カミさま……?」

そう。もう片方は、カミさまでした。

ただでさえ狭いベッドに、私をリグとカミさまが挟んで眠っています。

狭いのです。

なぜかは分かりませんが、カミさままで私と一緒のベッドです。

いえ、リグと一緒に眠るのは既に慣れっこになったのですが……。

近くでじっと、カミさまの顔を見てみます。

(こうして静かにしていれば、けっこう可愛いのに。もったいないのです)

私は、気付くと柔らかいカミさまの白髪をさわさわいじっていました。

ちょっとだけ楽しくなってきます。

(というか、なんでこんな奴のことを可愛いとか思っちゃうのですか私は!?)

ふと自分の考えに自分で恥ずかしくなってしまいます。

(いえ、確かにカミさまは実際、顔だけみれば可愛いですし。性格はアレですけど……)

今にして思えば、カミさまのウザい態度もカミさまなりにお友達に甘えるようなものだったのかもしれません。

(もう少し落ち着いてくれたら、ちゃんとお友達として仲良くできるのに……悪いのはカミさまなのです)

と、思ったところで頭をぶんぶん振ります。

(ダメですダメです! カミさまのせいにしてないで、私が優しくなるのです。リグが私を受け入れてくれたように、たとえカミさまがウザくても私がカミさまを受け止めてやるのです!)

そして、カミさまの顔をしっかり見つめます。

(うまくできないかもしれませんが……カミさま、これからもよろしくなのです)

私は心の中だけでカミさまに言って、微笑みかけます。

その時、カミさまはぱちくり、と目を開けました。