ソードライガー戦の後も、様々なモンスターと戦いました。

中にはAランク上位に匹敵するモンスターも存在しましたが――そういうモンスターは単体で群れを作っておらず、私たちが連携をすればちゃんと倒すことが出来ます。

そうして数々のモンスターを葬りながら山頂を目指していくと、気付けば日が沈もうとしていました。

私たちは比較的安全な場所を探し、今日の野営地を決めます。

「いや~。それにしても今日は本当にすごい一日だったよ。皆が強いってことは知ってたけどさ。ここまでとは思ってもみなかったよ」

エリスの言葉に、私以外の全員がまんざらでもないような顔をして受け入れます。

これまでの努力を褒められたわけですから、嬉しくなるのも当たり前ですね。

表情を緩めつつも、リグは私の方を見ながら言います。

「今こうしてわたくし達が強くあることができるのは、元を正せばファーリのお陰ですわ。本当にすごいのは、わたくし達よりもファーリの方です」

そういって、私に微笑むリグ。

急に褒められて、しかも話題の中心に引っ張り込まれて、つい照れてしまいます。

「そ、それでもみんなすごいのです。私が頑張るだけじゃ、こんなに素敵なハンターチームにはならないのです。皆さんが強いのは、皆さんがちゃんと頑張ってくれるからなのです!」

まさに、言った通りの気持ちが私にはあります。

どれだけ私が無茶をしようと、ついてきてくれる。

だからこそ、私も出来る限りの力で応えたい。

それが『紅き清純』というハンターチームなのです。

「はえぇ……。4人とも、しっかりしてるんだねぇ。こうなると、今回の国境超えは楽勝な感じになっちゃうのかな」

自信にあふれる私達を見て、エリスがそんなことを言い出します。

ですが、さすがに少し勘違いをしているので訂正しておくのです。

「エリス、さすがに楽勝にはならないのです」

「そうなの?」

「はい。戦闘に関しては比較的楽に勝利が続いています。けれど、一戦ごとに大きな集中力と体力を持っていかれますからね。これが毎日、休まる間も無く何度も繰り返されると、なかなかハードな特訓になるのです」

「なるほどね~?」

エリスは分かったような口ぶりで私に同意してきます。

ですが、実際はあまり理解していないでしょうね。

何しろ、エリスは技能のお陰で敗北知らず。

どれだけ旅の道中で戦闘に巻き込まれようと、擦り傷一つ分の心配すら必要ありませんから。

私たち四人が、実は見た目以上に苦労していることについては、理屈は理解できても共感までは至らないというわけです。