Vanguard of the Eternal Night
Episode 99: What a Colt Metropolitan State Can Do, Part 14
さっきの悲鳴の後、森はまた静寂に包まれた。
悲鳴の後の静寂。
悲鳴が続いて聞こえるよりも静寂っていうのがかえってこわい。
きっと、良くない事が起こっているのだろう。
他の冒険者達はどうなったんだろうか。
そんな事考えながら前へ進む。
「止まれ! こっちへ来るな!」
突如ダリウスさんが叫び、俺たちはビックリして立ち止まる。
まさか……?
「ロイ、ウィル、三人を頼む」
俺はロイとウィルに言うと二人は顔を見合わせ、そして、俺の方を見て頷く。
それを見て俺はダリウスさんの元へ向かう。
「ハル君……?」
後ろでシャーリーが俺の名前を口にしたけど、俺は振り返る事なく前へ進んだ。
「ダリウスさん……」
「来るなって言っただろうが!」
ダリウスさんはそう叫ぶがもう遅かった。
俺はダリウスさんの前に広がる光景を目にした。
「……これは戦闘狼(ウォーウルフ)のしわざでしょうか?」
目の前には一つのパーティーが全滅した光景が広がっていた。
首を食い千切られたのか、薄皮一枚で頭と体が繋がっている死体、お腹の部分が半分穴が空いている死体、右腕がない死体、完全に頭と体が離れている死体……。
見るも無惨な光景が広がり、周りには血が飛び散って辺りの木々が赤く染まっていて、血の匂いが充満している。
「……おそらく。……ただここにいる奴らの中には見た事もある奴の顔もある。そいつらの中には俺と同じBランクの冒険者もいる。戦闘狼(ウォーウルフ)相手に簡単に全滅する程、遅れを取るとは考えられないんだが……」
Bランク冒険者。
Bランクと言えば一流の冒険者だ。
Cランクの冒険者で国の兵士ならBランクと言えば精鋭と言えるだろう。
それに冒険者と言う事で戦闘経験も豊富のはず。
やはり、この森では良からぬ事が起きている……そう確信した瞬間だった。