Vanguard of the Eternal Night
Episode 132: What Mount Ramor did, number 13.
俺は憎しみ(・・・)をゴード=ザイールにぶつけるように魔力を高める。
「……ほぅ」
ゴード=ザイールは呟くとそのまま俺の出方を伺う。
俺はそれをいい事に魔力を高めている。
でも、なんだろう?
目の前が暗くなりそうな……魔力を使い過ぎてるのか?
「っ!? 貴様は引っ込んでおけ!!!」
今まで静観していた漆黒の鎧の男が横から俺を斬りつけてきた。
俺は咄嗟に剣で受け止めたけど、態勢が悪く衝撃を受け止める事も流す事も出来ず吹き飛ばされる。
「くそ!」
俺は吹き飛ばされながら、漆黒の鎧の男を見ていた。
すると、漆黒の鎧の男が動き出しゴード=ザイールに肉薄する。
「くっ」
俺が木に打ち付けられ止まった時には、ゴード=ザイールはいつの間にか剣を取り出し、漆黒の鎧の男と剣を交えている。
「余計な事を……」
「貴様らの都合の良いにはさせん!!!」
二人は言葉を交わしながら、斬りつけ合う。
二人共、黒いオーラを纏っている為、剣が交わる度に衝撃波が葉を揺らす。
「おまえが何者か知らんが、今は用がある。帰らせてもらおう」
ゴード=ザイールがそう言うと、周囲を漆黒の闇が包む。
そして、周囲から無数の刃が襲って来た。
「こざかしい!」
漆黒の鎧の男はそれらを切り落とす。
俺も刃を切り落としていたけどこれじゃラチがあかない。
俺は隙を見て光魔法を放つ。
周囲を照らす様に光が広がる。
光が闇を押し退けた先にカルザルとゴード=ザイールの姿はない。
「どこに行った!?」
漆黒の鎧の男が口走ると同時に俺も周囲を見渡す。
「二人共、またいずれ会うだろう。その時に戦ってやる」
上空から声が聞こえ、見上げるとゴード=ザイールとカルザルの姿があった。
ゴード=ザイールはその言葉を残すと二人とも西の方へ姿を消して行った。