Vanguard of the Eternal Night

Episode 350: What Spiritual Peak Folkrest Can Do, Part 15

 「……もしかして俺の村にドラゴンが来たのって……?」

 俺と同じ時代にやってきた……それにゴルゾーラ=アイディールは黒王竜というドラゴンを使役していたって事は……もしかしたら俺の村を襲ったあのドラゴンはそいつ……? あいつは今までのどのドラゴンよりも強かった。それこそ目の前にいる神竜ルチアと言われるドラゴンに匹敵するような存在感があった。

 ルクスはやや表情を曇らせたのちに俺の方見定めて口を開く。

 「……はい。ハル様のお考えの通りゴルゾーラ=アイディールは使役していた黒王竜を連れハル様の通った時空の跡を辿ってこの時代へと来ました。ただ若干の誤差が生じていましたが……。ゴルゾーラ=アイディールはファラン様の血筋を途絶えさせる事、ご子息であるハル様を殺す事と自分の身体の封印を解くためにこの時代へと来たと思われます」

 やっぱり……じゃあ俺がいたからじいちゃんとばあちゃんは……それだけじゃない。シャーリーのお父さんやお母さん、村のみんなも……。いや、それどころかそもそもゴルゾーラ=アイディールがこの時代に来たのも……。

 「……ハル、おまえが気にする事ではない。おまえが招いた事ではないだろう」

 「ウィル……でも……」

 「おまえは自らの意志ではなく、この時代へ来た。むしろこれはこの世界の運命だ。おまえだけじゃなくこの時代に生きる人々……いや、遠い過去にから現在までに生きる人々の運命だろう」

 「そうです。これはこの世界……皆の問題です」

 「そうだよ。いろいろビックリだけど私もハル君だけが責任を感じる問題じゃないと思うよ」

 「みんな……」

 「そうです。我々精霊にも過去で決着を付けられなかった責任があります。だから、我々もこの時代に準備をしてきました」