「空を見上げてください、私がいますから」

「なにを、いったいどうしたのですか?」

「ささ、早く」

「わかりましたよ、って、あれ、まさか?」

「そうですとも、マリカナが空中を泳いでいるのです。ほら、クロール」

「いったいなんで、こんなことに……」

「用事は終わりましたか?」

「ええ、図書館にいきましょう」

「はい」

 ちょっと意趣返しにのろのろの速力でもといた場所へと。空を泳ぐのも乙なものですね。うん、また、泳ごう。明日もできるかな。そんなことがばれたらはしたないだの、マナーがなってないなどと母に小言をマシンガンのように連発されそうだわ。